人権
人権
考え方
出光グループは、2019年に「出光グループ 人権基本方針」を取締役会での承認を経て策定し、日本国内はもとより、世界各国で事業を展開するに当たり、世界人権宣言ならびに労働における基本的原則および権利に関するILO宣言に表明されている国際的に認められた人権を尊重することを宣言しています。また、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」にのっとり、人権デューデリジェンスを実施することを方針に定め、2020年から具体的な取り組みを開始しています。加えて、当社グループとして重視する9項目の人権課題を明記し、同一賃金同一労働などに関する法令を遵守すると共に、社内での啓発活動を進めています。こうした人権に関する一連の取り組みについては随時ウェブサイトなどで情報開示を行っています。
トップコミットメント
当社グループは、経営の原点として「人間尊重」を掲げ、創業以来一貫して「人が中心の経営」を実践してまいりました。すなわち、人権の尊重は欠くことのできない経営の根幹であり、全ての判断や行動において最優先させるべきことと考え、これを全役員、全従業員が遵守する「出光グループ 人権基本方針」としています。
本方針に基づき、グローバルな人権課題については、各国・地域における文化、慣習、社会規範などを踏まえながら継続的に対応しています。また近年では、国内外のグループ関係会社やサプライチェーンにおける人権課題への対応として「人権デューデリジェンス」の取り組みにも力を入れており、グループ内及び関連する取引先における人権侵害リスクの所在を明確にするとともに、リスク低減に向けた対応や救済メカニズムの構築に向けた取り組みを強化しています。
さらに、海外・国内を包含する全世界で働く従業員を対象に、一人ひとりが持つべきコンプライアンスマインドの浸透と実践のために制定した「コンプライアンス行動規範」においても、いかなる人権侵害も許さず、人種、国籍、性別などの多様性を受け入れ、ハラスメントのない、健全で快適な職場を作ることを明記しています。
このような人権に関する一連の取り組みや活動内容については、ステークホルダーの皆さまに随時情報開示を行ってまいります。
出光興産株式会社
代表取締役社長
木藤 俊一
方針
出光グループ 人権基本方針
出光グループは、人が持つ無限の可能性を信じ、多彩な従業員が多様なステークホルダーとの共創を通じて世界の国々・地域にエネルギー製品・サービスを提供し、人々の明るく豊かな生活に貢献したいと考えています。
私たちのこの想いを実現していく上で、「人権の尊重は全ての判断や行動において最優先させるべきこと」と考えており、これを出光グループの全役員、全従業員が遵守する基本方針とします。そして、サプライヤーを含めたビジネスパートナーにも同様に、本方針のご理解と遵守を期待します。
1. 人権の尊重
出光グループは、国際社会や地域社会と調和を図り、いかなる関係者に対しても差別行為を行いません。また、身体的、精神的であるかを問わず、人の尊厳を傷つけるような言動や暴力を認めません。
出光グループは、日本国内はもとより、世界各国で事業を展開するにあたり、世界人権宣言並びに労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言に表明されている国際的に認められた人権を尊重します。また、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、安全と人権に関する自主原則、「国連グローバル・コンパクト」等を支持しています。
出光グループは、各国や地域の法令を遵守します。もし国際的に認められた人権基準と各国や地域の法令の間に矛盾がある場合、各国や地域の法令の範囲内で国際的な人権基準を尊重する方策を追求していきます。
2. 人権デューデリジェンス
出光グループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、人権デューデリジェンスを実施していきます。自社の事業活動における人権リスクを評価し、特定した負の影響を防止・軽減する取り組みを行います。また、事業活動が人権への負の影響を引き起こしたり、これを助長したりすることが明らかになった場合には、関連するステークホルダーと対話し、協力して是正に取り組みます。また、出光グループは、本方針の定着のため、従業員に対して適切な教育や研修を行います。
3. 私たちが重視する人権課題
(1)ダイバーシティの推進
出光グループは、ダイバーシティ&インクルージョンをもとに、環境・社会と調和を図りながら、お客様・ステークホルダーとともに、新たな価値創造に挑戦し続ける日本発のエネルギー共創企業となることをビジョンに掲げています。別紙の通り、「出光グループ DE&I方針」を制定し、社内浸透を推進しています。
(2)強制労働の禁止
出光グループは、強制労働に関し、利用しない、加担しない、利益を得ないことを方針とし、国内法令の強制労働関連規定を遵守するだけでは不十分な場合、国際基準を考慮します。
出光グループが事業進出を計画または実施する場合には、いかなる段階においても、債務労働を含むあらゆる形態の強制労働を認めません。また、出光グループの事業に携わる全ての労働者に対し、身分証明書の取り上げを行いません。加えて、勤務時間外の移動の自由を制限しません。
(3)児童労働の禁止
出光グループは、児童を労働に従事させません。また、若年労働者を危険有害労働に従事させません。
(4)差別の禁止
出光グループは、すべての人の基本的人権を尊重することはもちろんのこと、不当な差別など、個人の尊厳を傷つける行為のない企業づくりに取り組みます。人種、性別、宗教、思想信条、障がい、国籍、出身地、性的指向、性自認、年齢、学歴、結婚の有無、職務上の地位、雇用形態などを理由とした差別や、その他のビジネス上の職能と関係しない要素に基づく差別を行いません。
(5)ハラスメントの禁止
出光グループは、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントをはじめ、相手が不快と感じる言動、および、身体的、精神的などあらゆる形式を問わずハラスメントを容認しません。
(6)結社の自由と団体交渉権の承認
出光グループは、従業員の結社の自由、労働組合の加入の自由、団体交渉権の権利を尊重します。また、これらの権利を行使する従業員に対し、いかなる脅迫、報復措置も禁止します。
労働組合のある国内関係会社においては、各企業内労働組合と労働協約を締結し、互いに誠意をもってこれを遵守します。また、海外関係会社においても同様の考え方をベースとして、経営層と対話をしながら理解を深め合う活動を行います。
(7)労働環境の整備
出光グループは、最低賃金や適正な労働時間など、各国の労働関連法令を遵守します。また、従業員の安全と健康に配慮し、働きやすい職場環境づくりに努めます。
(8)土地や水、天然資源の使用
出光グループは、事業活動を展開するそれぞれの国や地域において土地の買収、賃貸、その他土地利用の手配を行う場合、または天然資源などの買収を行う場合、用地取得等により生じる環境社会面での負の影響を軽減するとともに、その土地を利用あるいは居住する地域住民の権利に注意を払います。特に移転を求める場合には、生活水準に負の影響が生じないよう努めます。
また、当グループの事業により、地域住民の安全で衛生的な水使用を妨げることのないよう、土壌汚染防止、水質汚染防止に努めます。
(9)先住民の権利の尊重
出光グループは、事業活動を展開するそれぞれの国や地域において、先住民族の文化、精神的伝統、歴史および哲学から生ずる先住民族の固有の権利を尊重します。また、当グループの事業展開が負の影響を与える可能性がある場合には、負の影響の回避、もしくは軽減、最小化に努めます。
4. 通報窓口
出光グループは、闊達なコミュニケーション及びフィードバックの文化を促進しており、従業員は、本方針の人権課題と関連する懸念について所属上長に相談することができます。また、人権に関する案件を含む行動規範への違反または潜在的な違反に対応するため、役員と従業員向けの報告相談窓口を設置しています。ステークホルダーについても、事業活動への懸念を通報できる窓口を設置しています。
出光グループは、事業活動と関係する人権への負の影響について特定し、実効的な苦情処理メカニズムの構築の取り組みを継続してまいります。
5. 情報開示
出光グループは、人権尊重の取り組みについて随時ウェブサイト等で情報を開示していきます。
本方針は、出光興産株式会社取締役会において承認されました。
2019年12月17日制定
サステナブル調達ガイドライン
当社グループは、企業理念および行動指針に基づき調達基本方針を定めています。その中で「サステナブル調達ガイドライン」を定め、当社ウェブサイト上でも公開しています。本ガイドラインにおいて、基本的人権の尊重、強制労働・児童労働・ハラスメントや差別の禁止など、人権に関する当社グループの考え方を明示し、お取引先とサステナビリティに関する取り組み状況について情報交換を行い、相互のレベルアップに努める、という方針を示しています。
ガバナンス
人権尊重の取り組みは、総務部リスクマネジメント課が、関連部門や国内外の当社グループ各社と連携をとりながら活動を推進しています。人権に関する重要な取り組みや活動実績および課題は、適宜経営委員会および取締役会へ報告・提案しています。
リスク管理
人権デューデリジェンスの実施
当社グループでは、「出光グループ 人権基本方針」にのっとり、人権デューデリジェンスを実施しています。調査票を用いた人権リスクへの対応状況の調査で、現地での労働問題に関するリスクを評価し、早期にリスクを特定する仕組みとなっています。特に、ILO(国際労働機関)の中核的労働基準に基づく4つの重要な課題(強制労働・人身取引、児童労働、差別、結社の自由と団体交渉権)については、質問への回答後、調査が必要なグループ会社に対して詳細な確認を行い、実態を把握します。その上で、必要な対策を立案し、実行に移しています。
2021年度から2022年度にかけ、国内外のグループ会社総数258社のうち清算予定の会社などを除く176社に調査を行いました。その結果、「出光グループ 人権基本方針」の周知徹底、サプライチェーンマネジメントの強化、の2点に改善が必要と判断しました。
そこで、2023年度は、「出光グループ 人権基本方針」に関するグループ社員向けのeラーニングを実施し、約14,000名が受講しました。加えて、新任役職者研修や海外赴任者研修などでも人権に関する教育を実施しました。また、外部のコンサルティング会社を起用し、サプライチェーンマネジメントに関する当社の取り組み状況を評価し、今後の方向性を検討しました。
なお、次回の調査票を用いた人権リスクへの対応状況の調査は、2025年度の予定です。
●人権デューデリジェンス プロセス
●人権デューデリジェンスの項目別リスク評価結果(2021~2022年度)
人権に関する通報窓口
当社グループでは、人権に関する案件を含む行動規範への違反または潜在的な違反に対応するため、役員と従業員向けの報告相談窓口(グローバル内部通報制度やコンプライアンス相談窓口、ハラスメント相談窓口)を設置しています。また、ステークホルダーについても、事業活動への懸念を通報できる窓口を設置しています。
ハラスメント防止の取り組み
考え方
当社グループは、「人権の尊重は全ての判断や行動において最優先させるべきこと」と考え、国際社会や地域社会と調和を図り、いかなる関係者に対しても差別行為を行いません。また、身体的、精神的を問わず、人の尊厳を傷つけるような言動や暴力を認めません。ハラスメントのない健全な職場環境の確保に向けて、従業員一人ひとりが理解を深め、全ての従業員の人権が尊重され、またその能力をいかんなく発揮できる職場環境を整えるために、ハラスメントの防止対策およびハラスメントが生じた場合の適切な対応に当たって基本方針を策定しています。また、人事部、総務部、経営企画部サステナビリティ戦略室が部室横断で具体的な取り組みを推進しています。
方針
職場のハラスメントに対する基本方針
1. 趣旨
出光グループは、「人権の尊重は全ての判断や行動において最優先させるべきこと」と考え、国際社会や地域社会と調和を図り、いかなる関係者に対しても差別行為を行いません。また、身体的、精神的であるかを問わず、人の尊厳を傷つけるような言動や暴力を認めません。
本基本方針は、出光グループの人権基本方針に基づき、ハラスメントのない健全な職場環境の確保に向けて、従業員一人ひとりが理解を深め、すべての従業員の人権が尊重され、またその能力をいかんなく発揮できる職場環境を整えるために、ハラスメントの防止対策及びハラスメントが生じた場合の適切な対応にあたっての方針を示すものです。
なお、サプライヤーを含めたビジネスパートナーにも同様に、本方針の理解と協力を求めていきます。
2. 基本方針
<職場のハラスメントに対する基本方針>
I. 会社は、職場におけるハラスメント、個人の尊厳を傷つける行為は一切許しません。
II. 会社はハラスメントのない職場環境の確保のため、以下の施策を継続的に実施します。
・「職場におけるハラスメント防止ガイド」を社内に周知徹底します。
・職場におけるハラスメントの相談窓口を設置し、広く相談・苦情に対応します。
また、相談窓口の担当者が迅速且つ適切に対応できるよう、研修等の施策を講じます。
・相談及び苦情への対応に当たっては、関係者のプライバシー(性的志向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報も含まれる)を保護するとともに、相談をしたこと、又は事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いは行ないません。
・職場におけるハラスメントが生じた場合は、部門人事担当、相談窓口、人事部が協議の上、迅速且つ正確な事実調査を含め問題解決と再発防止にあたります。
・職場におけるハラスメントに対しては、毅然たる態度で対応します。
・職場におけるハラスメント防止に関する、理解・啓発のための研修実施はもとより、社員各人の意見を反映した防止策並びに対応策の充実を図っていきます。
III. 本基本方針に基づく職場環境の整備の推進は、人事担当役員の所管とします。
取り組み
ハラスメント相談対応スキルアップ研修
従業員からのハラスメントに関する相談に、適切な対応で応えていくスキルを学ぶため、2020年10~11月に、各部門およびグループ会社の人事担当役職者と相談対応担当者を対象として、「ハラスメント相談対応スキルアップ研修」を開催しました。計98名が参加し、相談を受けるときの心構えやポイント、相談者の心情への理解を深めることができました。
ハラスメント防止研修
2018年12月から、セクハラ・パワハラ・マタハラなどのハラスメント撲滅を目的に、役職者を対象としたハラスメント防止研修を開催し、本社・事業所・支店の役員・役職者計1,065名(2020年9月末時点)が参加しました。研修会では、職場で起こるセクハラ・パワハラについて理解を深め、その防止に向けた役職者の役割を考える機会となりました。今後も、これらの研修を継続して、ハラスメントのない職場づくりに努めていきます。
職場におけるハラスメント防止ガイドの発行
ハラスメントのない健全な職場環境整備のため、全ての従業員に対して、ハラスメントを「しない、させない、許さない」ことを徹底するために、具体的な防止ガイドを作成し、全従業員に周知しています。