マレー派遣要員
(1966年3月 徳山市連合婦人会会員への公演 「日本婦人のまとめる力」より)
私がこちらにくる十日ほど前、社員といろいろ研究をやっておるときに、ひょいと「人間都市」という言葉がでた。
今までにも産業都市、工業都市、あるいは文化都市、政治都市というようなことはいろいろ言われておりましたが、人間が楽しみ、みんなが和気あいあいと仲良くする「人間都市」ということは一度も言われたことがありません。
そのような都市は世界にも例がない。これを大阪や名古屋にすぐやるというわけにはいきません。
周南地方はこの「人間都市」をつくるためにはちょうどころあいの都市だから、ここに「人間都市」の見本をつくってみようじゃありませんか。
それが非常にいいということは、誰がみたってわかりますから、それを今度は山口県全体に及ぼせば、山口県が、「人間の県」になる。
さらにこれを日本の政治、教育に及ぼしていけば、日本全体が初めて「人間の国」となり、「人間尊重の国」になる。
そうすれば初めて、対立闘争の外国人が、和のあり方を目でみることができるようになる。
外国人には、和のあり方をいくら理屈や書いたもので説明したってだめです。
これをたとえて言えば、インド人に北極の寒さをいくら口で説明してもだめだが、一度、北極につれていけば簡単にその寒さがわかるということです。
それだから、外国人に和のあり方を知らせるためには、体験さす以外には方法がない。
日本人が和の形、人間のあり方、平和福祉のあり方の形をみせて、おまえたちは間違っているぞ、対立闘争はしあわせじゃないぞ、ということを知らせたら、世界が初めて平和、福祉の世界になるのではないか、と思うのです。
そうなるまでには十年かかるか、二十年かかるかわかりませんが、何十年かかったって、やるべきものをやらなければ、人類は全滅してしまうことになるのです。 そして、これをやれるのは皆さんお一人、お一人なんです。
皆さんがたが、ご家庭を慎ましやかに、控え目に、そして大きな愛の懐で抱きかかえられるように、この徳山全体を抱きかかえてくだされば、
ここに「人間都市」が実現します。