従業員の成長
考え方
当社の企業理念「真に働く」には、「世の中の役に立ち、尊重される人の育成こそが企業目的であり、事業はそのための手段である」という考え方が根底にあります。この企業理念から「社員に求めること」を言語化し、7つの要素にまとめたものが行動指針です。社員一人ひとりが、行動指針の各項目を深く理解し体現することで、社員ひいては、当社の持続的な成長につながると考えています。
●新たな行動指針
| 行動指針/評価項目 | 定義 | |
|---|---|---|
| 基本姿勢 | 徹底的当事者意識 | 関わる事柄を自分事として捉え、責任を持って最後までやり遂げる姿勢 |
| 飽くなき成長意欲 | 常に自らを顧みて、あらゆることから学ひ成長し続けようとする姿勢 | |
| 誠実・相互信頼 | 社内外で関わる人の立場を想像し、お互いに尊重して高め合う姿勢 | |
| 能力 | 大胆に挑み続ける | 前例に捉われず、また失敗にくじけることなく果敢に高い志を掲げ、高い目標・課題を設定し、挑み続けるカ |
| 常に考え決断する | 多角的な視点で考えぬき、ゆるぎない信念と覚悟を持ってタイミングを逃さず決めるカ | |
| 相違を乗り越える | 相手の立場を理解しながら折衝・調整し、立場の違いや対立する価値観を乗り越えて難しい局面を打開するカ | |
| 人を活かす | すべての人の可能性を信じ、他者の価値観や持ち味を受容・包摂して、人の力を引き出しながら、その力を最大限に活かすカ | |
戦略
教育体系の考え方
教育研修体系は、人財戦略の3本柱である「企業理念の体現」、「DE&Iの深化」、「個々人の能力・個性の発揮」を基本方針としています。
この方針に基づき、2030年ビジョン・2050年ビジョンの実現を推進するため、「個々人の能力・個性の発揮」の鍵となる「自律的キャリア形成支援」を特に強化しています。
社員一人ひとりがどのようなキャリアを歩みたいのかを自身で考え、会社はその想いが叶えられるよう支援を行います。
教育研修体系は、キャリアデザイン部と人事部が連携して展開しています。
※役割分担イメージ
・キャリアデザイン部:社員の意思に基づく自律的なキャリア形成、学びや経験の機会提供
・人事部:会社として必須等で受講頂く学びや経験の機会提供
●2025年度 教育研修一覧
指標と目標
教育研修実績
教育研修はオンライン、集合対面それぞれのメリットを生かして開催しています。「コンピテンシー開発」「経営人財の育成」「自律的キャリア形成支援」「リスキリング・その他の成長支援」に紐づく研修・学習機会などを通じて、参加者の職務および人間的な成長を支援しています。
●研修時間・投資額実績
| 単位 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2030年 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| (目標) | ||||||
| 研修時間 | 総時間 | 時間 | 74,722 | 68,252 | 92,304 | — |
| 一人当たり | 12.8 | 11.8 | 15.8 | — | ||
| 教育投資額 | 総額 | 千円 | 247,810 | 299,138 | 318,488 | — |
| 一人当たり | 43 | 52 | 55 | 100 | ||
取り組み
コンピテンシー開発
メンター研修
2019年度から新入社員育成を目的に、メンター制度を導入しています。「メンター」とは育成指導役の先輩社員のことであり、その育成指導力向上を目的として、メンター研修を実施しています。新入社員に、各自のメンターの育成指導についてアンケートを行い、研修中にその結果を参加者にフィードバックすることで、メンターの意識向上にもつながっています。
経営人財の育成
リーダーシップ形成を目的とした異業種交流研修
自己の信念に基づいたリーダーシップを発揮できる人材の育成を目的として異業種交流研修を2016年度から実施しています。
半年にわたる研修では、異業種の社員との相互学習を通じて多様な価値観や考え方に触れ、未来への創造的な構想力を身に付けます。併せて自社DNAの体現という使命感、次世代を担う自分らしいリーダーシップの在り方を体験を通じて修得しています。
自律的キャリア形成支援
自律的キャリア形成(キャリアデザイン)の基本的な考え方
自律的キャリア形成支援主要施策・制度の全体図
当社は、従業員が「キャリアデザイン」に取り組むに当たり、「ありたい姿」を考え、その実現に向けて必要となる「経験」と「スキル」が得られるような支援策を展開しています。また、「キャリアデザイン」に際して、迷いや課題が生じた場合には、ライフキャリアサポートセンターでの個別面談などの「相談」支援を提供しています。さらに、部下の最大のキャリア支援者である上司への支援として、部下との面談力向上のための研修などを提供しています。従業員のキャリア形成支援に資する諸施策の強化、拡充を推進しています。
キャリアの「ありたい姿」を考える取り組み
キャリアの「ありたい姿」とその実現プランを考えるための年代別「キャリアプランセミナー」では、「キャリアデザインシート」を用い、スキル・経験、マネープランなど、キャリアプランの可視化を支援しています。
また、各分野で活躍している従業員の多様なキャリアパスを見える化し、キャリア上の今後の「ありたい姿」のヒントを提供すべく、23名の「経験(転機やブレ-クスル-した出来事)」×「スキル」を含むキャリアパスを展開しています。
この他、有識者による講演会の開催、キャリアデザインシートを用いてキャリアのありたい姿を考え、気づきを共有する部室単位での「キャリアワークショップ」の開催支援、各拠点で活躍する身近な社員にキャリアの転機を語ってもらう「ライフキャリアフォーラム」の開催支援などを通じ、一人ひとりがありたい姿を考えるための支援を行っています。
スキル開発メニューの提供
自ら描いた「ありたい姿」を実現するための手挙げ制のスキル開発メニューを強化しています。例えば、組織・チームづくりに求められるコミュケーション力の強化を図る「チームコミュニケーション向上研修(担当者向け)」、今後のグローバル展開への備えとしてオンライン英会話を中心とする「英語力向上施策」、自発的なスキル強化に対して費用の半額を補助する「まなびチャレンジ」制度などを展開しています。
越境学習
社外の異なる環境での「経験」を通じて、多様な価値観や考え方に触れることで、自身の視野を拡げ、更なる能力発揮を促すことにより、部門の縦割りといった壁を打破すると共に、組織力の強化に繋げることを狙いとしたプログラムです。2024年度は計13プログラム(51コース)を展開し、計43名が手挙げで参加しました(対前年+140%)。2025年度は、シニア向けや新規事業系の越境プログラムの拡大に向けた取り組みを進めています。この他、当社の従業員を週一回中学校に派遣し教育現場の課題に取り組む「週一先生」等の活動も積極的に展開しています。
キャリアコンサルティングによる内省支援、上司面談力強化
当社の事業や風土を知る、国家資格を持つ社内キャリアコンサルタントが、従業員一人ひとりの思いや「ありたい姿」を言語化するプロセスを支援し、自律的なキャリア形成を後押ししています。2024年度以降は、やりがい調査アンケ-トで課題のあった製造拠点において、自身のキャリアをより身近なものとして考えてもらえるように、キャリア相談窓口を新たに設置する等、体制の整備を進めています。また、部下にとってキャリア形成への最大の支援者である上司の部下支援・コミュニケーション力底上げに向けて、様々な施策を導入しており、2024年度は傾聴力プログラム「聴くトレ8」を全役職者約1,400名を対象に導入しました。
セルフマネジメント研修
役職定年予定の社員(当該年度4月1日時点で59才の役職者)のうち、役職定年後の継続勤務を希望する社員を対象に、役職退任後の働き方について考える研修を実施しています。
国家資格キャリアコンサルタント面談(ライフキャリアサポートセンター)
ライフキャリアサポートセンターは、評価・処遇といった人事権を持たず、守秘義務がある専用の相談窓口として、国家資格を持つ社内キャリアコンサルタントが「自分らしさや思いをより明確にしていきたい」「悩みや迷いを解消したい」など、一人ひとりに寄り添い、解決の糸口を掴み一歩を踏み出すサポートの強化・推進をしています。相談内容に合わせ、キャリアコンサルタントとの2者面談の後に、相談者に合意のうえ、非常勤アドバイザーを交えた3者面談もコーディネートします。
さらに、多くの相談から共通した組織課題を抽出し、経営層への提言や解決に向けた取り組みをしています。
●ライフキャリアサポートセンターの位置付け
●キャリア相談の支援体制
※ 各部門の業務内容を熟知、あるいはライフイベントを乗り越えてきた従業員を選任
また、個別面談を通じ見えてきた課題への対応として、部室長をはじめとした役職者の「キャリアレポート(私のキャリア)公開」、「ライフキャリアフォーラム開催」などのキャリアを考える機会づくりも行っています。
キャリアチャレンジ
キャリアチャレンジ制度は、人財を求める部署が社内で募集し、社員が自発的に応募することで、異動につながる制度で、2020年度より運用を開始しました。自身の強み・弱みおよびライフキャリアプランを見つめ直す機会として、自律的キャリア形成を促すとともに、やりがいの向上を図ることを目指しています。
今後、さらに分野・職種を拡大し、部門を超えた人財交流を活性化することで、多様性に富んだイノベーションを起こす組織づくりに取り組んでいきます。
自己都合退職者の再雇用
キャリア採用のスキームを通じて、一度当社を退職した社員を再度社員として迎えています。再入社後は、多様性に富んだ組織の構築に貢献するとともに、異なる業界・企業で活躍した経験・スキルを生かし活躍しています。
ジョブ・フェスティバル
自律的キャリア形成の支援策として、2025年7月にジョブ・フェスティバルを開催しました。本社ビル32階イベントゾーンにて、昨年を上回る50の職場・関係会社がブースを出展したほか、「越境学習」や「社内副業」など当社が推進する施策に関連する特設ブースを設置しました。対面でのコミュニケーションのほか、オンライン配信も組み合わせたハイブリッド形式で実施し、ブースを訪れた従業員が、自社に広がる様々な業務や役割に対する理解を深めるとともに、部門を超えた社内交流の場となりました。オンライン参加も含め、2日間で延べ約1,100名の従業員が参加しました。
社内での副業機会の提供
社員が現職に在籍したまま、部室横断のプロジェクトや他部室の業務に携わる機会を提供しています。自身のキャリア形成に生かしていくとともに、社員が有する知見を、部室を超えて社内に展開することを目的としています。今後は、部門を超えた活動をさらに促進していくため、案件や参加人数を拡大し、本格展開を図っていきます。
社外副業
社員が勤務時間外に、他の会社などの業務に従事する場合には、会社が定める順守事項に反していないことを人事部が確認したうえで、これを認めています。
週1出向プログラム
週一出向、週一先生の取り組みは、社員の経験やスキルを生かして地域・社会の課題解決や業務改善などに貢献することを目指して、2023年度に開始しました。通常とは異なる環境の中で多様な関係者と仕事をすることは、新しい働き方につながるとともに、社員が将来のライフキャリアを考えるきっかけになっています。2025年度は、山口県長門湯本温泉まち(株)への週一出向、千葉県松戸市へ3名の週一先生の取組みを通じて、地域社会の様々な課題解決に取り組んでいます。
自律的キャリア形成の浸透・定着に向けた取り組みの結果、2024年度に実施した全社員向けアンケートでは、キャリアについて「具体的に描けている」と回答した従業員の割合が25%、「考え始めたところ」との回答が58%、計83%となりました(回答者約2,300名)。キャリアの「ありたい姿」を考える取り組みについて一定の浸透を確認したと共に、2025年度は当社にある多様な職種の特性や部室固有の課題を加味した支援を強化しています。