LEAPアプローチ詳細情報

事業の自然への依存とインパクト・関連する取り組み

出光グループが操業するプロセス・拠点の主な自然への依存とインパクト、関連する取り組みは次の通りです。

燃料油事業

【原油輸送船】

●原油輸送船における自然への依存とインパクト・関連する取り組み(出光タンカー(株)管理船舶)

依存 生態系サービス 概要
気候調整 安定した気候条件がなければ原油輸送船の安定運航が困難になる可能性があります。
インパクト インパクトドライバー 概要 与えうるインパクト
大気汚染物質 原油輸送船で発生する主な大気汚染物質には、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、粒子状物質(PM)があります。 生態系劣化・健康被害
水質汚染物質 船舶事故により積載した原油が流出した場合、海洋汚染を引き起こします。
外来種の侵入 バラスト水に含まれた動植物プランクトンや海藻の断片等が到着港で放出されると到着港の生態系に悪影響を及ぼす可能性があります。 外来種持込による生態系攪乱
取り組み 項目 概要
大気汚染の防止 排ガス再循環システムやSOxスクラバーの導入、低硫黄重油の使用等により大気汚染物質の排出量を削減しています。
油漏洩事故対策 運航している全ての大型タンカーは軽微な損傷事故で原油が流出する危険を防ぐダブルハルとなっており、油濁リスクを低減しています。また、船上での定期的な防災訓練、全乗務員への安全・環境教育を実施しています。
環境>廃棄物・化学物質・汚染予防>水質汚濁、海洋汚染防止
バラスト水を経由した外来種による生態系攪乱の防止 バラスト水処理装置を使用したバラスト水中の有害な水生生物・病原体の殺滅により、外来種持ち込みによる生態系を防止しています。
環境>生物多様性>取り組み
  • 船舶の安全確保のために重しとして使用する水(海水)

【製油所/事業所】

●製油所/事業所における自然への依存とインパクト・関連する取り組み

依存 生態系サービス 概要
水供給・水質 製油所/事業所では、石油精製の過程でプロセス流体の冷却用に一定量の水が必要です。当社の製油所/事業所および連結精製会社の取水のうち約94%は海水、約6%は工業用水(河川水)を利用しています。
インパクト インパクトドライバー 概要 与えうるインパクト
水利用 製油所/事業所では、石油精製の過程でプロセス流体の冷却用に一定量の水が必要です。当社の製油所/事業所および連結精製会社の取水のうち約94%は海水、約6%は工業用水(河川水)を利用しています。 使用河川域の生態系劣化
大気汚染物質 製油所/事業所で発生する主な大気汚染物質には、燃料の燃焼に伴い発生する硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、ばいじん、石油の精製過程や貯蔵タンクへの受け入れ時やローリー等への積み込み時に排出されるVOC(ベンゼン、トルエン、キシレン等)があります。 生態系劣化・健康被害
水質汚染物質 製油所/事業所で発生する主な水質汚染物質には、排水中に含まれる油分、窒素、リン等があります。
土壌汚染物質 油や油を含む排水配管から漏洩した場合、土壌汚染を引き起こす可能性があります。
固形廃棄物 製油所/事業所では製油所の精製工程における一部の廃触媒、タンク等の機器清掃時の残渣物(スラッジ)、排水処理設備から回収される汚泥などが発生します。
生活妨害 製油所/事業所では、フレアリングによる騒音、煙突からの臭気が発生する場合があります。
取り組み 項目 概要
水リサイクルによる水使用量の削減 石油精製の過程でプロセス流体の冷却用に使用した工業用水を一回の使用で排水とせずに循環利用することにより水使用量を削減しています。工業用水の9割以上をリサイクル利用しています。
環境>水資源>製油所・事業所における水の循環利用の強化
水使用量の削減(他社との協働) 愛知事業所では隣接する知多エル・エヌ・ジー(株)のLNG気化器から排出される冷水をプロセス冷却水として有効活用することで、知多地区全体での取水量の削減に貢献しています。
環境>水資源>他社と協働した水使用量の削減
水質汚染の防止 製油所/事業所では、水質汚染防止のため、活性汚泥処理装置や活性炭処理装置等の複数の設備を備えており、水質汚濁防止法や地方行政と締結した公害防止協定に基づく基準を確実に遵守するために、より厳しく設定した管理値を設け操業しています。
環境>水資源>水質管理への取り組み
大気汚染の防止 製油所/事業所では、大気汚染防止のため、排煙脱硫装置、排煙脱硝装置、電気集塵機等の複数の設備を備えており、大気汚染防止法や地方行政と締結した公害防止協定に基づく基準を確実に遵守するために、より厳しく設定した管理値を設け操業しています。
環境>廃棄物・化学物質・汚染予防>大気汚染防止
VOC排出量の削減 原油、石油製品はVOC排出を抑制可能な浮き屋根式タンクで貯蔵し、製品出荷時にVOCを回収するなど、排出の抑制に努めています。
環境>廃棄物・化学物質・汚染予防>PRTR物質の管理
土壌汚染の防止 施設の閉鎖や建て替えといった土地の形質変更が生じる場合には、土壌汚染対策法に従い土壌汚染調査を再度実施するなど、適切に管理し汚染の未然防止に取り組んでいます。
環境>廃棄物・化学物質・汚染予防>土壌汚染対策
廃棄物の削減 産業廃棄物最終処分量を発生量の1.0%以下に保つことを目標として、中間処理による減量化やセメント原料などへのリサイクルを進めることで、産業廃棄物最終処分量の削減に取り組んでいます。
環境>廃棄物・化学物質・汚染予防>廃棄物削減
油漏洩事故対策 定期的な配管検査を行い配管からの油漏洩を防止しています。また、万が一の油流出に備え、各製油所/事業所には、油水分離装置やオイルフェンス等が設置されています。
騒音の防止 民家が近い製油所/事業所では、騒音源となる設備への防音カバー等の設置により騒音を防止しています。
臭気の防止 臭気の原因物質を含むガスの洗浄回収により臭気を防止しています。

【油槽所】

●油槽所における自然への依存とインパクト・関連する取り組み

インパクト インパクトドライバー 概要 与えうるインパクト
大気汚染物質 油槽所で発生する大気汚染物質には、貯蔵タンクへの受け入れ時、ローリー等への積み込み時に排出されるVOC(ベンゼン、トルエン、キシレン等)があります。 生態系劣化・健康被害
水質汚染物質 油槽所で発生する排水には油分が含まれる可能性があります。
土壌汚染物質 油分の漏れ出しが起こった場合には土壌汚染を引き起こす可能性があります。
取り組み 項目 概要
VOC排出量の削減 当社グループの油槽所ではVOC排出を抑制可能な浮き屋根式タンクを採用しています。
環境>廃棄物・化学物質・汚染予防>PRTR物質の管理
水質汚染の防止 排水中の油分は油水分離槽で分離し排出しています。
土壌汚染の防止 施設の閉鎖や建て替えといった土地の形質変更が生じる場合には、土壌汚染対策法に従い土壌汚染調査を再度実施するなど、適切に管理し、汚染の未然防止に取り組んでいます。
環境>廃棄物・化学物質・汚染予防>土壌汚染対策

石炭事業

【石炭鉱山】

●石炭鉱山における自然への依存とインパクト・関連する取り組み(ボガブライ鉱山)

依存 生態系サービス 概要
水供給 石炭採掘では、粉塵抑制や石炭洗浄などに地表水・地下水を使用しています。
気候調整 安定した気候条件がなければ石炭の採掘が困難になる可能性があります。
インパクト インパクトドライバー 概要 与えうるインパクト
水利用 石炭採掘では、粉塵抑制や石炭洗浄などに地表水・地下水を使用しています。 使用河川域の生態系劣化
陸域の利用変化 ボガブライ鉱山では露天掘りにより採掘を行っており、掘削や発破作業、運搬路の整備などで土地を利用しています。 陸上生態系劣化
大気汚染物質 石炭鉱山で発生する主な大気汚染物質には、掘削や発破作業、大型車両の移動により生じる粉塵があります。 生態系劣化・健康被害
水質汚染物質 採掘に関わる排水には浮遊物質および金属の含有や塩分濃度上昇、pH変化の可能性があります。
土壌汚染物質 汚染水や燃料、危険物質が土壌へ排出された場合には、土壌汚染を引き起こす可能性があります。
廃棄物 一般廃棄物、金属スクラップ、廃油、化学廃棄物等の廃棄物が発生します。
生活妨害 掘削・発破作業による騒音・振動が発生します。
取り組み 項目 概要
全般 ボガブライ鉱山では州政府と連邦政府によって承認された厳格な許可と管理計画に基づいて事業を実施しており、政府やコンサルタント、地域の他の鉱山と緊密に連携し環境への潜在的な影響を管理しています。取り組みの詳細についてはIdemitsu AustraliaのHPをご覧ください。
Idemitsu Australia Boggabri Coal
陸上生態系へインパクトの低減
-リハビリテーションによる石炭採掘跡地の回復、生物多様性オフセット、モニタリング
採掘後に表土を戻して、原状と同じ種類の植物を植え生物多様性の回復に努める活動(リハビリテーション)を行い、周辺環境へのインパクトを最小限にとどめています。掘削した面積、リハビリテーションを実施した面積などを情報開示しており、今後も継続していきます。
環境>生物多様性>取り組み
州政府と連邦政府に承認された生物多様性オフセット戦略に従って生物多様性オフセットを実施し、Leard state森林公園、ナンデワール山脈、ナモイ川の間の植生を結ぶ野生生物回廊の強化や地域の絶滅危惧種への質の高い生息地の提供等に取り組んでいます。
リハビリテーション地域や生物多様性オフセット地域、Leard stateの森林生物多様性回廊などのモニタリングを実施しています。
取水管理 管理計画に従い取水するとともに、地下水位のモニタリングを実施しています。
大気汚染の防止 粉塵やPM10、総浮遊粒子状物質をモニタリングしています。リアルタイムの空気質管理システムを継続的に稼働し、システムによるアラートにより、大気汚染物質排出量を適切に管理し基準を遵守するために作業の見直しを実施できる体制を構築しています。
水質汚染の防止 敷地内からの流出水と地下水の水質評価を実施しています。モニタリングパラメータには電気伝導率、pH、温度、金属、窒素、リンなどがあります。
土壌汚染の防止 作業場や車両の洗浄水は、貯水槽や分離槽に集められ、適切に処理・廃棄しています。燃料等は二重壁の地上タンクに保管されています。
廃棄物・廃水の削減 可能な限りリサイクルすることで廃棄物を削減しています。洗浄場に油水分離機を設置することで廃水を最小限に抑え、水を再利用しています。
掘削発破による騒音・振動モニタリング 現場での騒音レベルや発破時のピーク振動のモニタリングを実施しています。
地域コミュニティ・先住民族とのエンゲージメント コミュニティ諮問委員会を四半期に一度開催しています。(議題例(2023年):活動概要、生物多様性オフセット領域、規制当局とのやりとり、地域からの苦情など)
24時間対応の相談窓口を運営しています。苦情の内容はコミュニティ諮問委員会で報告するとともにウェブサイトでも公開しています。
アボリジニステークホルダー協議フォーラムミーティングを開催して、アボリジニ・コミュニティとの対話を継続しています。