大型タンカーは定期的に造船所での整備工事を実施したとしても、約20年が寿命だといわれています。しかし、少しでも長くタンカーを使うことができれば、償却コストを減らせるだけでなく、資源保全にも大きく貢献できるはず——そう考え、OBM(On Board Maintenance)、つまり航海中に乗組員自らによる船舶の保全活動の促進を、出光タンカーではいち早く始めました。
通常航海中、乗組員は24時間体制の船橋当直、日中の整備作業や機関維持作業と重要な職務を行わなくてはなりません。
そのような忙しい航海業務の中で、ドックで行う修繕作業を乗組員自らの手で行う(OBM)というのは大変なことですが、甲板部では高さ約30mもある巨大なバラストタンクに海水を張り、組立に乗りながら足場を組んでタンク内部のサビを落としたり、広い甲板や大きな煙突、海面から遥か上の足もすくむような船橋ウィングの裏側を塗装します。機関部では大物のエンジン部品などの整備作業を行うなど、根気よく整備しています。
そんな地道な努力の甲斐あって、船舶寿命は通常より約5年も長くなり、ドックに入っている期間も短縮できるため、大きなコスト削減に繋がっています。