従業員の成長
考え方
出光興産では、行動指針を高い次元で体現していく人財を増やしていくために、特に伸長を求めていきたい「自立・自律」「変革」 「共創」と「成長」の4つは、さらに詳細な観点を設定しています。それが「先見」「挑戦」「決断」「協働」「完遂」「改善」「育成」という7つの観点です。これらの観点は、等級ごとに求める姿勢や行動のレベルを細かく定義しており、自身の現在のレベルを振り返るとともに、成長に向けて行うべきことを明らかにしてくれます。



戦略
教育体系の考え方
教育体系のベースは、上記のような姿勢・行動を伸長させるための「コンピテンシー開発」です。この考え方に加えて、2030年ビジョン・2050年ビジョンの実現に向けた両輪の一つである「人財戦略」を推進するため、「個々人の能力・個性の発揮」の鍵となる「自律的キャリア形成支援」を特に強化していきます。
従業員一人ひとりにどのようなキャリアを歩みたいのかを自身で考えてもらい、会社はその想いが叶えられるようできる限りの支援を行います。そのため、2024年4月に設立したキャリアデザイン部と人事部が連携して教育体系を展開します。
※役割分担イメージ
キャリアデザイン部:キャリア社員の皆さんの自律的な学びの機会提供
人事部:会社として必須等で受講いただく学びの機会提供
●2024年度教育体系



指標と目標
教育研修実績
教育研修はオンライン、集合対面それぞれのメリットを生かして開催しています。「コンピテンシー開発」「経営人財の育成」「自律的キャリア形成支援」「リスキリング・その他の成長支援」に紐づく研修・学習機会などを通じて、参加者の職務および人間的な成長を支援しています。
●研修時間・投資額実績
単位 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2030年 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
(目標) | ||||||
研修時間 | 総時間 | 時間 | 81,653 | 74,722 | 68,252 | — |
一人当たり | 15.6 | 12.8 | 11.8 | — | ||
教育投資額 | 総額 | 千円 | 235,400 | 247,810 | 299,138 | — |
一人当たり | 43 | 43 | 52 | 100 |
取り組み
コンピテンシー開発
メンター研修
2019年度から新入社員育成を目的に、メンター制度を導入しています。「メンター」とは育成指導役の先輩社員のことであり、その育成指導力向上を目的として、メンター研修を実施しています。新入社員に、各自のメンターの育成指導についてアンケートを行い、研修中にその結果を参加者にフィードバックすることで、メンターの意識向上にもつながっています。
インクルージョン研修
個々の潜在能力を最大限に引き出すための心構えやスキルを学び、新たな価値創造を起こせる社員を育成することを目的に、2020年度よりインクルージョン研修を実施しています。アンコンシャス・バイアスの自覚を促したうえで、発信力・傾聴力、コーチング・フィードバック、ファシリテーションといったスキルを学びます。
アンコンシャス・バイアスを意識してスキルを職場で活用し、多様な意見をぶつけ合うことで、変革の芽が生まれ続ける風土づくりを目指します。
経営人財の育成
リーダーシップ形成を目的とした異業種交流研修
自己の信念に基づいたリーダーシップを発揮できる人材の育成を目的として異業種交流研修を2016年度から実施しています。
半年にわたる研修では、異業種の社員との相互学習を通じて多様な価値観や考え方に触れ、未来への創造的な構想力を身に付けます。併せて自社DNAの体現という使命感、次世代を担う自分らしいリーダーシップの在り方を体験を通じて修得しています。
自律的キャリア形成支援
キャリアデザインの考え方と推進体制
自律的キャリア形成支援主要施策・制度の全体図
当社は、従業員が「キャリアデザイン」に取り組むに当たり、「ありたい姿」を考え、その実現に向けて必要となる「経験」と「スキル」が得られるような支援策を展開しています。また、「キャリアデザイン」に際して、迷いや課題が生じた場合には、ライフキャリアサポートセンターでの個別面談などの「相談」支援を提供しています。さらに、部下の最大のキャリア支援者である上司への支援として、部下との面談力向上のための研修などを提供しています。従業員のキャリア形成支援に資する諸施策の強化、拡充を推進しています。



キャリアデザインシートの導入
「キャリアデザイン」に取り組むに当たり、今後直面するライフイベントを含め、ありたい目指す姿を明確にし、それを実現するために必要となるスキルや経験、想定されるライフイベントに必要なマネープランなどを踏まえた人生設計イメージの可視化を支援する「キャリアデザインシート」を2023年度から導入し、従来の「将来計画シート」の補助シートとして従業員に提供します。「キャリアデザインシート」は一度作成したら終わりではなく、自身の年代や活躍のステ-ジ・ライフキャリアの変化などを踏まえ、定期的に見直しを行い、自身の状況とともにアップデートし活用することを推奨していきます。
多様なキャリアパス
自分が将来どうなりたいのかヒントとなる先輩社員の多様なキャリアの歩みを示したツールを2024年度から公開し、従業員に提供します。各部門・分野で活躍してきた従業員が、「経験」×「スキル」の獲得を通じて、どのように「能力」を高めたかの道筋を可視化したもので、自身の自律的キャリア形成を考える上で活用することを推奨していきます。
ライフキャリアドック(キャリアの定期健診)
厚生労働省の推奨する「セルフ・キャリアドック」の出光版として構成した取り組みです。世代別のキャリア開発研修から始まり、国家資格であるキャリアコンサルタントとの面談、職場の直属上司との面談を1サイクルとして、定期的に自身のライフキャリアを見つめ、自己理解を深めることで、将来に向けた自律的ライフキャリアの構築につなげる仕組みを提供しています。
●ライフキャリアドック(出光版セルフキャリアドック)の概要と流れ
セルフマネジメント研修
役職定年予定の社員(当該年度4月1日時点で59才の役職者)のうち、役職定年後の継続勤務を希望する社員を対象に、役職退任後の働き方について考える研修を実施しています。
国家資格キャリアコンサルタント面談(ライフキャリアサポートセンター)
ライフキャリアサポートセンターは、評価・処遇といった人事権を持たず、守秘義務がある専用の相談窓口として、国家資格を持つ社内キャリアコンサルタントが「自分らしさや思いをより明確にしていきたい」「悩みや迷いを解消したい」など、一人ひとりに寄り添い、解決の糸口を掴み一歩を踏み出すサポートの強化・推進をしています。相談内容に合わせ、キャリアコンサルタントとの2者面談の後に、相談者に合意のうえ、非常勤アドバイザーを交えた3者面談もコーディネートします。
さらに、多くの相談から共通した組織課題を抽出し、経営層への提言や解決に向けた取り組みをしています。
●ライフキャリアサポートセンターの位置付け
●キャリア相談の支援体制
※ 各部門の業務内容を熟知、あるいはライフイベントを乗り越えてきた従業員を選任
また、個別面談を通じ見えてきた課題への対応として、部室長をはじめとした役職者の「キャリアレポート(私のキャリア)公開」、「ライフキャリアフォーラム開催」などのキャリアを考える機会づくりも行っています。
ライフキャリアフォーラム開催
ライフキャリアフォーラムは、社員一人ひとりが自身のライフキャリアを見つめる・考える機会づくりの施策として開催しています。「私のキャリア」を題材に、過去の大きな環境変化(転機)を現在の自分にどのようにつなげてきたのかを登壇者が語るトークイベントです。本社での開催だけでなく、それぞれの拠点で活躍し、より身近な存在に感じられる社員に登壇してもらう拠点版の展開や、各部署と連携し各部署独自のライフキャリアフォーラムの開催もしています。
キャリアチャレンジ
キャリアチャレンジ制度は、人財を求める部署が社内で募集し、社員が自発的に応募することで、異動につながる制度です。自身の強み・弱みおよびライフキャリアプランを見つめ直す機会として、自律的キャリア形成を促すとともに、やりがいの向上を図ることを目指しています。本制度は2020年度よりスタートし、2022年度は約100件の募集を行いました。
今後、さらに分野・職種を拡大し、部門を超えた人財交流を活性化することで、多様性に富んだイノベーションを起こす組織づくりに取り組んでいきます。
自己都合退職者の再雇用
キャリア採用のスキームを通じて、一度当社を退職した社員を再度社員として迎えています。再入社後は、多様性に富んだ組織の構築に貢献するとともに、異なる業界・企業で活躍した経験・スキルを生かし活躍しています。
ジョブ・フェスティバル

自律的キャリア形成の支援策として、2024年7月にジョブ・フェスティバルを開催しました。本社ビル32階イベントゾーンにて、昨年を上回る46の職場・関係会社がブースを出展したほか、「越境学習」や「社内副業」など当社が推進する施策に関連する特設ブースを設置しました。対面でのコミュニケーションのほか、オンライン配信も組み合わせたハイブリッド形式で実施し、ブースを訪れた従業員が、自社に広がる様々な業務や役割に対する理解を深めるとともに、部門を超えた社内交流の場となりました。オンライン参加も含め、2日間で延べ約1,100名の従業員が参加しました。
社内での副業機会の提供
社員が現職に在籍したまま、部室横断のプロジェクトや他部室の業務に携わる機会を提供しています。自身のキャリア形成に生かしていくとともに、社員が有する知見を、部室を超えて社内に展開することを目的としています。今後は、部門を超えた活動をさらに促進していくため、案件や参加人数を拡大し、本格展開を図っていきます。
社外副業
社員が勤務時間外に、他の会社などの業務に従事する場合には、会社が定める順守事項に反していないことを人事部が確認したうえで、これを認めています。
週1出向プログラム
週一出向、週一先生の取り組みは、社員の経験やスキルを生かして地域・社会の課題解決や業務改善などに貢献することを目指して、2023年度に開始しました。通常とは異なる環境の中で多様な関係者と仕事をすることは、新しい働き方につながるとともに、社員が将来のライフキャリアを考えるきっかけになっています。2024年度は、継続して山口県長門湯本温泉まち(株)との連携、千葉県松戸市へ週一先生を4名派遣するとともに、新たな企業へ2名の週一出向をスタートし、地域社会の様々な課題解決に取り組んでいます。
越境学習
「経験」を積むメニューとして、2023年度から越境学習プログラムを展開しています。所属する組織や会社を超え異なる場所で新しい出会いを得て、社外の人脈を構築することで視野を広げ、視座を高め、変革・挑戦マインドを醸成する機会を提供しています。
リスキリング・その他成長支援
実践的な英語学習の機会の提供
希望する社員を対象に、各自の語学レベルに応じたレッスンを提供しています。受講料の一部を会社負担とし英語学習の機会を提供しています。またTOEIC受験料を会社が負担し(上限年2回)、自身の語学レベルを測る機会を提供しています。
オンライン学びコミュニティSchoo(スクー)
各自の強み・課題に応じて自己研鑽できるeラーニングを導入し受講料を全額会社が負担しています。社員は、各自が高めたいテーマの講座(ビジネススキルや思考術、語学、経済・社会、リベラルアーツ、DX)を受講することが可能です。
通信教育
ビジネススキルや思考術、語学の他に、部門固有で必要とされる専門資格取得のための通信講座を提供しています。テキストによる学習や、レポート作成を通じてスキルアップを図ります。
DXを支える人財育成