機関長

昔も今も変わらず、機関部の仕事を「粘り強くしたたかに」勤めています。

原油を満載したVLCCの漆黒の船体を初乗船の通船から見上げ、あまりのスケールの大きさに「俺にこの仕事は出来ない!」と怖気づいた日から20数年、現在は機関長としてVLCC / LPG船に乗船しています。

機関部の仕事は一言で表すと正に"縁の下の力持ち"です。 いつもは水面下の機関室でディーゼルエンジン、ボイラ、発電機、補機といった機器類の運転とその整備作業を行っていますが、甲板上の機器や照明、居住区の洗濯機に至るまで船中のあらゆる機器の整備を行っています。航海中機関室は夜間無人の為、機関の整備作業は日中に行います。

インターネット通信が可能となり、様々な情報収集や陸上からアドバイスによる支援が可能な時代となりましたが、陸から離れた洋上では全てに自己完結を求められる事には変わりはなく、突発的なトラブル発生時には全員一丸となって「豊かな経験」、「柔軟な頭」、「鋼のような肉体」そして「不屈の精神」で対処して行きます。

しかし、トラブルの早期発見への特効薬は昔も今も「見回り」と「掃除」です。夏場には45℃にも達する機関室で、機関長も精力的に見回りを行い危険の芽を摘んでゆきます。 そんな過酷な環境でのトラブルは避けたいものですが、皆で知恵を出し合い原因を究明し解決した時は「仕事を続けて良かった!」と心底感じられる瞬間でもあります。

昔に比べると日本人乗組員の数も減り少し寂しい時もありますが、時にはフィリピン人機関士の家族の悩みを聞いたりまたは自分の悩みを話したりしながらチームの絆を深め合っています。

入社当時は自分が機関長として執務する姿を想像する事は出来ませんでした。しかし、多くの先輩の方々に時に厳しく、時に励まされ現在に至ることが出来ました。 機関長を初めて執務する際に先輩機関長から頂いた「粘り強くしたたかに」という言葉を胸にこれからも機関長職務を遂行して行く覚悟です。

機関室にて発電機の点検中
機関室にて発電機の点検中

ある1日の行動(シンガポール燃料補給作業)

フィリピンクルーと共に

フィリピンクルーと共に

02:00 スタンバイエンジン(主機減速開始)見回り、プラント維持作業実施
06:30 パイロット乗船(シンガポール入港)
08:00 食料ボート/燃料補給船到着 燃料補給開始/食料積込み(交代で休息)
18:00 燃料補給終了
20:00 パイロット乗船(シンガポール出港)
22:00 主機増速、ラングアップエンジン
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