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2025.05.30

カシューナッツが地球温暖化防止に貢献!牛用飼料「ルミナップ」の主成分が牛のげっぷ中のメタンガスを削減する飼料添加物として、農林水産省から正式指定

  • 省資源・資源循環
牛群

「出光グループが牛のご飯を作っているって、本当?」

人々の暮らしをエネルギーと素材で支える出光興産グループ、実は牛のための飼料もつくっています。それもただの飼料ではなく、「牛のげっぷに含まれるメタンガスを減らして地球を守る」特別な飼料。その名も「ルミナップ」。
出光グループが開発・製造する機能性飼料「ルミナップ」

出光グループが開発・製造する機能性飼料「ルミナップ」

牛のげっぷ中に含まれるメタンガスを減らすと地球を守れるの?

牛のげっぷに含まれるメタンガスは、地球温暖化をもたらす温室効果ガスの一つです。実はCO₂の約25倍程度の温室効果があります。メタンガスは、地球上で排出される温室効果ガスの約2割を占めており、CO₂に次ぐ温暖化の原因と言われています。
メタンガスの総排出量の約4割を占めるのが、なんと牛、羊、やぎといった家畜のげっぷやおなら、排泄物など。その中でも特に影響が大きいのが、牛のげっぷ中に含まれるメタンガスです。牛は、毎日約30㎏もの大量の餌を食べ、4つの巨大な胃で発酵分解します。そして、その過程において第一胃(ルーメン)で生成されるメタンガスを、げっぷとして排出しています。
以下のグラフのように、世界の温室効果ガス排出量に占める農業(主に畜産業で、動物の消化管内発酵を含む)の割合は意外と大きく、環境負荷を低減するための対策が急務となっています。
世界のメタンガス排出量における産業別内訳

世界のメタンガス排出量における産業別内訳
(出典:Climate Watchの2022年データより算出)

どうしたら牛のげっぷに含まれるメタンガスを減らすことができるの?

この課題の解決に貢献するのが、出光興産のグループ会社である株式会社エス・ディー・エス バイオテックが開発・製造する機能性飼料の「ルミナップ」です。
「ルミナップ」は「カシューナッツの殻」を圧搾して抽出される天然のオイルである「カシューナッツ殻液(CNSL:Cashew Nut Shell Liquid)を主成分としています。このCNSL が2025年5月1日、牛のげっぷ中のメタンガスを削減する飼料添加物として農林水産省から正式に指定を受け、いま注目を集めています。
カシューナッツ殻液
カシューナッツ殻液(CNSL)を含んだ製品例

カシューナッツ殻液(CNSL)を含んだ製品例

牛の胃には、牛が食べる大量の食物繊維の発酵分解を助ける作用を持つ菌が生息しています。その菌の中には、メタンガスを発生させる菌がいます。ルミナップの主成分であるCNSLは、牛の胃の中にいる消化を助ける菌は維持しつつ、メタンガスを発生させる菌の働きを抑えることで、牛がげっぷとして排出するメタンガスを減少させることができます。消化に必要な菌の働きを失うことなくメタンの発生を抑制する—。この困難な課題を打ち破ったのがCNSL。地球温暖化防止に直接貢献する、画期的な物質です。
CNSLが主成分の「ルミナップ」と牛の関係

CNSLが主成分の「ルミナップ」と牛の関係

なぜ出光グループが牛用の飼料を研究・開発しているの?

エネルギーと素材を供給する出光グループが、なぜ牛の飼料を開発しているのか。その理由は、出光グループが「人々の暮らしを支える」使命をもつことにあります。
「食は人が生きるためのエネルギーを生み出す重要な産業である」という考えから、出光は1970年代から農薬や飼料添加物の研究を続け、技術を蓄積してきました。
出光グループは、CNSLの研究を約20年にわたり続けています。2012年に販売開始した「ルミナップ」は、牛がより多くの乳を出したり、順調に子牛を産んだりするために、牛の健康維持をサポートする効果も確認されていて、お客様にご好評をいただいています。
さらに今回、メタンガスを低減する効果が農林水産省に認められ、飼料添加物の用途の一つである「飼料の栄養成分その他の有効成分の補給」に含まれる「温室効果ガス削減を目的とするもの」として正式に指定を受けました。2年半の審査期間を経て、長年にわたる研究の成果が認められたのです。
ルミナップの開発は、出光グループが取り組む環境への挑戦の一例です。出光グループのコーポレート研究部門である次世代研究所では、バイオ農薬や環境に配慮した畜産資材など、環境に貢献するさらなる新技術開発を進めています。
今後も、カーボンニュートラル・循環型社会の実現を支えるための技術革新を続ける出光グループにご注目ください。