イノベーションマネジメント(研究開発)

考え方

出光興産は、「カーボンニュートラル、循環型社会への貢献」「地域社会への貢献(エネルギー&モビリティ)」などを重要課題とし、全社の技術を結集するとともに、外部技術も活用する戦略を展開しています。

ガバナンス

2025年7月に設立した組織である「イノベーションセンター」を中核とし、次世代技術研究所と各部門の研究所が専門的な研究開発を担っています。イノベーションセンターは、技術戦略の立案から知的財産・事業化検討までを一体で推進し、全社のイノベーション拠点として機能しています。あわせて、全社を横断する研究開発委員会を設置し、方向性や戦略の検討だけでなく、研究所間の連携を強化し、技術力を向上させています。

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戦略

当社はこれまで、様々な技術開発に取り組み、多岐にわたる高付加価値市場へ展開してきました。2050年ビジョンの実現に向け、中長期的な社会課題やその変化の潮流を捉え、既存事業の枠を越えた全社的なイノベーション戦略により、持続的成長を牽引する事業機会の創出を目指します。

イノベーション創出を目指す領域

当社は中長期的な社会課題やその変化の潮流を捉え、既存事業の枠を越えた全社的なイノベーション戦略により、持続的成長を牽引する事業機会の創出を目指します。
注力する領域の1つが「電化・電動化/ICT融合領域」です。IoTやAIの進展により「常時接続型の社会」が到来し、データ処理の高速化、デバイスの高機能化、省電力化が求められています。当社は全固体電池向け固体電解質や次世代ディスプレイ材料、宇宙用太陽電池、サーバー用冷却油、電子デバイス用材料など、次世代社会に不可欠なキーマテリアルの事業化を進めています。
また、気候変動対応や資源循環型社会への移行も重要な戦略領域です。市場形成には不確実性を伴うものの、低/脱炭素化や資源循環を支える技術開発を先行し、経済合理性や社会実装までの時間軸を見極めながら、将来の事業創出につながる技術基盤の構築に注力しています。
さらに、世界的な人口増加や気候変動に伴う食料供給への懸念も重要な社会課題です。当社はアグリバイオ事業などで培った知見と、社外パートナーとの共創により、環境負荷低減と農林水産物の生産性向上を両立するソリューションの開発を推進しています。

●中期イノベーション戦略概要

中期イノベーション戦略概要
中期イノベーション戦略概要
中期イノベーション戦略概要

CVCから描く新たなイノベーション

Idemitsu CVCは、当社グループの中長期ビジョンのもと、成長事業の創出、カーボンニュートラル(CN)の実現、そしてエネルギー安全保障への貢献を目指し、戦略的な投資を行います。2024-2026年度で総額100億円の投資枠を設け、中期経営計画で掲げる、電化・電動化やICTなどの「GROWTH(成長事業の創出)」、および再生可能エネルギー、水素・アンモニア、合成燃料をはじめとする「CNX(低/脱炭素ソリューション)」の領域で、革新的な技術を持つスタートアップへの戦略的出資と事業共創を推進しています。
当社の研究開発力やサプライチェーン、国内外ネットワークを活かした事業共創を重視し、新ビジネスモデル・新製品の社会実装を加速していきます。また、スイス・アメリカの自社海外2拠点に加えて、気候変動や資源循環などの課題解決に取り組むグローバルVC、Emerald Technology Ventures社とのパートナーシップを活用した、ソーシングから投資後フォローまで一貫した体制により、世界中の有望な技術・ビジネスへのアクセスを強化しています。
今後もIdemitsu CVCは、世界中のスタートアップが保有する革新的な技術やビジネスモデルを活用し、新たな価値創造に取り組むとともに、未来社会を支えるイノベーションによる持続可能な社会の実現を目指します。

●Idemitsu CVC取り組みの概略図

Idemitsu CVC取り組みの概略図
Idemitsu CVC取り組みの概略図
Idemitsu CVC取り組みの概略図

●CVC投資実績

CVC投資実績
CVC投資実績
CVC投資実績

取り組み

イノベーションセンター構想を通じて拓く新たな価値

社会課題が複雑化し、技術革新が加速する中、一社単独でイノベーションを創出することは益々困難になっています。当社は、企業や技術分野の枠を越えた「知の融合」を推進し、新たな価値創出を目指す「イノベーションセンター構想」の実現に取り組んでいます。
その実現を加速する拠点として、2028年3月に統合研究所(仮称)の完工を予定しています。これまで複数拠点に分散していた研究開発・生産技術などの機能を集約し、事業横断型の体制を整備するとともに、研究開発から事業化・商業生産までを一体で推進します。
また、同構想のもと、アカデミアやスタートアップ、事業会社など世界のベストパートナーとの共創を推進します。当社はこれまでも、大学との共同研究や研究拠点連携、CVCを通じた先端技術への投資・協業、政府機関との連携を進めてきました。こうしたネットワークを統合研究所に集約し、世界中の知を結集することで、新たな事業機会の創出につなげていきます。
さらに、高度MI/AX環境を進化させ、MI/AXトレーニングやリスキリングを通じて高度なデジタル人財を育成し、研究から社会実装までをリードする人財層を強化します。こうした人財基盤の強化を通じて、社内外の共創を支える組織力の向上を図ります。
イノベーションセンター構想の推進を通じて、中長期的な環境変化を捉えた成長領域において、エネルギー、素材、情報通信、食料・農業などの幅広い領域でイノベーションを創出し、社会課題の解決に貢献するとともに、事業ポートフォリオの変革と持続的な企業価値向上を実現します。

新たな価値・事業創出に向けて

新規事業創出の鍵となる探索や調査などの研究開発初期ステージでは、自社の保有する技術や知見を活用する社内横断的な活動だけでなく、積極的に社外との連携を行うことによる、オープンイノベーションを取り組みの中心とし、事業ポートフォリオ変革に向けた新規事業創出の加速に取り組んでいます。

部門横断型取り組みによるテーマ創出

中長期的な新規事業テーマを創出する仕組み(ビジネスストーリー道場)は6年目を迎え、のべ80名以上の英知を結集し活動を続けています。

アカデミア連携

新規事業創出の鍵となる探索や調査などの研究開発初期ステージでは、積極的に社外との連携を行うことによるオープンイノベーションに取り組んでいます。
2020年度に東京工業大学(現 東京科学大学)に設置した「出光興産次世代材料創成協働研究拠点」の活動を通し、東京科学大学との先進マテリアル分野における重点領域とCNXソリューション領域の技術獲得を進めています。また、カリフォルニア大学サンタバーバラ校などとのアカデミア連携を実施しています。
カーボンニュートラル領域における次世代技術の開発は、東京大学先端科学技術研究センターおよび生産技術研究所と包括連携に関する協定を締結(2024年)し、共同研究に取り組んでいます。

MI・DXの推進

MI(マテリアルズインフォマティクス)による研究開発の加速、DX推進強化に向けた取り組みを進めています。

  • リスキリング:全研究所を横断的に社内取り組み事例の共有やワークショップなどによるリテラシー向上策、データサイエンスや生成AI活用の実践トレーニングを継続して実施・推進しています。

  • DXソリューション開発:国内外コンサルティグ企業と連携し、解析技術のデジタル化など、各研究開発の重点MI・DX課題の解決に向けたソリューション開発を推進しています。

  • 環境整備:MI・DXに不可欠なオープンデータベースやオープンソースソフトウエアを安全にかつ柔軟に活用可能な、全社横断の専用データサイエンスクラウド環境の整備をしています。また、社内外データ・サービスと生成AIを組み合わせた独自のAIエージェントの開発環境の構築も行っています。

新規事業創出

紅色光合成細菌を利用した温室効果ガス固定プラント事業の開発

新規事業創出活動をきっかけに検討を開始した紅色光合成細菌を利用するCO₂とN₂固定技術について、京都大学発スタートアップSymbiobe社と連携し、事業化に取り組んでいます。
Symbiobe社が有する光合成微生物に関する技術と、当社の保有するスケールアップに向けたプロセス技術を組み合わせることで、CO₂などの温室効果ガス固定とグリーンバイオ資材※製造の社会実装を目指します。

※ 微生物の代謝活動を利用して製造される目的物のうち、食料や環境分野に関連するもの 

宇宙用太陽電池の開発

中期経営計画では、電化・電動化/ICT融合領域を成長分野と位置付け、放射線に強く軽量な宇宙用CIGS太陽電池の事業化を推進しています。この取り組みはJAXAの宇宙戦略基金に採択され、次世代技術研究所内にベンチプラントを建設し、量産技術の実証を進めます。これまでにJAXAの新型補給機「HTV-X1」や千葉工業大学の超小型衛星「BOTAN」での宇宙実証、米国拠点を通じた海外企業との連携・市場開拓を進めています。この取り組みにより、宇宙インフラの発展と持続可能な宇宙開発に貢献します。

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出光CIGS太陽電池セル

出光CIGS太陽電池セル

人工衛星イメージ

人工衛星イメージ

出光CIGS太陽電池セル

出光CIGS太陽電池セル

人工衛星イメージ

人工衛星イメージ

出光CIGS太陽電池セル

出光CIGS太陽電池セル

人工衛星イメージ

人工衛星イメージ

高速通信・デジタル技術の進展による低消費電力化への要求に応える、高性能・低コスト・低消費電力を兼ね備えた革新半導体の開発

当社が培ってきた無機材料の設計技術をもとに、多結晶酸化物※1半導体材料IGO(Indium Gallium Oxide)を開発しました。IGOは従来のアモルファス酸化物半導体材料と比較して、高い電子移動度と優れた安定性を有することが特長です。IGOを用いたディスプレイのバックプレーン※2は、高性能化と低コストでの製造の両立が期待できるほか、消費電力の低減にも寄与します。
これにより、ディスプレイのさらなる高性能化や関連産業の発展を支えるとともに、ディスプレイ製品使用時の省エネルギー化を通じて低炭素社会の実現に貢献していきます。

  • 多結晶酸化物:金属元素と酸素から構成される多結晶状態の薄膜。

  • バックプレーン:薄型ディスプレイの基礎となる微細な半導体素子が実装された回路基板。