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2024.06.20

メタンガス排出削減に向け、地域と環境に配慮したブランド和牛の肥育に協力

  • 省資源・資源循環
あか牛の放牧風景(画像提供:南阿蘇村役場)
日本の固有種とされる4種和牛うちの1つ「あか牛(あかうし)」。脂肪が少なく、赤身肉の味わいを楽しむことができる褐色の和牛です。2024年6月、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)・熊本県畜産農業協同組合連合会(熊本畜連)・株式会社肥後銀行による熊本県・阿蘇地域発の新たなブランド「エシカル和牛・くまもとあか牛」の、国内外市場への出荷がスタートしました。この「エシカル和牛・くまもとあか牛」の肥育に、出光興産グループは意外な形で関わっているのです。
エシカル和牛・くまもとあか牛(画像提供:慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)

エシカル和牛・くまもとあか牛(画像提供:慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)

「エシカル和牛・くまもとあか牛」の生育地である熊本県・阿蘇地域は、広大な草原の涵養(かんよう)力により、豊かな天然水が湧きだす水源の宝庫です。また、その雄大な景観は、地域の観光業にも大きく貢献してきました。
草原環境を守るための方法の一つが「牛の放牧」です。牛が草を食べることで雨水が地下に浸透しやすくなり、食べた草が肥料になることで豊かな草原が育まれる-。古くから行われてきた方法ですが、畜産業の担い手の減少などを背景に、持続可能性が課題となっています。
※涵養:水が自然に染み込むように、ゆっくりと養い育てること。豊かな草原や森林の働きで、雨水がすぐに流れ出ることなく、地中に自然にゆっくり染み込み地下水となるといわれている。
こうした課題を見据え、2022年7月に南阿蘇村・KMD・熊本畜連の三者が連携し、「南阿蘇村 草原再生・あか牛復興プロジェクト」がスタートしました。あか牛の放牧を通じた草原環境の維持を実現するために、畜産業従事者の所得向上や育成、雇用創出など、畜産業の持続可能性の向上に取り組むものです。
また、プロジェクトでは、近年ニーズが高まる「エシカル(人や社会、地球環境、地域に配慮した考え方や行動)消費」への対応として、牛由来のメタンガス排出を抑制することも目指しています。出光興産とグループ会社である株式会社エス・ディー・エス バイオテックはこのプロジェクトに賛同し、牛のゲップに含まれるメタンガスの排出削減に効果が期待される成分・カシューナッツ殻液(CNSL)が含まれる飼料を提供するとともに、南阿蘇村の畜産業における温室効果ガス排出抑制技術の実証を支援しています。CNSLは 扱いが難しい素材ですが、当社グループは扱いやすく有効成分が変化しにくい加工技術を開発しました。これにより、安全な給餌が可能です。
カシューナッツ殻液(CNSL)が含まれる飼料の給餌

カシューナッツ殻液(CNSL)が含まれる飼料の給餌

草原の保全、地域産業の振興、温室効果ガスの削減など、さまざまな課題解決への道筋が束ねられた「エシカル和牛・くまもとあか牛」。皆さんが訪れたお店で目にすることがあるかもしれません。

出光興産グループは今後も技術の力で、産業活動・一般消費者向けのカーボンニュートラルソリューションを提供していきます。
あか牛の放牧風景(画像提供:南阿蘇村役場)

あか牛の放牧風景(画像提供:南阿蘇村役場)

株式会社エス・ディー・エス・バイオテック

https://www.sdsbio.co.jp/