



2025.06.19
マレーシアでの油ガス田開発事業に参入!ノルウェー・ベトナムでの経験を生かし、東南アジアでの事業展開を加速

ベトナム サオバンガス田の洋上生産処理施設
経済成長の著しい東南アジア。周辺地域のさらなる発展のため、増大する電力需要を支えるエネルギーの安定供給が不可欠です。出光興産は、マレーシア・サラワク州沖合に位置する油ガス田鉱区の権益を取得し、探鉱開発事業に参入しました。現在、ノルウェーとベトナムを主要拠点として、石油や天然ガスの探鉱開発事業を手掛けており、今回の権益取得は、これまで蓄積してきた知見・経験を発展させ、東南アジアでの新たな拠点構築と事業化を加速するものと期待しています。

マレーシアでの探鉱開発事業 契約調印式の様子
石油・天然ガス開発とは?
「石油・天然ガス開発」って皆さんどのようなイメージをお持ちでしょうか?
石油・天然ガスは、自動車や火力発電の燃料、プラスチック製品の原料、家庭で使う都市ガスなど世界中でさまざまな用途で使用されています。石油・天然ガスは太古の生物の死骸が地層の中で分解されてできたもので、液体のものは石油、気体のものは天然ガスと呼ばれます。一般的に石油と天然ガスは混ざり合った状態で埋蔵されていることが多く、埋蔵される油分が多い場合は「油田」、天然ガスが多い場合は「ガス田」、両方の場合は「油ガス田」、と呼ばれます。
石油・天然ガスは、自動車や火力発電の燃料、プラスチック製品の原料、家庭で使う都市ガスなど世界中でさまざまな用途で使用されています。石油・天然ガスは太古の生物の死骸が地層の中で分解されてできたもので、液体のものは石油、気体のものは天然ガスと呼ばれます。一般的に石油と天然ガスは混ざり合った状態で埋蔵されていることが多く、埋蔵される油分が多い場合は「油田」、天然ガスが多い場合は「ガス田」、両方の場合は「油ガス田」、と呼ばれます。
油ガス田開発は地下に眠る「石油・天然ガス」を発見することから始まります。事業として十分な埋蔵量が見込める可能性があると判断したら、開発を行う権利を取得する「鉱区取得」、油ガスが十分に存在することを確認する「探鉱」、生産方法の検討・施設建設を行う「開発」、生産操業を行う「生産」の各段階を経ながら慎重に進めていきます。そのため、事業化までには長い時間と多額の資金が必要になります。一般的に鉱区の取得検討から生産が開始されるまで10~20年程度、数百~数千億円規模の資金が必要です。また有望な鉱区の権益を取得できても、必ずしも生産にこぎ着けられるとは限りません。そのため、地質学・資源工学などの技術的な知識を持つ専門家はもちろん、政府・自治体・事業パートナーとの折衝・調整や事業運営のための渉外・財務・法務・総務などの専門家も結集する必要があり、まさにプロフェッショナル集団が一丸となって取り組む一大プロジェクトなのです。

出光興産の挑戦、日本海から海外展開へ
出光興産には60年を超える石油・天然ガス開発の歴史があり、そのはじまりは1950年代後半のイランでの鉱区入札参加までさかのぼります。1966年には日本海大陸棚の試掘権を出願し、石油開発への本格的な参入を果たしました。その後、1972年に新潟市東港沖合15kmではじめて石油の産出に成功し、1976年には日本初の本格的な海底油ガス田として阿賀沖油ガス田の生産を開始しました。また1984年には新潟市沖合にて、阿賀沖北油田の生産を開始しました。阿賀沖北油田の開発には、製油所から石油の扱いに長け専門知識を持つ技術者21名が派遣され、出光興産独自の力で開発と生産を実現させました。

ノルウェー スノーレ油田の洋上生産処理施設
現在は拠点を海外に移し、ノルウェーとベトナムで油ガス田開発事業を展開しています。ノルウェーでは1989年のスノーレ油田の権益取得にはじまり、北海の油田開発に日本勢として初めて参画するなど、上流部門の技術・管理に関する経験を積み、現在も探鉱活動や安定的な生産操業を継続しています。ベトナムでは1990年代に探鉱活動を開始し、2020年にサオバンガス田、2022年にダイグエットガス田での生産を開始しています。現地の言葉で「サオバン」は「金の星」、「ダイグエット」は「大きな月」という意味です。ベトナムのこれらのガス田は、出光興産にとって初めて探鉱から生産にこぎつけた海外オペレーター事業です。オペレーターとは探鉱・開発・生産等の油ガス田の操業をパートナーを代表して実施・管理するプロジェクトの当事者です。さまざまな専門知識を持つ人財を世界中から集めてチームを結成・運営し、多国籍メンバーによるプロジェクトを主導してきました。生産された天然ガスは海底パイプラインを通して約300km離れた発電所群に運ばれ、ベトナムにおける電力需要を支えています。
ベトナムでのオペレーター事業は、日本海やノルウェーでの事業展開など、これまでの挑戦から得た知見・経験、パートナー各社との関係構築、操業ノウハウの蓄積などが、まさに花開いたものです。そして、この経験を今回のマレーシア・サラワク州沖合でのプロジェクトに引き継いでいきます。今後は、エネルギーの安定供給の責務を果たしながら、石炭火力発電からガス火力発電へのシフトなど電源構成の環境負荷低減に貢献すると共に、当該鉱区を足掛かりにCCS※も含めたカーボンニュートラル事業も積極的に検討し取り組んでいきます。
※ Carbon Capture and Storage:発電所などから出る排気ガスに含まれるCO₂を分離・回収し、地中深くに貯留する技術