社外取締役メッセージ
The English version will be available in November.
長田 志織
2024年10月
変革のもっとも近くで重責を担う
石炭をエネルギーとして活用することによって起こった18世紀の産業革命以降、人類は急速に文明を発展させてきました。18世紀半ばまで10億人を超えなかった総人口は、2024年には81億人まで増加することが予測されています。人類の今日の発展は、化石燃料の使用によるものと言えます。しかし、人類文明からの炭素の排出が、地球環境に激甚な影響を与えることが明らかになって以来、新しい闘いが始まりました。人類の繁栄を、地球環境にネガティブな影響を与えることなく、持続していくための闘いです。この闘いに勝てる絵は描けているのか、勝利とは具体的にどのような姿の社会が構築されるということなのか。今、多くの人が懸命に答えを探っています。日本の、そして世界のエネルギー供給を担う出光興産は、この闘いの最前線にいる会社です。当社は、「責任ある変革者」たるべく、他社に先んじて、極めて有望な多数の脱炭素ソリューション開発に着手していますが、さらに一歩先、十歩先に、遠い未来を見据えて進んで行かねばなりません。今後、当社経営陣が、大きな視野でもって世界を見据え、会社が進んでいくべき道筋を定めて行かれるに際し、その困難な作業を、もっとも近くで励まし、知恵を出しあい、オープンかつ率直に議論していくという重責を担わせていただくことに、粛然たる思いでおります。
本質的な課題を追求し、「個」が輝く出光へ
また、荷堂取締役から引き継ぎ、DE&I推進委員会のアドバイザーも務めさせていただくことになりました。当社は、経営の原点として掲げられる人間尊重という言葉通り、もともとの企業文化にI(Inclusion)が強く内包されているように感じており、DE&Iの旗手と言われるような会社に変貌できる素晴らしい可能性があると思います。
たった数十年の間に、社会のかたち・家族のかたち・生き方のかたちは、壮絶に変わりました。いまなお、変わり続けており、世代間のギャップもますます拡大していっています。
画一的な生き方と画一的な働き方をする人財群をベースにした企業文化・制度・仕組みは、変革されるべき時です。全員が異なる生き方をする前提にシフトしなければ、どのような企業も生き残れない時代が来ます。それが、D(Diversity)・E(Equity)だと思います。そのような企業においては、女性はもちろん、あらゆる個が輝くことができます。また、「画一的な生き方と画一的な働き方をする」という期待を背負ってきた世代も、「個が輝く」ことの例外ではありません。
簡単な変革ではありません。これには、会社制度そのもの、場合によっては組織を含む根本的な変革と、従業員全員の行動変容が求められます。社外取締役として、本質的な課題を追求し続けること、また、高い目標を求め続け、その達成を厳しく温かく見守ることによって、当社のDE&Iトランジションの成功に貢献したいと考えています。