諸君が会社に入ってすぐいわれることは、出光には定款が二つあるということです。
一つは法律上の定款で、諸君が知っておるように石油業である。
もう一つは精神上の定款である。
人間がお互いに仲よくすれば、こういう強い力がでるということを示すことである。
それが出光の本当の仕事である。
それで、私が六十年近く、いってきておることは「人間として本当に尊い人になれ」ということです。
今は「人間尊重」というものが乱用されて、何か人に物を与えたり、家を与えたりすることのようにいわれておりますが、私はそんなことをいったことはない。
「みずから顧みて尊い人になれ」ということをいっている。
人間そのものが尊いのであって、人から物をもらうことではない。人から尊敬されるのではなくて、自分が自分を尊敬する。
その尊い人がお互いに仲よく力を合わせて、その合わせた力をお互いのためにもちいる。
これが日本人のあり方であり日本の国体のあり方である。
それを私は六十年近くやってきておる。