みんなが経営者


神戸高等商業学校時代

(出典:「我が六十年間」470~471頁)

私の言うことはすこぶる簡単です。それは〝無駄をするな〟という一言です。これは私が神戸高商にいるときに、内池廉吉先生からいろいろなレクチャーをお聞きした中で、その底にあるものは、これだと感じたことなのです。〝無駄をしちゃいけないぞ〟ということを教わって以来、私は人生に無駄のないようにということを考えてがんばってきました。そして、それが出光において今日では、理想的に無駄がなくなっているのです。
ということは、どういうことかと言いますと、〝諸君が経営者である〟ということなのです。使用人とか社員というようなことじゃなくて、この会社は諸君によって経営されておるということなのです。これはもう無駄のない最高のあり方であると思うんです。みんなが経営者になって、自分の会社であるという考えでやる。これこそが、理想的あり方じゃないですか。今日の出光は、そこに達したということです。出光の人々は無駄のない最高の理想境にあるということです。新年にあたって、そのことを特に申しあげておきますので、諸君は〝無駄がない〟とはどういうことなのか、〝みんなが経営者〟ということはどういうことかということを、いつも頭において、日々自問自答してもらいたいと思います。

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