2023年6月21日

スマートよろずや

次世代営農型太陽光発電の実証事業開始について 農作物の生育に配慮した発電で農地におけるカーボンニュートラルに貢献します

再生可能エネルギー

出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:木藤 俊一、以下:当社)は、千葉県木更津市の圃場(水田)において、2023年6月に農業と再生可能エネルギー発電を両立する次世代営農型太陽光発電※1の実証を開始しました。当実証では、太陽光を自動追尾して可動する架台(以下:太陽光追尾型架台)と両面受光型の太陽光パネル(以下:両面モジュール)を導入しました。
太陽光追尾型架台が太陽の動きに合わせて自動的に両面モジュールの向きを調整することにより、農作期にはパネル下で栽培する農作物への太陽光照射を優先します。これにより農作物の収量と品質の維持・向上を図ります。農作物の生育に配慮した発電の実現により、従来の営農型発電に比べ、「営農」と「発電」の両立を一層追求した事業モデル構築を目指します。
なお、発電した電力は、当社100%子会社の小売電気事業者である出光グリーンパワー株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:中田 雅之)を通じ、一般のお客さまに販売します。

  • 営農型太陽光発電:
    農地に支柱を立てて上部空間に太陽光発電設備を設置することにより、農業と発電を両立する仕組み。

田植え前の実証圃場(2023年4月上旬)

田植え前の実証圃場
(2023年4月上旬)

田植え後の実証圃場(2023年6月中旬)イネが順調に生育

田植え後の実証圃場(2023年6月中旬)
イネが順調に生育

実証圃場に設置した太陽光発電設備

田植え前の実証圃場(2023年4月上旬)

田植え前の実証圃場
(2023年4月上旬)

田植え後の実証圃場(2023年6月中旬)イネが順調に生育

田植え後の実証圃場(2023年6月中旬)
イネが順調に生育

実証圃場に設置した太陽光発電設備

田植え前の実証圃場(2023年4月上旬)

田植え前の実証圃場
(2023年4月上旬)

田植え後の実証圃場(2023年6月中旬)イネが順調に生育

田植え後の実証圃場(2023年6月中旬)
イネが順調に生育

実証圃場に設置した太陽光発電設備

国の第6次エネルギー基本計画 (2021年10月)は、国内の電源構成における太陽光発電の比率を2019年度の6.7%から2030年度には14~16%(103.5~117.6GW)に引き上げる目標を掲げています。この目標を達成するためには太陽光発電設備の増設が必須ですが、大規模な設備を新設する適地はすでに不足しつつあります。そこで太陽光発電設備の新たな適地として期待されているのが、全国で約430万ha※2の面積を占める農地です。
一方、従来式の固定型架台を使用した発電設備では、パネルによる太陽光の遮蔽が多くの日照量を必要とする作物の生育に影響を及ぼすことから、稲作地等の農地には活用しにくいという課題があります。今回の実証では、太陽光追尾型架台および両面モジュールを用いることで、イネの生育期(4~8月)には太陽光を地表(イネ)に優先的に照射し、生育期以外は太陽光パネルに優先的に照射します。これにより、太陽光発電を行いながら稲作に適した環境条件の制御・最適化が可能となります。なお、発電設備下部で栽培されたイネについては、収穫したコメの収量や品質評価を行い、全農地面積の50%以上を占める稲作地※3を太陽光発電の適地として有効活用する可能性を確認します。なお、両面モジュールは裏面も受光可能であることから、農作期に農作物への照射を優先した際の逸失発電量は、通年で補います。

当社は今回の実証を通じ、太陽光追尾型架台を使用した発電の性能・費用対効果、および営農型太陽光発電としての事業性等を確認するとともに、発電所建設から運用までの知見の取得、また発電設備の下部における作物にとっての環境条件の制御・最適化手法を確立し、今後数年以内を目途に規模を拡大して営農型太陽光発電の事業展開を目指します。また、営農型太陽光発電には地域の農業法人あるいは農家が既存の農業を継続しつつ、発電所設置による収益(地代/売電収入)を期待できる利点もあります。当社は営農型太陽光発電の事業化を通し、持続可能な農業経営にも貢献します。

【実証概要】

1. 実証施設名
「出光木更津営農型太陽光発電所」(千葉県木更津市)
2. 発電出力
45kW
3. 実証期間
2023年6月~2025年9月

当実証で使用する太陽光追尾型架台は、株式会社クリーンエナジージャパン(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:井原邦宜、以下クリーンエナジージャパン)の製品を使用します。当社とクリーンエナジージャパンは、太陽光追尾型架台を営農型に活用する特許を共同出願しております。

当社は2050年カーボンニュートラル社会の実現に向け、2030年ビジョン「責任ある変革者」、2050年ビジョン「変革をカタチに」を掲げています。昨年11月に発表した中期経営計画(対象年度:2023~2025年度) では、下記「3つの事業領域」の社会実装を通して「人々の暮らしを支える責任」と「未来の地球環境を守る責任」を果たします。

事業ポートフォリオ転換に向けた3つの事業領域 事業ポートフォリオ転換に向けた3つの事業領域

事業ポートフォリオ転換に向けた3つの事業領域

本実証の取り組みは、事業ポートフォリオ転換に向けた事業領域のうち「スマートよろずや」の事業開発と社会実装に向けた取り組みと位置付けています。当社は今後も、農業とエネルギーの低炭素化の両立を通し、地域の豊かな暮らしを支える新たな事業モデルの展開を検討してまいります。

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出光興産株式会社 広報部広報課

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