1分でわかる「SAFが創る未来の空」

カーボンニュートラル社会の実現に向け、新しいエネルギーの供給・実用化への挑戦がなされています。航空分野では国際民間航空機関(ICAO)が温室効果ガスの削減目標を設定しており、日本もその対象になっています。そう、SAF(持続可能な航空燃料)の供給・実用化は、待ったなしの状況なのです。
その目標を達成するために、私たちIdemitsuは2030年までに50万kL/年のSAF供給体制を構築することを計画しています。

Q1. なぜ、SAFが注目されているの?

A. 輸送分野において航空機は自動車に次いで2番目にCO₂の排出量が多く、カーボンニュートラル実現への影響が大きいから

日本国内での輸送量当たりのCO₂排出量は、自家用車に次いで航空機が2番目に多いことが報告されています。自動車業界ではEV車の開発などが進む一方、航空業界でも国際機関であるICAOが「2020年以降、CO₂の総排出量を増加させない」という目標を設定し、CO₂排出量の削減に向けた取り組みを行っています。

国内輸送量当たりのCO₂排出量比較(2022年度)
国内輸送量当たりのCO₂排出量比較(2022年度)
国内輸送量当たりのCO₂排出量比較(2022年度)

Q2. 航空由来のCO₂排出量の削減におけるポイントは?

A. 最も重要なのがSAF。SAFの活用に加え、様々な方法を組み合わせた目標の達成が目指されています

下の図からわかるように、「新しい技術」と「運航方式の改善」、そして「SAF」を組み合わせて目標を達成していくとみられています。
「新しい技術」として電動化、水素航空機などの導入も検討されていますが、小型機もしくは短距離用を想定。加えて、航空交通全体の最適化など「運航方式の改善」も検討されています。しかしながら当面は「SAF」の活用によるCO₂削減が最も大きなインパクトを持つと考えられており、SAFの供給が未来の空を創ると言っても過言ではありません。

CO₂排出量削減への貢献インパクト
CO₂排出量削減への貢献インパクト
CO₂排出量削減への貢献インパクト

●世界の旅客輸送数は今後、増加を続ける見込み

世界の旅客輸送数は増加を続け、2050年時点で現在の2倍以上になっていると予想されています。そのため、航空機の燃費改善だけでなく、SAFの安定供給や従来の燃料への混合上限の引き上げなど、品質の担保と改良も求められています。SAFの供給に取り組むIdemitsuの挑戦は続きます。

世界の旅客輸送予測

Q3. SAFは何から作られるの?

A. 8種類の製造規格があり、油脂やバイオマスなどを由来としています

従来の航空燃料は原油から作られるのに対し、SAFは様々な原料から異なった製造方法で作ることができます。国際的な規格設定機関(ASTM International)によって8種類の製造規格が承認されており(2024年7月時点)、従来の航空燃料への混合率も制限されています。
Idemitsuではこのうち「ATJ」と「HEFA」の2種類の製造方法に取り組んでいます。

  • ATJ(エーティージェー:Alcohol to Jetの略。エタノールなどから SAF を製造する技術)

  • HEFA(ヘファ:Hydroprocessed Esters and Fatty Acidsの略。使用済み食用油などの油脂を水素化処理し SAF を製造する技術)

Idemitsuが取り組む2種の製造規格
Idemitsuが取り組む2種の製造規格
Idemitsuが取り組む2種の製造規格

Q4. SAFはなぜ、環境に配慮したエネルギーといえるの?

A. CO₂を循環させ続けたり、廃棄物を再利用したりできるから

例えば、Idemitsuが手掛ける「ATJ」はサトウキビを原料とします。サトウキビは育つ過程で、光合成によって大気中のCO₂を吸収します。そのため、燃料として使われたときにCO₂を排出しても、先に吸収していたCO₂を差し引きすることができます。
自然のCO₂循環を上手に利用することで、従来の航空燃料を使用した時と比較し、大気中のCO₂をほとんど増やさずに空の移動ニーズに応えることができるのです。
また、その他の製造方法においては、廃棄されるはずであったものを原料として再利用するものもあります。

Idemitsuが取り組む「ATJ」によるCO₂の循環
Idemitsuが取り組む「ATJ」によるCO₂の循環
Idemitsuが取り組む「ATJ」によるCO₂の循環

Q5. なぜ、Idemitsuは2種類の製造方法に取り組んでいるの?

A. 将来にわたり、SAFを安定供給する責任を果たすため

大規模な製造技術の確立という観点では、世界的に「HEFA」が先行しています。ですが、「HEFA」の原料となる油脂類は物量に限りがあり、価格が大きく上下する可能性もあります。
Idemitsuでは将来にわたりSAFの供給責任を果たすために、複数の原料と製造技術を実用化する必要があると考えています。「ATJ」は世界的にも大規模製造の実証がなされていませんが、Idemitsuはこれに初めて挑戦します。また、「HEFA」の原料確保に向け、ポンガミア等の油糧植物の栽培・原料化も検討しています。

Idemitsuが目指す2050年とアクション

SAFをはじめ、合成燃料やアンモニア、水素といった一歩先のエネルギーへのIdemitsuの挑戦をご紹介しています。