現在の
仕事内容について

担当設備の“かかりつけ医”として、
設備トラブルを未然に防ぐ。

私が勤務する千葉事業所は、燃料油の精製・製造と石油化学製品の製造を行う国内最大規模の製造拠点です。広大な敷地には蒸留塔やタンク、各種製造装置など様々な設備が配置され、網目のような配管で結ばれています。工務課は、この膨大な設備・機器の維持管理を主業務として、保全マネジメントシステムの遂行・改善や設備トラブルシューティングなどに取り組んでいます。私はマテリアルエンジニアとして、流動接触分解装置(FCC装置)をはじめとする石油精製の主要設備のトラブルシューティングを担当し、改造工事や保全マネジメントシステムの改善提案を行っています。
設備エンジニアは“設備の医者”とも例えられるように、物言わぬ設備の状況を診断し、不調を早期発見して対策を講じていくことが、最大のミッションです。設備は正常に稼働して当たり前。その意味で、設備エンジニアは普段目立つことのない縁の下の力持ち的存在ですが、一度大きなトラブルが生じれば操業が停止し、収益にも大きな影響を与えます。そうした事態を未然に防ぐため、私たちは担当設備の“かかりつけ医”として静かな誇りと使命感を胸に秘めて、日々設備と向き合っています。

私の
挑戦と失敗

二度と同じトラブルを起こさぬよう
新たに得た知見を別の設備に活かす。

設備の維持管理は、過去の様々なトラブルから得られた知見の上に成り立っているといっても過言ではありません。しかし近年では、処理能力増強による装置運転条件の変更や設備の高経年化などにより、これまで経験しなかった設備トラブルが発生することもあります。その際に実施するトラブルシューティングでは、事例や文献に基づいたアプローチのみでは不十分となり、原理原則に従いすべてを疑って見ることが必要です。そこで、あらゆる仮説を設定し、社内のプロセスエンジニアやCAE解析エンジニアなどの“専門医”とともに検証を繰り返し、ひとつずつ可能性をつぶしていくわけですが、複雑なトラブルであるほど困難を伴います。加えて、トラブル発生時は燃料油の出荷に影響することもあるため、迅速な対応が求められることも業務を難しくする要素となります。しかし、こうしたトラブルを乗り越えていくことで、設備の維持管理レベルを着実に高め、同じ要因によるトラブルを未然に防ぐことが可能になります。
過去には、これまで問題なく運転していた設備でトラブルが発生し、想定外の事態を経験しました。材質や解析、プロセスの各専門家と討議を重ねた結果、劣化損傷の原因が腐食ではなく、複雑な応力場と温度による劣化損傷であることを突き止めることができたのです。そこで同様の条件下にある配管すべてに必要な措置を講じ、二度と同じトラブルを起こさないよう対処することができました。
今では、設備管理業務に携わって約10年が経ち、経験を積んできた中で、トラブルに対応し、再発を防ぐという「縁の下の力持ち」の役割だけでは、もの足りないという思いがでてくるようになりました。そこで、攻めの姿勢で自ら積極的に価値を生み出していくために、経営的な視点を持った「稼げる設備管理」に取り組んでいます。わたしの担当するFCC装置について、社内外の事例を体系的に整理することで業界のベストプラクティスをまとめ、構造・流動解析も応用することで、不調箇所を早期に発見するシステムを構築しました。近年では稼働率最大化を達成することで、経営に貢献することができました。

※CAE解析:「Computer Aided Engineering」の略。機械設計のプロセスにおける、コンピューターを利用したシミュレーションや解析のこと。

将来の目標・
キャリアビジョン

エネルギー変革の時代は、
チャレンジのチャンスだ。

エネルギー供給の使命がある限り、設備管理に終わりはありません。脱炭素社会に向けて石油精製を取り巻く環境は大きく変化し、出光でもCNX(Carbon Neutral Transformation)センター化など新たな取り組みが進められています。しかし、どれほど脱炭素化が進み、既存のエネルギーが再生可能エネルギーに置き換わっても、設備管理は必要です。石油精製や石油化学の既設設備を活用して、カーボンニュートラルに取り組むということであれば、既存の設備管理の考え方が役に立つと考えていますし、今後、新たなプラントを導入する場合には新たな設備管理の考え方が必要となってくるでしょう。いずれにしても、設備管理の重要性は今後も増していくと考えています。
もちろん、製造するものが石油からバイオ燃料に代われば製造設備も大きく変わりますが、設備の健康を維持する“かかりつけ医”の役割は同じです。過去の知見がまったくない設備の維持を一から企画し、最適な保全マネジメントシステムを考案することになるでしょう。成熟しつつあった石油精製が変換を迎えるタイミングで新たな領域にチャレンジできることは、不安というよりむしろ楽しみだと感じています。

質問・回答 Q&A

Q 学生時代に学んだこと、注力したことは?

学生時代は「材料力学」「機械力学」「流体力学」「熱力学」の4力学を中心に学びました。また放射線に関する基礎研究に取り組み、がんの放射線療法の中でも生物学的効果が高い重粒子線治療について、重粒子が人体内で核破砕反応を起こした際の挙動を工学的に解析しました。

Q 出光の志望理由と入社の決め手は?

関心を持っていた原子力発電から派生して、就職活動ではエネルギー業界に興味を持ち、石油業界を志望しました。出光は技術立脚企業として石油精製・石油化学以外の領域でもさまざまな事業を展開しており、キャリアに広がりがあることが大きな魅力でした。また、出光は、経営の原点として「人間尊重」を掲げ、社会から必要とされる事業を生業とするという考えが、私の就職における軸と一致したことも入社を決意した理由です。

Q OFFの過ごし方は?

休日は子ども中心の生活です。最近は少し大きくなって、一緒にサッカーやキャンプを楽しめるようになりました。また、子どもを寝かしつけた後の貴重な隙間時間に読書をする習慣がつきました。『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています(小林昌平・著)』に感化され、本格的な哲学書も読むようになりました。

同僚からの声

一緒に悩んでくれる頼りになる先輩!

後輩:J.T

NAKANOさんには、私のブラザー(育成担当)としてお世話になっていますが、非常に頼りになる先輩です。私が業務で行き詰った際には、その検討に必要な要素を一緒に整理して下さり、私が理解できるまで一緒に悩んでくれます。また、定型業務に留まらず、低炭素社会に向けた困難な課題にも積極的に取り組まれており、その姿に日々刺激を受けています。 そして、仕事だけではなく、私生活の相談にのってもらうことも多々あり、公私ともにお世話になっています。新型コロナウイルス感染対策で、仕事終わりにご飯など行くことが出来ていないことが残念ですが、落ち着いたら是非ご飯をご馳走してください(笑)。これからもご指導宜しくお願いします。

1日のスケジュール例 SCHEDULE

08:00
出社
メールと製油所設備の稼働状況をチェック。とくに問題がなければ予定する業務の準備。
09:00
打合せ
定例報告会で、担当する装置の稼働状況・設備管理状況を関係部署と共有。
10:00
検討業務
経年劣化する装置に対して最適な保全マネジメントシステムを検討。
12:00
昼食

同僚とランチ。

13:00
検討業務
並行して取り組む他検討案件の対応。トラブル発生時はトラブルシューティングも実施。
15:30
打ち合わせ
上司に検討状況を報告し、今後の進め方を討議。
16:30
退社
小さな子どもがいるため積極的に家事を担当しています。