コンプライアンス

考え方

出光グループにおけるコンプライアンスとは、「法令遵守」「社内規程・契約の遵守」はもちろんのこと、法令には違反しない場合でも、倫理的、社会的に許されない行為を行わないこと、つまり高い倫理観のもと、謙虚な態度で自らを律し、誠実に行動することを意味します。
全世界で働く従業員を対象に、一人ひとりが持つべきコンプライアンスマインドの浸透と、それに基づいた行動の実践のため、コンプライアンスの順守とはどのような行動を指すかを、より具体的に、かつシンプルに分かりやすく示すものとして、「コンプライアンス行動規範」を制定しています。

方針

国内・海外を包含する全世界で働く従業員を対象として、具体的なコンプライアンス行動規範として以下の項目について定めています。またコンプライアンスに係る具体的な行動基準については、コンプライアンスブックにまとめており、定期的に有効性を審査し、改定を行っています。

コンプライアンス行動規範

1. 法令、ルール・モラルの遵守
私たちは、国内外の法令、社会倫理、社内規程、契約を遵守し、良き企業市民として誠実に行動します。
2. 人権の尊重
私たちは、いかなる人権侵害も許さず、人種、国籍、性別等の多様性を受け入れ、ハラスメントのない、健全で快適な職場を作ります。
3. 安全・品質・環境保全
私たちは、製品・サービスの適正な品質を確保し、事故の発生防止と災害による損失抑制に最大限努力するとともに、地球環境の保全に十分配慮して行動します。
4. 公正・自由な競争
私たちは、公正かつ自由な競争に基づく取引を行います。
5. 腐敗防止
私たちは、事業活動を実施するにあたり、国内・国外を問わず、公務員や行政等との健全かつ透明な関係を保ちます。
6. 情報開示と情報管理
私たちは、広く社会に適切な情報開示を行い、経営の透明性と健全性を確保し、会社が保有する情報の適正管理を行います。

ガバナンス

内部統制>ガバナンス>内部統制推進体制

リスク管理

コンプライアンス違反懸念への対応

当社グループは、各事業部門からの報告、ならびに各種相談窓口への通報をコンプライアンス懸念事例とし、リスク・コンプライアンス委員会が対応支援や、調査の指示・要請、再発防止策などの審議、確認を行っています。
2024年度に、当社子会社は高圧ガス保安法の遵守および保安管理の徹底に関して重大なコンプライアンス違反を起こし、行政処分を受けました。当社としてもその重大性に鑑み、当社から常勤の取締役および監査役を派遣し、当該子会社のガバナンス強化を図るとともに、当社事業所・製油所に対する安全環境監査でも類似事例がないことを重点的に再確認し、再発防止に取り組んでいます。
なお、腐敗・贈収賄による法令違反の発生はなく、罰金・課徴金などの支払いもありませんでした。

2024年度重大なコンプライアンス違反:1件

※ グループ経営に重大な影響を与えるとして開示した違反事例

贈収賄・腐敗防止

当社グループでは、「コンプライアンス行動規範」において、腐敗防止をその項目の1つとし、事業活動を実施するにあたり、国内・海外を問わず、公務員や行政などとの健全で透明な関係を保つことを定めています。あわせて、各国の適用法令および国際的規範を順守し、運用しています。従来からの「贈収賄防止規程」に加え、2024年度には、「国内の公務員などに対する贈収賄防止ガイドライン」を制定しました。

2024年度腐敗防止・贈収賄の発生件数:0件
2024年度腐敗・贈収賄に関する従業員の懲戒などの処分件数:0件

贈収賄・腐敗防止の行動ルール(コンプライアンスブックより抜粋)

私たちは、国内・国外を問わず、公務員またはそれに準じる者に対して、不正に金品等の経済的利益を供与する、申し出る、約束する行為は行いません。政治家および行政とは、健全かつ透明な関係を保ちます。不当な金銭要求には、確固たる姿勢で臨みます。

反競争的行為の防止

当社グループは「独占禁止法遵守規程」にて、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、各国競争法およびその他関連法令に関して順守するべき基本的な事項と必要な体制を定めています。代表取締役社長は、本規程の適切な運用と禁止行為の未然防止を図るための統括責任を負い、当社の部門長およびグループ会社の社長は事業内容・組織体制・各国情勢・独占禁止法などのリスクなどを慎重に考慮し、本規程を具体化する適切な自己管理の措置などを講じています。

相談窓口の設置

国内、海外ともにコンプライアンス相談窓口で受け付けた事案は、全てリスク・コンプライアンス委員会へ報告されます。リスク・コンプライアンス委員会事務局は相談者の秘密を厳守し、相談者が不利益を被らないことを徹底した上で、公正な立場で調査・是正措置を実行できる担当者(法令・規則にのっとった従事者)を指名します。
また、事務局は調査結果および是正措置や、再発防止策の適正化を判断するとともに、調査結果などを相談者にフィードバックします。

国内通報窓口

国内通報窓口

主にコンプライアンス、ハラスメントの相談を受け付ける社内窓口をそれぞれ設置しています。また、第三者が受付窓口となる社外窓口も設置しており、産業カウンセラーの資格を持つ相談員による電話対応も可能です。
各相談窓口は、社内ポータルサイトに掲載するとともにポスターでも掲示し、その存在が誰でも分かるようになっています。なお、相談内容の秘密厳守はもちろん、通報・相談したことによる相談者への不利益な取り扱いの禁止についても規程類で定め、相談者の保護を図っています。

海外通報窓口

海外事業所からの通報に対応する「出光グローバルホットライン(IGHL)」を設置しています。中国、アジア・オセアニア、中東、ヨーロッパ、ロシア、北米、南米の約40拠点を対象とし、海外事業所のほぼ全てをカバーしており、現地法人所在国の全ての言語に対応しています。

国内
/海外
社内
/社外
窓口名称 受付 対象者 相談事例の
対象範囲
相談方法 2024
年度
受付
件数
国内
/社内
コンプライアンス相談窓口 総務部 当社および当社関係会社などの役員、従業員(アルバイト・パートタイマー、嘱託社員、出向者および派遣社員を含む)、および退職後1年以内の退職者 不正、不祥事、その他コンプライアンス全般 原則、実名相談
メール、書簡
24件
ハラスメント
相談窓口
人事部 セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、その他ハラスメント全般 原則、実名相談
メール、書簡
21件
国内
/社外
社外第三者窓口
「職場のヘルプライン」
第三者
(産業カウンセラー)
コンプライアンス全般、ハラスメント全般 匿名相談可
メール、電話
12件
海外
/社内
出光グローバルホットライン(IGHL) 総務部 当社グループの海外事業所の従業員(ナショナルスタッフ、当社からの出向者を含む) 不正行為、ハラスメント、労働安全・安全環境・品質保証に関する違法行為、人権問題 メール 10件
合計 67件
  • 外部からのご指摘・相談などは、お客様センターで受け付け、コンプライアンス相談窓口と連携し、適切に対応しています。

●相談窓口受付実績(2024年度)

受付時の区分 件数
労働環境(ハラスメント・労務関係など) 41件
資産・情報漏えい、流失 0件
不正会計 1件
法令違反 18件
その他 7件
合計 67件

取り組み

コンプライアンス推進活動

コンプライアンス行動規範にのっとって、グループ従業員一人ひとりが高い倫理観の下、誠実・公平に行動するよう、継続的な教育・研修などを実施しています。

コンプライアンスブック

コンプライアンスブック

腐敗や利益相反行為の防止、インサイダー取引の禁止など、コンプライアンスに係る具体的な行動基準を記したコンプライアンスブックを2020年に発刊しました。定期的に改訂し、グループ従業員全員が、具体的な行動の規範を確認する道具として活用しています。なお、コンプライアンスブックは日本語版だけでなく、英語版も発刊し、国内外のグループ従業員への周知徹底に努めています。

コンプライアンス教育

当社グループでは、年1回定期実施している「コンプライアンスeラーニング」に加え、出光グループ人権基本方針の周知強化や、ハラスメント防止ガイドの制定など、ハラスメント防止を含む各種教育・研修を行っています。

●コンプライアンスに係る社内教育・研修実績(2024年度)

教育・研修名 実施時期 対象者 受講者数 受講率
コンプライアンスeラーニング 2024年10〜11月 当社および国内関係会社50社の従業員 14,032名 99%
対面型コンプライアンス研修 2025年1〜3月 当社社員 2,879名 58%
ハラスメント防止セミナー 2024年11〜12月 当社社員 836名 14%
新任役職者向けコンプライアンス教育
※ 新任役職者研修の一環で実施
2024年6月 2024年度新任役職者 98名 100%
役職者向けハラスメントセミナー 2024年9〜10月 当社役職者 459名 33%
新入社員向けコンプライアンス教育
※ 新入社員教育の一環で実施
2024年4月 2024年度新入社員 103名 100%

コンプライアンスの部屋

社内ポータルサイトに、コンプライアンス意識向上を図ることを目的とした「コンプライアンスの部屋」ページを設け、違反事例や4コマ漫画を掲載し、最新の社外違反事例を紹介し、グループ内に広く発信しています。

その他の情報周知

ポスターによる啓発

2022年6月より、ポスターによる啓発を実施し、製油所、事業所、研究所、グループ会社に配布しています。また本社では、デジタルサイネージでの掲示をし、情報周知を図っています。