出光タンカーが運航する日章丸には二重反転プロペラ(スクリュー)が搭載されています。
二重反転プロペラはプロペラ軸(外軸)を空洞にし、その中にもう一本プロペラ軸(内軸)を通し内軸に後ろ側のプロペラを、外軸に前のプロペラを装着しています。
エンジンから取り出された回転力は途中に設けられたギアを介して外軸と内軸に反対方向の回転として伝わります。
これによって二つのプロペラが互いに反対方向に回転します。
現在の一般的な大型貨物船では「エンジン一基に対してプロペラが一つ」が普通ですが、この場合プロペラの回転エネルギーの一部は推進力にならず、エネルギーが海中に無駄に捨てられていました。
二重反転プロペラは、前のプロペラが発生させるこの無駄なエネルギーを後ろのプロペラが回収し有効利用するもので、高い推進力、燃費の向上、振動の低減といった利点があります。
その一方、通常のプロペラを装備した船と比較して、運航には豊富な経験と知識が必要とされますが、出光タンカーでは過去に「沖ノ嶋丸」に搭載、運航した経験が有り、その経験を現在の日章丸に役立てています。