技術サービス・コンサルティング

石炭・環境研究所

石炭・環境研究所

石炭は主要な一次エネルギーの一つとして、重要な役割を担っています。その一方で、使用に伴いCO2が発生するため、排出量削減に向けた取り組みが求められています。
石炭・環境研究所は、環境に調和した石炭事業の実現とお客様の様々な技術課題に挑戦する、日本で唯一の総合的な石炭専門研究機関です。
石炭を使用するお客様に対し、サプライチェーン全体をバックアップし、クリーンコール技術による石炭の最適燃焼等の提案も実施しております。また、バイオマス混焼によるCO2排出量の削減や、CO2を化学原料として利用する技術開発を積極的に推進しています。

技術コンサルティング

長年培ってきた石炭の高効率燃焼技術、環境対策技術をベースに、お客様の技術課題や環境問題の解決に貢献する技術やシステムを開発し、これらのツールを基にお客様の多様なニーズに応えています。

燃焼シミュレーション(ボイラ燃焼最適化)

炉内のガス流、温度分布、粒子軌跡をコンピュータで解析し、最適なボイラ運転条件を提案します。

特長

より高効率に石炭を燃焼するためには、ボイラ内の燃焼挙動を解析し、最適な運転を行うことが重要です。
出光では「微粉炭燃焼シミュレーター」を開発し、ボイラ内のガス流れ、粒子の軌跡、温度分布などの解析を実施しています。これは設備の特性を踏まえた最適炭の選定や、燃焼効率の向上(未燃分低減)、NOxの低減、灰付着現象(スラッギング)の軽減といった運転条件の最適化検討に大きな威力を発揮します。

石炭評価システム

「出光石炭評価システム」には、当社が長年培ってきた炭質評価技術を結集しています。
新規炭の性能を高精度に予測し、石炭ボイラでの使用炭種拡大を支援する当システムは、多くの微粉炭火力発電所・工場で採用いただいています。

石炭評価システム

特長

  • 迅速で正確な新規炭種の使用可否判断

  • 燃焼試験(トライアル)期間の短縮、費用低減

  • トラブルの事前予測と対応策検討

  • 未然にトラブルを回避

  • 最適な混炭条件の検討

  • 豊富な技術情報(炭質評価技術、トラブル事例、鉱山情報など)

システムの概要

石炭の一般性状を入力するだけで、ボイラ運転条件に合わせたプラント性能の予測ができます。評価結果はExcel形式のレポートとして保存されます。
システムの概要

なぜ正確なプラント性能予測ができるのか?

従来の炭質評価指標は、実機の運転条件を反映していなかったり、不均質な石炭を均質な物質として取り扱っていたりするため、定量的で正確なプラント性能予測は困難でした。
当社では、各種の試験・解析と実機を予測するためのエンジニアリング技術を駆使して、信頼性の高い予測指標を開発し、システムに組み込んでいます。
特に、炉内の熱バランス、粒子滞留時間、燃焼速度などから、温度分布、灰中未然分、NOx濃度などを予測するボイラーモデルを内蔵しており、運転条件(ボイラ負荷、ECO出口酸素濃度、ダンパー開度設定など)を変更したときの予測も可能です。
信頼性の高い予測指標

活用事例

「出光石炭評価システム」は1992年に開発され、ユーザーニーズに対応しながら進化してきました。国内外の多くの電力会社、一般産業で採用され、使用炭種の選定、日々の運転管理、トラブル回避、新規炭のトライアルなどに活用されています。

主要機能

プラント性能予測

自然発熱、ハンドリング、粉砕、燃焼、NOx濃度、スラッギング、エアヒーター、電気集塵、排煙脱硫、排水処理(微量元素)、灰の有効利用、効率など炭種ごとのプラント性能を、定量的に予測します。

燃焼性・NOx発生性評価

燃焼性・NOx発生性評価

電気集塵性評価

電気集塵性評価

使用可否評価

炭種ごとに各項目のランキング表示を行うとともに、総合評価を表示します。

使用可否評価

使用可否評価

最適混炭設計

2~3炭種の混炭評価を10%きざみで行い、最適条件を探索します。また、全ての混炭条件について使用可否判断、プラント性能予測を行います。また、運転条件の変更にも対応しています。

混炭評価

混炭評価

石炭性状データベース

新規のデータ登録、変更・削除や、混炭を作成することができます。また、カード形式、一覧表形式で性状データを閲覧できます。

データ変更・削除

データ変更・削除

各種技術情報

炭質評価技術の解説、トラブル事例、石炭分析、石炭鉱山情報、石炭ボイラ情報、元素辞典、用語辞典などの技術情報がホームページ形式で閲覧できます。

発熱量に関する技術情報

発熱量に関する技術情報

高温炉内監視カメラ

石炭ボイラの炉内を鮮明な映像でご覧いただけます。
お客様が、炉内の灰付着トラブル対策検討や燃焼の最適化検討のため炉内状況を観察したい場合、観察試験を承ります。

特長

  • 水冷+空冷プローブの先端に高解像度のCCDカメラを配置しています。

  • 高機能の冷却方式により、高温の炉内でもCCDカメラ周辺は常時60℃以下を保持することが可能です。

  • 独自のエアー吹き出し構造により、粉塵が多い環境下でも使用可能です。

高温炉内監視カメラ

微粉炭ボイラ炉内映像(当社自家使用ボイラ)

微粉炭ボイラ炉内画像1
微粉炭ボイラ炉内画像2
炉底から上段バーナを監視:(1)

炉底から上段バーナを監視:(1)

下段CONCバーナー:(1)

下段CONCバーナー:(1)

炉底部への灰の堆積状況を監視:(1)

炉底部への灰の堆積状況を監視:(1)

スクリーン管に付着したクリンカ:(2)

スクリーン管に付着したクリンカ:(2)

下段バーナー部:(3)

下段バーナー部:(3)

炉底に堆積したクリンカ灰:(3)

炉底に堆積したクリンカ灰:(3)

石炭・バイオマス分析

石炭やバイオマスをはじめとした固体燃料の性状や実用性能を、分析・解析いたします。

一般性状から実用性分析まで

産地によって品質の大きく異なる石炭の一般性状を分析します。
また、石炭の燃焼性、ハンドリング性、環境適応性等の実用性能をより的確に判断するための特殊分析も行います。

分析項目一覧

一般分析

  • 全水分

  • 発熱量測定

  • 粉砕性(HGI)

  • 工業分析

  • 元素分析

  • 灰中硫黄分分析

  • 全硫黄分析

  • 塩素・フッ素分析

  • るつぼ膨張試験(CSN)

  • 灰溶融温度測定

  • 石炭灰組成分析

  • 粒度試験

特殊分析

  • 微量元素

  • 形態別硫黄

  • SEM/EDS

  • 低温灰化処理

  • 鉱物同定・定量

  • 粒径分布

  • 真比重

  • 嵩比重

実用性評価・試験

実機ボイラでの燃焼性、粉砕性、ハンドリング性、自然発熱性などの予測評価やプラント試験を実施いたします。

環境対策技術商品 石炭粉塵飛散防止剤『出光コールクリーンWA-500』

石炭や石油コークスの粉体に使用できる「粉塵飛散防止剤」です。少量で効果を発揮し、石炭の粉塵飛散を防止します。貯炭場や工場における作業環境改善や、生活環境に対する影響の抑制に寄与します。