開発者とお客様のコミュニケーションをつなぐ
「お客様から『性能をこのように変えて欲しい』という要望があった場合、私たち営業がその潤滑油への想いや目指す性能をくみ取り、関係者 に伝えます。そして開発者は柔軟な発想で、スピーディに解決に向けて取り組んでくれます。また、開発の想いをお客様に伝えるという場面もあります。お客様には潤滑油の性状や物性を見ていただきますが、そこから開発思想・背景までくみ取ることは難しいです。どのような設計思想に基づいて開発したのか、お客様のメリットは何か。社内の技術的な知見・経験をお話しして、お客様と開発者、両者の気持ちをつなぐことが現場の役目だと思います」ときには社内の人間同士をつなぐこともある。「あるとき、グリースを大増販するプロジェクトの担当として、製造業や運送業などあらゆるお客様への提案と採用を推進しました。これは関連各所の人たちが連携し、お客様を想って行動することではじめて実現できたものです。潤滑油事業部の中には、品質保証、供給・調達、開発、物流など、それぞれの担当者がいます。例えば調達担当は、商品を安定供給するために適正な原材料の在庫管理を行います。品質保証は、正確な品質検査を迅速に行っています。私自身がこの一環した体制の懸け橋となりグリースを納品することに高い評価をいただき、その結果、社内外で関係者と共にグリースを大増販することができました。この一連の活動は海外拠点にも参考となるグローバル好事例発表会に選出され、国内外の実績にもつなげることができました」
先人たちの知見を積み重ねる、見聞を引き継ぐ
日々の現場で、過去の知見が生かされる場面もある。「新発売の潤滑油を提案するときに同じ用途の古い製品の資料を見返して、開発時期が数十年前と知って驚くことがあります。潤滑油は一度発売したら完成というわけではなく、改良に改良を重ねて現在の仕様に至っているので、その変容を辿ることも重要だと感じています。出光興産には長い年月をかけて培ってきた知見があるからこそ、新しい商品の開発につながっているのだと。」また、社員の間で共有される情報にも先輩たちの経験や見聞が詰まっています。「先輩社員から引き継いでいる需要家ファイルがあります。製造現場の工程や、それぞれの工程に使われている潤滑油について選定経緯が取りまとめられており、新たな提案をする際に参考になります。古いものは紙ベースでファイリングされていることもありました。また潤滑油の開発経緯が記されているケースもあり、当時の開発背景を知ることで、お客様と一緒に新たな潤滑油の開発を検討する際に非常に役に立ちます。」
個々の考えを尊重し、達成感に導くアドバイスを胸に
「営業という仕事の楽しさや達成感は、最初の配属先で教えてもらったように思います。汎用製品を使い続けていたお客様に、性能の高い潤滑油を提案した時のことです。高機能潤滑油は価格が高いのですが、汎用製品から変更することで使用量の削減につながり、トータルコストではメリットがあると納得いただいた上で採用していただきました。このとき、自分が提案した内容でお客様の改善、ひいては達成感につながるという体験ができ、やりがいを感じることができました。いま考えてみると、自分で答えを導いたと思わせるように上司、先輩、同僚がアシストしてくれたのだと感謝しています」現在では周囲が後輩ばかりになり、育成も山田の仕事の一つだと言われるようになったそう。「後輩を育成する立場となった今、かつての上司や先輩のように本人の考えを尊重しながら成功に導く協力ができるように心がけています。私の憧れである先輩女性営業マンが最前線で活躍している姿を手本とし、励みになっているように、私自身も後輩たちから『あの人が頑張っているから自分も頑張ろう』と思われるような存在になりたいですね」