豊富な日本の海洋資源を生かすブルーカーボン事業の創出へ向け、世界各地に拠点をもつHatch社との共同検討を開始

出光興産株式会社（本社：東京都千代田区、代表取締役社長：木藤俊一、以下「当社」）は、当社100％子会社である出光アメリカズホールディングス^※1（本社：米国カリフォルニア州サンノゼ、社長兼CEO：杉原啓太郎）を通じ、Hatch Blue（以下「Hatch社」）と、日本でのブルーカーボン^※2事業の創出に向けた共同検討を本年8月より開始します。本取り組みは日本の地域創生に資する低炭素・脱炭素事業の創出および知見の獲得を目的としており、共同検討と同時に、Hatch社が組成したファンド「Blue Revolution Fund」へ出資します。

2050年のカーボンニュートラル実現には、CO₂の排出量を削減するだけでなく、マイナス（吸収）するネガティブエミッションに関する技術の構築と事業の創出も不可欠です。当社はCO₂の新たな吸収源として、ブルーカーボンに注目しました。
ブルーカーボンとは、ワカメやアカモクなどの海藻、アマモなどの海草、湿地・干潟、マングローブ林の働きによって海中に吸収され、貯蔵された炭素のことです。海に囲まれた日本の地理的特性を生かせる新たな技術として、期待が高まっています。

Hatch社は世界各地に拠点を持ち、海洋資源分野のスタートアップ企業に投資を行っています。最先端技術の動向把握と先見性、そして人脈に定評があります。Hatch社はファンドを組成するとともに、世界中の企業・アカデミアとの共同研究・事業に取り組んでおり、海洋資源の他に、海藻、海草といったブルーカーボン生態系に関する高い専門性を有します。
当社がこのたび出資した「Blue Revolution Fund」は、世界的な自然保護団体（非営利団体）のThe Nature Conservancyも参画しており、海洋資源における生物の多様性、気候変動問題、水産資源の活用、漁業の振興といった環境・社会課題への価値創出を目指しております。
当社はHatch社が組成したファンドへの出資および協業を通じ、海洋資源分野における低炭素・脱炭素事業の創出に取り組みます。

【本取り組みの特徴】

1.

海洋資源・ブルーカーボン分野における有望なCO₂吸収策の追求
世界各地に拠点を持つHatch社を通じて、将来有望なCO₂吸収策となり得る海洋資源・ブルーカーボン分野のスタートアップやアカデミアと繋がることで、同分野の知見・経験を獲得することを目指します。
2.

日本国内におけるブルーカーボン事業創出
当社とHatch社にて、日本国内におけるブルーカーボン活用に向けた共同検討を開始します。共同検討は「将来的なCO₂削減と事業創出に資すること」、「日本の地理的特性を生かせること」、「漁業振興、地域貢献につながること」をテーマとして取り組みます。調査を通じ、日本の各地域における藻場づくりをはじめとしたブルーカーボン生態系の活性化・持続可能性の向上や地域創生に貢献する事業の創出を推進します。本取り組みを通じ、ジャパンブルーエコノミー技術組合（JBE）が発行する「Jブルークレジット^※3」を取得することを目標として掲げており、将来的には、当社の既存ビジネスと組み合わせ、新たな製品・サービスを提供することで事業の拡大を目指します。

米州域内事業会社の新規事業の開発および運営管理機能の強化を目的として2020年2月6日に設立した会社。米州での燃料油・潤滑油・機能性樹脂・太陽光発電等の事業会社のホールディングカンパニーであるとともに、米州を中心に他企業とのさまざまなネットワークの形成や新規プロジェクトの探索を行っている。
「ブルーカーボン」は2009年10月に国連環境計画（UNEP）の報告書においてはじめて定義された。陸域の森林等により吸収されるCO₂由来の炭素「グリーンカーボン」とならんで、近年は、ブルーカーボンがCO₂吸収源として注目されており、各地でブルーカーボン生態系を保全・回復する取り組みが行われている。
2020年に設立された国交省認可の技術研究組合であるジャパンブルーエコノミー技術研究組合（JBE）が発行するクレジット。JBEは沿岸域における気候変動対策を促進し、ブルーカーボンの定量的評価、技術開発および資金メカニズムの導入等の試験研究を行う。

【参考】Hatch社概要

Hatch社は、主に米国、ノルウェー、シンガポールに拠点を持ち、海洋資源分野において高成長し、環境問題に取り組むスタートアップ企業に投資を行うベンチャーキャピタルです。Hatch社はその他にも、アクセラレーター、コンサルティングサービス、水産養殖業界向けメディア「Fish Site」を運営しており、世界中の企業・アカデミアとも共同研究・事業に取り組んでおります。