DE&I役員対談

誰もが挑戦できる組織が、
事業の未来を拓く
継続的な事業成長の基盤となる人づくりや組織づくりにおいて、多様な考え方や価値観がなぜ不可欠なのか。
そして、新たな価値創出へとつながる共創の実現がいかに重要なのかーー。
CHROである池田取締役と、先進マテリアルカンパニープレジデントの三品常務のお二人に、自身の経験などを交えながら、今後の人財戦略と共創の現場について、思う存分に語り合っていただきました。
人財戦略が目指す出光の未来とは
-

池田:創業以来、出光には「世の中の役に立つ、そして尊重される人をつくる」という考え方があり、事業はそのための手段とされています。これが当社の人財戦略や人的資本経営の原点だと考えています。
先ごろ発表した中期経営計画では、基盤事業の収益基盤を強化しながら、将来を見据え、低/脱炭素事業、あるいは三品さんがご担当されている先進マテリアル等々の成長事業に挑戦していく姿を描いています。つまり、事業ポートフォリオを変えることが当社の足元の大きな課題です。一方で、事業が変わるということは、当然、求められる人財も変わっていきます。ですから、今こそ人財ポートフォリオの変革が必要だと思うんですね。
「じゃあどんな人財が必要なの?」という事ですが、基盤事業をより磨き上げる人財もいれば、色んな知見や研究をつなぎ合わせ、共創によって新しい領域を作っていく人財もいる。さらには、海外で一から新たな事業を興したり、AIを活用して事業の合理化を推し進める人財等々。こうした多様な人財を、育成あるいは確保していかなければならない。今後の人財戦略は、出光が大切にしている「人づくり」の精神を守りながら、未来の事業を切り拓いていく人財を育み、その人財が活躍できる組織を整えていくことではないでしょうか。 -

三品:本当にその通り。事業を見ている立場からすると、中期経営計画では2030年までの結構大きな話が描かれていますが、それをちゃんとやり切ることがものすごく大事だと思っていて。実際にやり切るのは、やっぱり現場も含めた人なんですね。だから、人が一番大事だというのは同感。人そのものが出光の競争力であり、力ですからね。
池田:私は、事業は一人ひとりの成長の総和だと思っています。人の成長が多ければ多いほどその事業は大きく成長するはずだ、という考え方です。新しい設備を設置したり、新しい制度を入れるだけでは、実は事業の成長や新しい価値は生まれない。やっぱりその前段に人の挑戦や成長がある。これが事業変革の非常に重要なポイントだと感じています。
三品:人の成長曲線って全然一定ではないですよね。最初から伸びる人もいれば遅咲きもいる。あと当然、得意分野もみんな違う。これが得意という人をうまく適材適所に持っていったり、得意ではなさそうだけど、意外とブレイクスルーしそうな人がいれば任せてみたり。マネジメントで一番おもしろいのは、事業の成長はもちろんですが、やっている人の顔つきが変わっていくことや、すごい成長ぶりを目の当たりにすることです。事業は自分の成長を体感できる場であってほしいと思う。
池田:同感です。社員が挑戦・成長できる組織を創っていきたいですね。
なぜ、多様性が事業の競争力になるのか
三品:自社の人間だけで頑張ってもどうにもならないケースっていくらでもあります。しかし、専門知識を持つキャリア入社の方や社外の方などと交わると、「三人寄れば文殊の知恵」ではないですが、解決策が見えてきたり、ぼんやりしていたものがクリアになってきたりする。特に先進マテリアルカンパニーでは、出光の人間だけの知識と感覚では成り立ちにくい。だからもう当たり前のように多様性を大事にする文化になっています。
池田:多様性が混じり合う場所や組織からイノベーションが起きるということですよね。それを一番わかりやすく体現しているのが、三品さんがご担当されている新しい事業の分野だと思います。
三品:今はとにかく先が読めない時代ですし、本当に答えがわからない。だからこそ、専門性の高さに加えて、様々な領域の横のつながりが見えるバランスの取れた人財が必要。それには自分とは異なる知識や考え方を持っている人たちと交わり、答えや進むべき道を見つけていくというのが一番いいと思う。
今、2028年に統合研究所が立ち上がるのを機に、そこをハブとしたイノベーションセンター構想を実現しようとしています。社内の事業部や研究所に多くのスペシャリストがいますが、そこに横串をさして、色んな研究や知識を融合させる。さらに国内外の外部の人も呼んでイノベーションを起こし、事業につなげていく。そこが非常に楽しみなイベントであり、大きな組織改革にもなると思っています。
池田:当社はこれまで、自社内で人を育成していこうという傾向にありましたが、今はなるべく外との接点を持ったり、外で揉まれるということを人事施策として重視しています。例えば、週に1日だけ当社と事業領域の異なる組織に参画したり、学校の先生を務めたり。新しい知識や考えに触れ、他者と交わる取り組みや機会を人財戦略においても積極的に取り入れていきたいと考えています。
三品:それって越境みたいなものですよね。仕事を進める上で、DE&Iの真逆である組織の縦割りが一番もったいない。もちろん縦割りだからこそ効率のいい面があるかもしれませんが、やっぱり力を発揮しにくいし、想像を超えるものにはなりにくい。だから外を見るのは本当に大事で。池田さんがご紹介された制度を活用してもいいし、何か興味のある社会課題があれば、自分から体験しに行ったり、セミナーに参加してみたりしてもいい。人間として成長するし、パフォーマンスを発揮できる領域が増えていく。とにかく今まで自分がやっていないことにちょっとでもいいから挑戦してみると、思いもよらなかった効果が感じられる瞬間がきっと訪れると思います。自分が成長できる色々な機会を探してほしいですよね。
池田:当社では、自分の業務分野以外のことを提案しても「なんでお前がやるんだ」「それはこっちの仕事だ」などと言う人が比較的少ないと感じます。「自分はこう思っている」ということを社内で自由に言い合える。これって、経営としては非効率という意見もあると思うのですが、他部署の課題に気づいても黙っている、或いは無関心であるよりはよっぽど健全だと私は思います。さきほど話に出たように、時には少々越境しても、「自分はここまで」と限界を決めないという風土こそが大切だと思います。

やりがいと挑戦が生まれる組織とは
-

三品:私自身、与えられた仕事をしているだけではやりがいは生まれないと思っていて。多分、自分の仕事が事業のどこを担っていて、何の役に立っているのかをみんな知りたがっている。だから、事業の意義や方向性はもちろん、「この仕事をやってくれてありがとう。こんな成果につながっているよ」と、役職者が自分の言葉でメンバーに伝える。こういうコミュニケーションがとても大切だと思っています。
また、社員と対話することで、仕事の意義を感じてもらえたり、不満や不安が少しでも減ったりすると、事業の軸に沿った仕事をしてくれるようにもなります。お互いを認め合える関係を築くことができれば、やりがいは高まると思うし、その方がきっと仕事が楽しくなる。楽しければ何でもいいというわけではないけど、私自身、楽しいっていう感覚を非常に大事にしているんです。心の豊かさにつながらないと働くモチベーションは上がっていかないと思うので。 -

池田:働きがいについて少しお話しすると、私は「働きがい」は、「働きやすさ」と「やりがい」の2つの要素からなっていて、その両方が影響しあっていると考えています。
働きやすさというのは、例えば通勤しやすい、職場がきれい、制度や処遇が整っているといったことです。これは足りないと不満に感じるのですが、満ち足りても「働きがい」を感じさせる要素ではないと思います。「トイレがきれいなので、働きがいがある!」とはならないですよね。有名なマズローの欲求五段階説でいえば、生理的欲求→安全の欲求→社会的欲求のフェースでしょうか。
一方で「やりがい」は、仕事を通じて自分の成長や達成感を得たり、自分の仕事や貢献が認められ、適切に評価されたりすることから生まれます。先のマズローの欲求でいえば、承認欲求→自己実現欲求という一段階高いレベルで表現できると思います。そうした経験が、一人ひとりの内面的なモチベーションにつながっていくのだと思います。
だからこそ大切なのは、しっかりと働きやすさを高めたうえで、社員の意欲を引き出し、成長を後押しするマネジメントです。そう考えると各職場の役職者のマネジメントが働きがいには大きく影響すると言えるのではないでしょうか。部下一人ひとりと向き合い、その人の強みや思いを理解しながら、挑戦する機会や適切なフィードバックを提供していく役割です。ただ、それを現場の役職者だけに任せてはいけません。経営や人事部・キャリアデザイン部が、現場のマネジメントを支援するための仕組みづくり、環境づくりをしっかり行うことも非常に重要だと思います。
三品:私と同じようなことをお話しされていますが、池田さんのお話は、私よりもわかりやすくて論理的ですね(笑)。
池田:三品さんの「仕事は楽しく」という視点は私の話には欠けていたなと。やりがいや達成感って難しく捉えがちですけど、やっぱり「楽しくないとダメだよね」っていうことですね。
三品:楽しいだけじゃ困りますけど(笑)。

事業運営におけるDE&Iの重要性とは
池田:私たちの話に共通しているのは、色んな混ざり合いや化学反応がイノベーションや事業の成長を生み出していくということ。この化学反応を促進させる風土がDE&Iだと思います。特に当社にとっては「E(Equity=公正性)」が非常に大切で。「D(Diversity=多様性)」と「I(Inclusion=包摂)」だけでは、「色んな人がいますね」「いいですね」で終わってしまい、その先の化学反応まで行き着かない。つまり「E(エクイティ)」は、みんなが色んな議論を交わし、それを融合するための重要な要素です。当社におけるエクイティの定義とは、「誰もが挑戦や成長、活躍の機会に公平にアクセスできる」ということ。そこにはジェンダーや、年齢や国籍、障がいの有無といった属性も一切関係ありません。こうした「E」=「エクイティ」をしっかりと企業風土として浸透させることが、DE&I実現の鍵だと私は思っています。
三品:DE&Iは、どこか他人事のように捉えられていることも正直まだ多いと思います。ただ、新しい事業や研究の領域では、DE&Iを自分ごととして捉え、多様な人の力を生かさなければ仕事は進みません。そうした環境に身を置くことで、自然とDE&Iの大切さを実感し、一人ひとりが自分の力を発揮しやすくなるのだと思います。
一方、既存の基盤事業においても当然DE&Iは必要です。特にチームで動くとか海外の人と共に業務にあたるという場面ではDE&Iがとても大事になってくる。今の先進マテリアル事業は、もともと石油部門などから来た人たちが他の人と共創しながら活躍しています。だから出光の社員はみんなDE&Iの素質を持っていると思います。
池田:確かにそうなんですよね。例えば、三品さんが率いる先進マテリアルカンパニーにも、もともと別の仕事をしていた方々が多く集まり、基盤を作ってきた。DE&Iに対する考えは、三品さんのお話の通りだなと思いますね。
三品:今、基盤事業の製造技術の領域では、各事業所や部門のキーマンが意見交換をしています。同じ出光の事業所でも、考え方ややり方が違うんですよね。参加した人に話を聞くと、「やってよかった」「目から鱗」などの感想が上がります。いい答えや打ち手が見つかったりもしますし、そもそも知り合いが増えただけでも良かったとか。そんなところがDE&Iの第一歩になるんじゃないかな。
池田:そういうDE&Iの現場や、実際に効果があるという話をたくさん集めて、社内に発信し、DE&Iに対する理解を深めていくことも大切ですね。それがDE&Iの自分事化につながっていくと思います。

私たちと働くことに興味をお持ちの皆さまへ
三品:新卒入社であってもキャリア入社であっても、入社してしまえばみんな出光の一員です。だから、色んな感覚や知識、経験や個性を持ってきてもらえるのは大歓迎。もともと出光には、一人ひとりを仲間として尊重する文化があるので、思い切って入ってきてほしい。何か実現したいものがあって、出光の力を使ってみんなで成し遂げたいと思っている方は、ぜひそのパッションを持ち込んでいただきたい。
池田:当社が望む人財は、最初から完成形である必要はないんです。むしろ、社内外の色々な人と共創ができ、もっと学びたい、成長したいという気持ちを持っている方に来ていただきたい。挑戦や成長をしながらみんなで高め合い成長していくことを大切に思っている会社ですからね。
一方で、先ほどもお話したように、出光は今後、攻める、守る、支える、というそれぞれの役割で挑戦をしていかなければなりませんが、我々の知識・経験だけでは変革は難しい。だからこれから入社される方には、多彩な知識や自信に満ちた経験、そしてユニークな価値観など、多様な個性を持ち込んでほしい。そういう皆さんとぜひ一緒に仕事をしたいと思っています。
三品:出光って面白い会社だと思うんです。ずっと人が中心にあって、みんなの力が合わさると、爆発的に力を発揮するのがこの会社。こういう文化に浸かってみるのも良いと思いますよ。
池田:やっぱり成長できる会社なんだと思います。人の成長を事業の目的の一つにしているので、それが体現できる。そして、成長が仕事に結びついてやりがいを感じることができる。当社に入社していただくと、こうしたことを体験や体感できると思います。
部署・肩書きは取材当時のものです

idemitsu DE&コンセプト動画
「きっかけは、あなたのひと言。」
社員一人ひとりの挑戦や成長を支える、出光興産のDE&I。その考え方や目指す姿を、動画で表現しました。これまで培ってきたDE&Iを、共創とイノベーションを生み出す新たなステージへと深化させる意志を込めています。