テナント単位でも！EVでも！使用電力は自分で「選べる」時代へ 再エネ電力分別供給システム「IDEPASS™」とEV充電システム「再エネチョイス™」を開発しました

2050年カーボンニュートラル社会の実現に向け、国内でも多くの自治体や企業において使用電力を再エネ電力に切り替えるニーズは拡大しています。電力を使用するお客様が主体的に再エネ電力を選択できることに加え、「環境価値」の観点から調達電源の属性を正確に把握するトレーサビリティ（追跡可能性）も重要視されています。
当社はこれまで地域創生と社会課題解決を目的に太陽光発電・EV・蓄電池等の最適制御によるコスト・環境負荷低減等に資するシステムの構築を行い、さまざまな自治体と連携して「エネルギーの地産地消」に貢献する取り組みを行ってきました。これらの知見をもとにこのたび、再エネ電力のさらなる普及と地産地消を目的として「IDEPASS」「再エネチョイス」を開発しました。

IDEPASSによる電力分別供給イメージ

1．IDEPASSの特長

（1）テナント、部屋単位でも再エネ電力の使用を選択可能
これまでショッピングモールや空港、庁舎等の単一施設に供給される電力については、施設内に入居する複数のテナントや部屋単位での使用電力選択はできませんでした。電力分別供給システムIDEPASSは、ブロックチェーン技術による高いトレーサビリティとデータの信頼性に加え、従来の類似システムよりも細やかな「分別単位」（分電盤設置単位）で供給電力を分別・可視化し、電力を分別供給することが可能です。これにより、テナントごと、分電盤設置状況によっては部屋ごとに、お客様自身がどの電力を使用するのかを選択することができます。

（2）EV充電でも再エネ電力を選択可能（再エネチョイス）
現在、電力の取引は一般的には30分単位で行われています。IDEPASSでは、発電から消費の流れを捕捉する電力取引管理システムを1分単位で運用することで、EV充電のようなごく短時間の電力供給においても再エネ電力の供給を選択することができます。充電にあたっては、同じく当社が開発したEV充電システム 再エネチョイス を使用します。再エネチョイスは、再エネ電力を一定比率で含む充電を選択してEV充電できるシステムであり、環境意識の高いEVユーザーのニーズに対応します。

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  「再エネチョイス」を搭載した
  EV充電器

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  「再エネチョイス」による
  EV充電時の電力選択画面
  （スマートフォンアプリからお客様
  ご自身で充電電力を選択）
  ※表示されている電力単価、
  再エネ電力比率は仮です

2．IDEPASSが提供する社会的価値

（1）再エネ電力の使用機会拡大による環境意識の喚起
IDEPASSの導入は、自治体や企業など再エネ電力の使用を希望するお客様を中心に再エネ電力の普及拡大に寄与します。また、施設内のテナント様などにも再エネ電力の使用機会が拡大することにより、これまで再エネ電力を志向されなかったお客様の環境意識を喚起・向上し、再エネ電力のさらなる普及を促進します。

（2）電力種別ごとの料金反映により、再エネ電力事業の持続・成長性に寄与
分別供給により、お客様が使用された電力種別（再エネ/再エネ以外）ごとの使用量に応じたコストを電気使用料金に細かに反映することができます。再エネ電力を選択するお客様、またはそうでないお客様に、ご使用の実態に応じた適正な料金をご負担いただくことで、電力供給にかかるコストを回収し、再エネ電力事業の継続性および成長性の向上に寄与します。

3．今後の展開

2023年4月より「IDEPASS」「再エネチョイス」を使用した電力供給事業の実証を開始し、実証により事業性の検証・評価を行います。並行して、カーボンニュートラル達成に向けた総合的な施策として、IDEPASS、再エネチョイスのみならず、オンサイトPPA用太陽光パネルやEV充電器等のパッケージ導入を、全国の自治体や企業に提案してまいります。本パッケージは、2023年度より全国で展開していく予定です。加えて、IDEPASSシステムの販売・ライセンス等の事業化も視野に入れています。
なおIDEPASSが分別供給する再エネ電力は、当初段階ではオンサイト電源^※2で発電された電力のみですが、地域内にあるオフサイト電源^※3で発電された電力についても今後、分別供給の対象とする見込みです。これにより、ショッピングモールや空港、庁舎など比較的大規模な施設のみならず、オンサイト発電設備を保有しない比較的小規模な施設のテナントや、集合住宅に居住する区分所有者においても再エネ電力の利用を促進します。

当社は2050年カーボンニュートラル社会の実現に向け、2030年ビジョン「責任ある変革者」、2050年ビジョン「変革をカタチに」を掲げています。昨年11月に発表した 中期経営計画（対象年度：2023～2025年度）では、下記「3つの事業領域」の社会実装を通して「人々の暮らしを支える責任」と「未来の地球環境を守る責任」を果たします。

出光興産 事業ポートフォリオ転換に向けた
3つの事業領域

本取組みは、地域の暮らしを支えるエネルギーの多様化・低炭素化を目指すものであり、上記3つの事業領域における「スマートよろずや」の事業開発と社会実装に向けた取り組みと位置付けています。

以上