現在の
仕事内容について

潤滑剤の開発を通して製品の進化に貢献し、
社会ニーズに応えていく。

営業研究所は、お客様の潤滑剤へのニーズや課題にお応えする、先進的な潤滑剤および潤滑技術の研究開発を行っています。開発する製品は、自動車用潤滑油、工業用潤滑油、グリースなど多岐にわたり、その中で私は主に、極限環境で使用される潤滑剤の開発を担当しています。これまで、超低温小型冷凍庫で使用される潤滑油や超小型モータ向け軸受油、植物由来の基材を使用した安全性の高いグリースなどの開発に携わってきました。現在は植物原料のベースオイルを用いた生分解性油圧作動油の処方開発や、お客様とともにゴム製品と混じっても問題のないシールオイルの共同開発などに取り組んでいます。とりわけ環境対応型潤滑剤は、世界的なカーボンニュートラルへの流れを受けてニーズが高まっており、国や地域ごとに異なる関連法規や基準を考慮しつつ、なるべく多くの国々で利用可能な製品づくりを目指しています。
潤滑剤は様々な製品に使用されており、社会課題の解決や社会ニーズに応える各種製品の進化に応じて、潤滑剤に求められる性能も日々高度化しています。当然、開発には苦労がつきものですが、潤滑剤の開発を通して各種製品の進化に貢献し、社会のニーズに応えていくことは、私たち研究者の使命であり、また喜びでもあります。

※潤滑剤:潤滑油・グリースの総称

私の
挑戦と失敗

極限環境で使用される潤滑剤開発は、
常にチャレンジング。

極限環境で使用される潤滑剤の開発は、常時チャレンジングです。ミリ単位の超小型モータ用軸受向け潤滑油の開発では、耐久試験には合格したものの、軸受に析出物が発生することが分かりました。析出物の発生(or が発生する)要因は複数考えられますが、超小型モータに使用される潤滑油の量がわずかであり、原因特定が困難でした。そこで、想定される3つの要因すべてについて改良検討を行いました。現在は改良処方を施した潤滑油を需要家にも納得いただき、耐久試験評価を行っているところです。
また、超低温冷凍庫用潤滑油の開発では、-70℃という極低温領域にチャレンジしました。一般に潤滑油に求められるのは、極寒地仕様でも-40℃程度で、-70℃で機械が滑らかに動く粘度の潤滑油基油の選定や、粘度の評価は困難を極めました。低温流動性が良いとされる合成炭化水素油でも、-70℃で実用可能な粘度域で存在するものはありません。そこで、いわゆる潤滑油で知られている基材ではなく、他分野で用いられている液体の化学構造をヒントに独自開発して適用することで、-70℃でも流動する潤滑油の開発に成功しました。世界的な需要により超低温冷凍庫の登場が待たれていたことから、開発期間も短く、困難の多い開発案件でした。しかし、この開発を通して得た低温性能評価への知見も多く、それらを学会で発表したことで、グリースの低温レオロジー測定にも大きく貢献することができました。

※レオロジー:物質の変形と流動とに関する科学

将来の目標・
キャリアビジョン

国際学会での発表を通して、
出光興産の知名度をさらに上げていきたい。

まずは当面の目標として、原油から作られる鉱物油を扱うメーカーとして、どのようにカーボンニュートラル実現に貢献できるかを検討したいと考えています。ひとつの手法として、植物油や植物由来原料からなる潤滑剤の検討を開始しており、酸化安定性や加水分解性の課題を克服するためのトライアルを続けています。
中長期的な目標は、出光興産の潤滑剤を国内外のユーザーに使ってもらうことです。出光興産はオンリーワンの製品も多く、技術力の高さには定評がありますが、世界シェアではまだまだ伸び代があります。グローバルでの知名度に貢献するには、担当分野において第一人者となり、国際学会での情報発信などで存在感を示すことが必要だと考えています。
また今後は、潤滑剤の商品開発だけでなく、トライボロジー分野のメカニズム解明と、これまで培った分子設計技術を活用して、新規分野にも挑戦してみたいです。

※トライボロジー:潤滑・摩擦・摩耗など、相対運動する二つの表面の間におこる現象を対象とする研究分野。

質問・回答 Q&A

Q 学生時代に学んだこと、注力したことは?

有機化学と高分子化学を専攻し、周囲の環境の違いを識別できる蛍光色素の研究を行っていました。異なる種類のポリマーの結合から誘起される構造の、色素による観察を目指し、色素を改質してポリマーと組み合わせる手法を開発しました。精製や評価方法を一から学ぶ大変さがありましたが、何とかポリマーの種類の違いによって、色素が示す色が変化することを見出すことができました。

Q 出光の志望理由と入社の決め手は?

機能を組み合わせて新しい機能を発現させることに面白みを感じ、いろいろな分野とコラボレートして社会に役立つものを生み出す研究者になりたいと考えました。三現主義(現場・現物・現実)を実践し、需要家とともに課題解決に取り組んでいる出光興産ならば、真に社会のために役立つ研究開発が行えると思い、入社を決意しました。

Q OFFの過ごし方は?

特に趣味と呼べるほどのものはありませんが、花を見ることが好きなので、休日には母と一緒に各地の花祭りに出かけたりします。最近では茨城の「水郷潮来あやめまつり」で咲き誇るあやめの花を楽しみました。個人的にはバラが一番好きです。

同僚からの声

徹底的な調査研究と責任感が強み。

先輩:K.T 後輩:K.K

AGANOさんとは同じ営業研究所で仕事をしています。ニッチながらも技術力の試される特殊な潤滑剤の主担当を任されており、お客様が抱える挑戦的な課題に真摯に向き合い、結果を出されています。徹底的に調査研究し、責任を持ってやり遂げる、そこがAGANOさんの強みです。
そんな責任感のあるAGANOさんは、先輩からは頼りにされ、後輩からはアドバイス上手な先輩として慕われています。今はそれぞれ別のチームになりましたが、今後も協力していきましょう!引き続き宜しくお願いします。

1日のスケジュール例 SCHEDULE

09:00
出社
メールチェック、実験計画の作成。
10:00
評価油剤の準備
潤滑剤の配合処方の検討、ブレンド。
12:00
昼食
 
13:00
油剤の評価
摩擦性能、酸化安定性、粘度特性などの評価を実施。
16:00
データ整理
各種評価を整理。
16:30
事務作業
関係者への報告、検討スケジュールの作成など。
17:30
帰社
同僚と一緒にご飯を食べに行くことも。