生物多様性
考え方
地球上には多種多様な生物が生息しており、それらの生物が複雑に絡み合って生態系を形成することで、様々な外的変化を吸収し、元の状態に戻す復元機能が備わっていると言われています。当社グループは、生物多様性条約の目的の達成を目指すとともに、この生態系を次世代に引き継ぎ、多様な生物が生息し続けられる環境を維持し回復することが、企業にとって重要な使命であると考えています。
TNFD※1提言に対しては、2024年度から4年間で対応する計画を立て、取り組みを進めています。現在TNFDが推奨するLEAPアプローチ※2に沿って、自然関連の依存、インパクト、リスク、機会の評価を実施しており、順次開示を拡充しています。
また、当社は、近年のように生物多様性保全の重要性が広く叫ばれるようになる以前から、事業遂行に当たっては自然との共生を常に意識し、本分野に配慮して事業を遂行してきました。創業者の出光佐三は、公園のような緑地帯を備え、地元と共に栄える「産業と自然が融和する緑豊かな公園工場の実現」を提唱しました。この理念を実現するため、当社の製油所や事業所では、操業開始時に法律で規定されている面積を上回る緑地帯を設置し周囲の自然環境との調和を図ってきました。これらを含めた当社グループが推進している生物多様性保全活動については「取り組み」の項目にまとめています。
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Taskforce on Nature-related Financial Disclosures(自然関連財務情報開示タスクフォース)
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Locate(発見する)、Evaluate(診断する)、 Assess(評価する)、Prepare(準備する)のステップを含む、TNFD提言において推奨されている自然関連課題の評価のためのアプローチ。
方針
当社グループは、「出光グループ サステナビリティ方針」の中で、事業活動による環境リスクの低減および自然環境の保全と循環型社会の実現への貢献を示すとともに、以下に記載する「生物多様性ガイドライン」に沿った形で、地域との連携を築きながら生物多様性保全に取り組んでいます。
生物多様性ガイドライン
当社グループは、土地、水、大気、並びに多種多様な生物種、遺伝子を含めた生態系システムから成る自然環境(自然資本)を利用しながら、事業活動を継続しています。
社会活動の基盤である自然環境(自然資本)を、将来世代に適切な形で受け渡していくことの重要性は、これまでも大切にしてきた価値観であり、出光グループ サステナビリティ方針の中でも、事業活動による環境リスクを予め低減し、自然環境の保全と循環型社会の実現に貢献することを明記しています。
サステナビリティ方針を補完し、自然環境(自然資本)に含まれる生物多様性分野の更なる保全活動遂行の指針として、本ガイドラインを定めます。
・自社の事業活動が生物多様性に与えている影響を正確に把握し、負の影響を与える場合は低減、正の影響を与える場合は増加、に努めます。
・新規事業等の検討に当たっては、生物多様性の観点での影響を十分に考慮します。
・生物多様性が劣化した生態系の回復に貢献します。
・生物多様性が保全された生態系の拡大に貢献します。
・生物多様性に関する環境教育・啓蒙を推進します。
・生物多様性保全に関する関連取組の開示を強化し、ステークホルダーとの対話・協働を拡大します。
ガバナンス
自然関連課題に関するガバナンス
当社では、サステナビリティ関連課題について経営委員会で議論しています。経営委員会の委員長は社長が務め、議論された内容は適宜取締役会に付議・報告されています。TNFD提言への取り組みについては、経営企画部に設置しているサステナビリティ戦略室が中心となり、経営委員会に対応計画を報告の上、部門横断的に推進しています。当社のサステナビリティに関する推進体制は以下のページをご覧ください。
人権方針・エンゲージメント
自然関連の依存、インパクト、リスク、機会の評価・管理においては、自然との関わりが深い先住民族や地域コミュニティなどのステークホルダーとの関係性が重要であることから、TNFDでは組織の人権方針について、ガバナンスの側面で開示することが推奨されています。
当社では、2019年に取締役会の承認を得て「出光グループ 人権基本方針」を策定し、世界人権宣言およびILOの「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」等、国際的に認められた人権の尊重を宣言しました。本方針では、「土地や水、天然資源の使用」および「先住民の権利の尊重」を当社グループが重視する人権課題として明記しており、これらを踏まえ事業活動を推進しています。詳細は次のページをご覧ください。
戦略
LEAPアプローチによる自然関連の依存、インパクト、リスク、機会の評価
TNFDが推奨するLEAPアプローチに沿って、自然関連の依存、インパクト、リスク、機会の評価を実施しており、順次開示を拡充しています。
●LEAPアプローチの実施計画
生態学的に影響を受けやすいと考えられる地域と関わりのある場所
生態学的に影響を受けやすいと考えられる地域と関わりのある場所(Sensitive locations)の特定のため、製造拠点の生物多様性にとって重要な地域との近接性および物理的な水リスク分析を実施しています。
生物多様性にとって重要な地域との近接性について、IUCN保護地域カテゴリーのIa(厳正保護地域)、Ib(原生自然地域)、Ⅲ(天然記念物)に近接する拠点はありませんが、IUCN保護地域カテゴリーⅡ(国立公園)の半径5km圏内に位置する拠点が存在します。
物理的な水リスクについては、アジア地域に所在する一部の製造拠点が、Aqueduct Water Risk Atlas※1による評価において、水ストレスが「High」または「Extremely High」と評価される地域に位置しています。ただし、これらの製造拠点の生産プロセスはいずれも大量の水を必要とするものではなく、2024年度における水ストレスが高いと評価された拠点の取水量の合計は、グループ全体の取水量の0.01%未満です。また、各拠点へヒアリングを実施し、いずれの製造拠点においても水不足による操業上の問題は発生していないことを確認しています。加えて、潜在的なリスク軽減のため、水の循環利用の推進や、貯水槽の整備などの取り組みも継続的に行っています。このような状況を踏まえ、現時点において水不足が操業に重大な影響を及ぼす可能性は低いと考えています。
●Sensitive locationsの分析に用いた指標・ツール
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●生物多様性にとって重要な地域と近接している拠点数 (半径5km圏内)
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| 該当拠点数※2 | 0 | 0 | 1 | 0 |
●水ストレスの評価結果
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(<10%) |
(10-20%) |
(20-40%) |
(40-80%) |
(>80%) |
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WRI(World Resources Institute)が開発した水リスク評価ツール
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分析対象:本体連結内の製造拠点および油槽所等 83拠点
事業活動の自然への依存とインパクト
自然関連のリスクと機会を特定するためには、まず自然への依存とインパクトを把握する必要があります。事業プロセスごとの自然への依存とインパクトを分析可能なオンラインツールであるENCORE※を用いてプロセスごとの依存とインパクトを整理し、重要度が高いと評価されるプロセスについては直接操業拠点の状況を調査した上で、関連する取り組みと併せて整理しています。関連する取り組みについては、本ページ内の「取り組み」における「事業活動の自然へのインパクトの低減」をご覧ください。
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国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)や金融機関が共同で開発した事業プロセスの自然への依存とインパクトを評価するツール
●実施ステップ
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使用段階については、燃料油事業は陸上輸送、空輸、水上輸送、石炭事業は化石燃料によるエネルギー生産を参照
●ENCOREを用いたプロセスごとの依存とインパクトの整理
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VH:Very High、H:High、M:Middle、L:Low、VL:Very Low
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2024年6月時点の評価結果
●燃料油事業の自然への依存とインパクトの概要
自然関連のリスクと機会
自然関連のリスクと機会は、事業活動における自然への依存とインパクトから生じることを踏まえ、事業拠点ごとの地域特性や自然への依存とインパクトの程度、制度動向や社会的要請などの外部要因を考慮した分析に取り組んでいます。
物理的リスクとしては、生産プロセスで使用する水資源の供給量減少に伴う操業上の制約やそれに対応するための追加的なコストの発生が挙げられます。各事業拠点においては、水の循環利用や貯水槽の整備などの取り組みを継続的に実施し、潜在的なリスクを軽減しています。
移行リスクとしては、事業活動による環境影響に対する懸念を背景とした社会的評価の低下、環境関連法規制の改正・強化による操業上の制約やそれに対応するための追加的なコストの発生、油漏洩等の環境事故発生時における損害賠償責任の発生や社会的信頼の低下などが考えられます。当社グループは、環境保全の方針および環境マネジメント体制のもと、各事業拠点において環境負荷低減に向けた取り組みを継続的に推進してきました。これらの取り組みは、自然関連の移行リスクの低減に資するものと考えています。各拠点における具体的な取り組みについては、本ページ内の「取り組み」をご覧ください。
なお、自然関連の依存、インパクト、リスク、機会の特定にあたっては、気候変動との相互影響の考慮が重要であることを認識し評価を行っています。気候関連のリスクと機会、取り組みについては、「カーボンニュートラル、気候変動対応」のページで開示しています。
今後も、自然環境の状態や社会的要請の変化を踏まえ、自然関連のリスクと機会の内容や重要度について継続的な見直しと評価を行っていきます。
リスクとインパクトの管理
自然関連課題の特定・評価プロセス
TNFDが推奨するLEAPアプローチを参照し、自然関連課題の特定・評価・管理プロセスを検討しています。
●自然関連課題の特定・評価プロセス
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指標と目標
自然関連課題の評価・管理のための測定指標
TNFDが示す自然への依存とインパクトに関するコアグローバル指標に関する当社グループの開示情報は次の通りです。
●自然への依存とインパクトに関するコアグローバル指標
| 番号 | 指標 | 開示状況 | |
|---|---|---|---|
| GHG排出量 |
・Scope1,2,3(Ca.11) 排出量 サステナビリティ>ESGデータ |
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| C1.0 |
土地/淡水/ 海洋の変化 |
全空間フットプリント | - |
| C1.1 | 陸/淡水/海洋の利用変化の範囲 |
・オーストラリア石炭鉱山の鉱山総開発エリアとリハビリテーション実施状況 本ページ内「取り組み」 |
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| C 2.0 | 汚染・汚染除去 | 土壌に排出される汚染物質のタイプ別割合 |
・化学物質(PRTR)の土壌排出量 サステナビリティ>ESGデータ |
| C2.1 | 排水量 |
・排水量 ・水質汚濁負荷量(COD、全窒素、全リン) サステナビリティ>ESGデータ |
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| C2.2 | 廃棄物の発生と処理 |
・有害および非有害廃棄物の発生量、リサイクル量 サステナビリティ>ESGデータ |
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| C2.3 | プラスチック汚染 |
・プラスチック廃棄物発生量 サステナビリティ>環境>循環型社会 |
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| C2.4 | 温室効果ガス(GHG)以外の大気汚染物質総量 |
・大気汚染物質排出量(SOx、NOx、ばいじん、揮発性有機化学物(VOC)) サステナビリティ>ESGデータ |
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| C3.0 | 資源使用/資源補充 | 水不足地域からの取水量と消費量 |
・Aqueductで高水ストレス地域と評価される拠点の取水量比率 本ページ内 「戦略」 |
| C3.1 | 陸/海洋/淡水から調達する高リスク天然一次産品の量 | - | |
取り組み
事業活動の自然へのインパクトの低減
当社グループは、環境保全方針および環境マネジメント体制のもと、各事業拠点において環境負荷の低減に向けた取り組みを継続的に推進しています。主な取り組みは次の通りです。
●主な取り組み
| 事業 | プロセス(場所) | 主な取り組み |
|---|---|---|
| 燃料油 | 輸送 |
・バラスト水処理装置の導入等によるバラスト水を介した外来種の生態系攪乱の防止 ・船体ダブルハル化等の油濁事故対策による海洋汚染の防止 ・排ガス再循環システムやSOxスクラバー導入による大気汚染物質排出量の削減 |
| 石油精製 |
・水リサイクルによる水使用量の削減 ・運転改善や設備改善によるGHG削減 ・活性汚泥処理装置等の設置による水質汚染の防止 ・排煙脱硫装置や排煙脱硝装置、電気集塵機等の設置による大気汚染の防止 ・定期的な配管検査や万が一の油流出に備えたオイルフェンス等の設置による油流出の防止 ・廃棄物のリサイクル等による最終処分量の低減 ・騒音源となる設備への防音カバー等の設置による騒音の防止 ・臭気の原因物質を含むガスの洗浄回収による臭気の防止 |
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貯蔵 (油槽所) |
・貯蔵タンクの固定屋根式から浮き蓋式への構造変換やVOC回収装置の設置によるVOC排出量の削減 ・油水分離槽等の設置による水質汚染の防止 ・土壌汚染対策法に基づいた土壌汚染調査 |
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| 資源 | 石炭採掘 |
州/連邦政府によって承認された厳格な許可と管理計画に基づいた環境影響管理を実施しており、具体的な主な取り組みは下記。 ・リハビリテーション※1による石炭採掘跡地の回復と生物多様性オフセット※2 ・地下水位、大気汚染物質、水質汚染物質、掘削発破による騒音・振動等のモニタリング ・コミュニティ諮問委員会の開催等による地域へのエンゲージメント ・アボリジニステークホルダー協議フォーラム会議開催によるアボリジニ・コミュニティとの情報交換と対話の継続 |
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鉱山採掘が終了した後の土地に表土を戻し原状と同じ種類の植物を植え、生物多様性を回復させる活動
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鉱山採掘によって失われた生態系や生物多様性を補償するために行われる措置
※詳細はLEAPアプローチ関連情報>事業の自然への依存とインパクト・関連する取り組みをご覧ください。
ENCOREによる評価では、石炭採掘は陸上生態系との関わりが深いプロセスとして整理されています。※3こうした評価を踏まえ、具体的な事例としてボガブライ鉱山での取り組みを紹介します。
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3 本ページ内「事業活動の自然への依存とインパクト」を参照
ボガブライ鉱山での生物多様性に関連する取り組み
石炭の採掘事業は地下に埋蔵している石炭を採掘します。露天掘り鉱山の場合、表土を取り除き、その時点では生物多様性にマイナスの影響を与えます。ボガブライ鉱山では、採掘事業に伴う生物多様性への影響を最小限に抑えるため、体系的な環境影響管理を実施しています。これは地域コミュニティとの協議を経て、州・連邦政府により承認された許認可条件に従い、包括的な環境影響評価に基づき実行しています。
【環境影響管理】
石炭採掘事業において、鉱山の開発計画段階から環境への影響を可能な限り低減することを重視しています。例えば、新設するインフラの計画見直しや既存設備の長期利用・優先利用などを通じて、残存する植生へのさらなる影響を回避しています。また、植物の伐採は必要最小限にするとともに、段階的な伐採の実施により生態系への影響を最小限に留めるよう努めています。
これらの回避・最小化の取り組みを実施したうえで、リハビリテーションや生物多様性オフセットを推進しています。
【採掘跡地のリハビリテーション】
ボガブライ鉱山では、「リハビリテーション管理計画」に基づき、石炭採掘後、土砂を埋め戻したのちに、表土を戻し、地域の植生・生物多様性の回復に努めています。「リハビリテーション管理計画」には、採掘後の整地・植生回復などを一貫して実施するための計画、ならびに最終地形、最終土地利用の方法およびリハビリテーションの目標が明記されています。
リハビリテーションによる生態系の回復状況は、植生、土壌、動物調査を通じて、定期的にモニタリングしています。
ボガブライ鉱山のリハビリテーションのフローと実施状況は次の通りです。
●採掘現場のリハビリテーション
●ボガブライ鉱山のリハビリテーション実施状況(単位:ha)
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リハビリ後2年経過
リハビリ後4年経過
リハビリ後15年経過
リハビリ後2年経過
リハビリ後4年経過
リハビリ後15年経過
リハビリ後2年経過
リハビリ後4年経過
リハビリ後15年経過
【生物多様性オフセット】
生物多様性オフセットとは、採掘事業により避けることができない生態系エリアへの影響を補償するために、別の場所で影響を受けるエリアと同等以上の面積の土地の保全・植生回復措置を行い、地域全体としての生物多様性を維持・向上させる仕組みです。
ボガブライ鉱山では、採掘エリア1,459ヘクタールに対して11,500ヘクタール以上の生物多様性オフセット地域を取得しています。オフセット地域には、草地、河川林、肥沃土壌の森林、低栄養土壌の低木林、元農地など多様な植生が含まれています。
オフセット地域は、地域の生物多様性の維持・向上を目的としたバイオダイバーシティオフセット戦略に基づき、管理しています。バイオダイバーシティ管理計画において、オフセット地域における植生の再生、動物生息地の回復、害獣・雑草・外来種管理などについて、具体的な管理手法と達成基準を定めており、本計画に基づき、多様な管理措置が継続的に実施されています。
生物多様性オフセットの主な目的
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採掘活動に伴うオフセット(代替環境保全)区域の確保
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リアード州立森林公園、ナンデワー山脈、ナモイ川の間の植生を結び、重要な東西野生生物回廊を強化すること
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地域の絶滅危惧種に質の高い生息地を提供すること
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地域のWhite Box woodland※を保護、維持、再生すること
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オーストラリア連邦法で絶滅危惧生態系に指定されているオーストラリア東部に分布する在来の森林生態系
環境管理計画および実施状況の詳細は、Idemitsu AustraliaのHPをご覧ください。
生物多様性保全活動
生物多様性の保全につながる活動である緑化の取り組みは、当社初の製油所である徳山製油所(現 徳山事業所)の建設(1957年竣工)に始まります。当時は、工場立地法などの工場緑地に関する規制や法律は施行されていませんでしたが、市民に愛される工場作りが必要であると考えた創業者の出光佐三は、産業と自然が融和する緑豊かな公園工場の実現を提唱し、徳山製油所には西洋風の庭園を配した大きな緑地が設けられました。創業者の思いは、その後、各地に建設された製油所や事業所にも継承され、現在でも緑地関連活動を継続しています。
加えて、生物多様性の保全は、地域の自然との共生という観点から、地域コミュニティと連携した取り組みが重要であると考え、各地において他団体と様々な連携をして取り組みを行っています。主な生物多様性に関連する活動は次の通りです。
●主な生物多様性関連活動
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エンゲージメント |
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4 公益財団法人都市緑化機構が主催する「社会・環境貢献緑地評価システム(SEGES:Social and Environmental Green Evaluation System)」
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5 30by30の実現に向け、民間の取り組みなどによって生物多様性の保全が図られている区域を「自然共生サイト」として国(環境省)が認定する仕組み
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6 周辺企業とともに「知多半島グリーンベルト」として登録
緑地管理
【構内緑地に生息する動植物のモニタリング(北海道製油所)】
北海道製油所は、潮風や火山灰など苫小牧特有の厳しい環境条件の中、犠牲林や築山の築造、塩害フェンスの設置など試行錯誤の末、緩衝緑地を実現させ、ななかまど、白樺、黒松など約12,000本を育てています。現在では生き物のすみかとしても機能しており、2012年から植物、トンボ類、鳥類、貝類の調査を実施しています。2016年から3年ごとに継続して実施している「鳥類 さえずりモニタリング」と「鳥類 渡り鳥モニタリング」では北海道製油所の緑地に生息する鳥類の多様性が概ね維持されていることや製油所の緑地が小鳥たちの恒久的な渡りルートになっていることが示されています。詳細は次のページをご覧ください。
【構内緑地の「郷土の森」への改善活動(千葉事業所)】
千葉製油所(現 千葉事業所)は1963年の操業開始と同時に幅100m、長さ3kmのグリーンベルトを中心とした緑地を整備し、維持・管理を実施してきました。加えて、地域の自然林である「郷土の森」と呼ばれる常緑広葉樹林を目指して、2011年から工場操業開始時に構内に植生した樹木を外来種の植物から日本(特に房総半島)に自生する植物への植え替えを行う活動を実施しています。2011年に、他の樹種を被圧していたシナサワグルミなどの外来種を計画的に伐採し、その後に千葉県沿岸部の自然林に普通に生息しているタブノキ、スダジイ、エノキ、ハゼノキなど合計100本を植樹しました。その後も植栽木を被圧する上層木の枝の管理等を継続的に実施し、2023年までに植栽樹木が順調に成長し、自然林の低木が生育しています。2022年以降はさらに対象エリアを拡大し緑地の改善を実施しています。
【希少種「ミゾコウジュ」の保護(愛知事業所)】
製油所・事業所において装置を新設する際には環境アセスメントを実施し、生態系調査で確認された希少植物などを保護しています。現在は、愛知事業所の装置建設の際に発見された希少種の植物「ミゾコウジュ」(環境省準絶滅危惧種に指定)を保護区域で保護しています。
【「秋吉台の草原を守り・育む活動」の取り組み(西部石油(株)山陽小野田事業所)】
“秋吉台”の水源保護の一環として、厚東川工業用水利用者協議会(厚東川から工業用水を取水する企業等12社からなる任意組織)による水源保全協働活動の「秋吉台の草原を守り・育む活動」へ参画しています。
秋吉台の草原を維持する為に重要な活動である”火道切り”作業等のサポーターとして、早春の風物詩である”山焼き”までの保全活動に毎年取り組んでいます。
地域コミュニティとのエンゲージメント
【自然体験イベント「出光生きもの調査隊」の開催(北海道製油所)】
生物多様性の保全を後世に継承することを目的に2014年から構内緑地に生息する動植物をテーマとした小学生を対象とした自然体験イベント「出光生きもの調査隊」を開催しています。詳細は次のページをご覧ください。
【製油所構内八重桜一般開放(北海道製油所)】
北海道製油所構内には約800mにわたり、約80本の八重桜並木が植えられており、満開時には一般公開しています。
他団体との連携
【「法人の森林」制度への参画(北海道製油所)】
北海道製油所では、企業などの法人が国有林の整備に参加して社会貢献・環境貢献活動を行う林野庁の「法人の森林」制度を1996年12月から利用し、当社保有の水源涵養保安林を「出光アッペナイ水源の森林」と名付けて管理しています。
また、2008年5月には、新たに苫小牧市内の分収造林4.5haを借り受け、翌6月に、市内の小学生102名を招待して植林体験学習を実施し、アカエゾマツ、シラカンバ、八重桜を6,500本植樹しました。この森林は、植林に参加した小学生から公募した「出光緑あふれる自然の森林(もり)」と名付け、森林整備を行っていきます。
【「ハスカップバンク」への参画(北海道製油所)】
北海道製油所では、苫小牧自生種のハスカップ資源の保護および保存並びに育成など、またそれに係る技術の取得・研鑽を目的としたハスカップバンクに参画して、地域コミュニティと連携しています。
ハスカップ(苫小牧自生種)
出光ハスカップ園
ハスカップ(苫小牧自生種)
出光ハスカップ園
ハスカップ(苫小牧自生種)
出光ハスカップ園
【「法人の森事業」への参画(千葉事業所)】
千葉事業所では2024年度より千葉県と「法人の森事業」に関する協定を締結し、「出光千葉の森」として森林整備を実施しています。この取り組みは、県有林を対象に企業が千葉県に代わり森林整備を行うことで、地域貢献を行うものです。さらに今後は、森林が吸収するCO₂量を県知事が評価・認証する制度も活用していくことを計画しています。2024年には3回の保全活動(草刈り、数年前の大型台風で破損した遊歩道の整備等)を実施しました。
【「命をつなぐPROJECT」への参画(愛知事業所)】
愛知事業所は生物多様性を向上させ、生態系ネットワーク形成を推進する「命をつなぐプロジェクト」※1の主要メンバーとして活動しています。2024年度は、本プロジェクトのイベント「LOVE GREEN DAY 2024」に参加しました。
本プロジェクトは、緩衝緑地帯での生物多様性に寄与する取り組みのプロトタイプになり得る点やCOP10(2010年)から続く社会的な枠組みであることなどが高く評価され、2024年10月に、第44回 緑の都市賞※2において最上位である内閣総理大臣賞を受賞しました。
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「命をつなぐプロジェクト」:愛知県内の行政、企業、大学生、専門家などが緑を増やして生物が暮らしやすい環境づくりを目標に活動している取り組み
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公益財団法人都市緑化機構が主催する緑豊かな都市づくりの推進を目的に、みどりを用いた環境の改善、景観の向上、地域社会の活性化などに先進的かつ意欲的に取り組み、良好な成果を上げている市民団体、企業、公共団体などを表彰する賞
LOVE GREEN DAY 2024の様子
LOVE GREEN DAY 2024の様子
LOVE GREEN DAY 2024の様子
【「ツルのねぐら整備」ボランティアへの参加(徳山事業所)】
徳山事業所では、周南市八代地区に10月下旬頃、渡ってくる絶滅危惧2類に指定されているナベヅルの保護のため、周南市が進める「ツルのねぐらづくり」のボランティア活動に毎年参加、協力しています。
「ツルのねぐらづくり」の様子
「ツルのねぐらづくり」の様子
「ツルのねぐらづくり」の様子
【「まちと森と水の交流会」への参加(徳山事業所)】
周南農林水産事務所が主催する「まちと森と水の交流会」は、県民の生活や企業活動に欠かせない森林の持つ水源涵養機能や地球温暖化防止機能等について理解を深めるとともに、森林の整備や適切な管理に対する自主的な活動を促進していくことを目的として、利水企業等幅広い参加のもと水源の森の整備を実施するものです。
工業用水利用者協議会に加盟し利水を行う当社もこの活動に参加しています。
「まちと森と水の交流会」の様子
「まちと森と水の交流会」の様子
「まちと森と水の交流会」の様子
イニシアチブへの参加
30by30アライアンスへの参画
当社は30by30※の目標達成に向け、環境省(事務局)、有志の企業・自治体・団体から成る「生物多様性のための30by30アライアンス」に、2022年4月の発足時から参画しています。
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30by30:2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標
クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)
山口県周南市 木質バイオマス材利活用推進協議会
評価
「社会・環境貢献緑地評価システム(SEGES)」の最高位取得(北海道製油所、愛知事業所)
当社の製油所・事業所周辺地域の生態系保全活動は、外部機関からも高く評価されており、公益財団法人都市緑化機構が主催する「社会・環境貢献緑地評価システム(SEGES:Social and Environmental Green Evaluation System、シージェス)」の評価において、北海道製油所と愛知事業所が5段階の最高位(Superlative Stage)を取得しています。
加えて愛知事業所は、2016年からSEGES最高位に認定されており、緑地の価値向上への大きな貢献が評価され、2023年に「緑の殿堂」に認定されました。具体的には、外来種の除伐と在来種転換・林冠ギャップの形成によるグリーンベルト内の森林サイクルの健全化、行政・学生と連携した生態系ネットワークの再生に向けた取り組みなどが高く評価されています。なお、「緑の殿堂」への認定は、国内企業緑地として10番目であり、国内元売製油所としては初めてです。
続けて、北海道製油所も2025年に「緑の殿堂」に認定されました。
操業以来、苫小牧特有の厳しい自然環境のもとで構内の緑化活動に取り組み、潮風や火山灰から樹木を守るため、ネットフェンスの設置や築山の造成など工夫を重ね、これまでに2万本の樹木を育成しています。さらに、約200mの八重桜並木を50年以上にわたり大切に育てており、春には一般公開しています。また地域特産のハスカップの自生種の保全・育成活動に参加し、構内敷地の一部を栽培園として地域に開放しています。この他にも、構内の動植物を題材とした小学生向けの環境学習を通じて自然の大切さを学ぶ機会を提供するなど、自然財産の継承にも力を入れています。
当社は今後も、緑地の維持・発展と地域の自然環境への貢献に向けた取り組みを継続していきます。
愛知事業所の緑地
愛知事業所の緑地
愛知事業所の緑地
八重桜の植栽
SEGES 評価ポイント
1. 土地利用の永続性:緑がそこにあること、あり続けることができる仕組みがある。
2. 緑地管理:緑地がつくられるプロセス、守り、育てられるプロセスが明確である。
3. 緑地機能の発揮:緑地が社会・環境に貢献している。
4. 緑地の将来性:社会・環境に貢献する緑地のありかたに関する考え方や姿勢、緑ゆたかな社会づくりを牽引する取り組みの先進性、独自性がある。
自然共生サイトへの認定(北海道製油所)
30by30の実現に向け、民間の取り組みなどによって生物多様性の保全が図られている区域を「自然共生サイト」に国(環境省)が認定する仕組みを構築しており、2023年に北海道製油所が「自然共生サイト」に認定されました。
北海道製油所では1973年の操業時から「緑豊かな公園工場」を目指して周囲の自然環境と調和する緑地管理を実践し、操業50年を迎えた現在では多様な動植物が生息する樹林が形成されています。構内緑地では桜並木の一般公開、小学生を対象とした自然体験イベント「生きもの調査隊」、自生ハスカップ保護育成活動への参加などの地域貢献活動を実施しています。
なお認定区域は、保護地域との重複を除き、「OECM(保護地域以外で生物多様性保全に資する地域)」として国際データベースに登録されました。
