2022年1月7日

その他

「常温、常圧下アンモニア製造技術の開発」がNEDOグリーンイノベーション基金に採択 -アンモニア製造過程でのカーボンフリー実現へ-

アンモニア

出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:木藤 俊一)が幹事会社として実施する「常温、常圧下アンモニア製造技術の開発」が、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「グリーンイノベーション基金事業/燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクト」の課題の一つとして採択されました。事業期間は、2021年度から2028年度の8年間(予定)です。

脱炭素社会実現へ向け、燃焼時にCO2を排出しないアンモニアは、エネルギーキャリアや発電・工業ボイラー用の新燃料として注目されています。しかし、現在の製造方法(ハーバー・ボッシュ法、以下「HB法」)は、高温・高圧下で水素と窒素を反応させるため、製造に多大なエネルギーが必要となりCO2の排出が避けられません。また、HB法は原料の水素を石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料から取り出すため、原料由来のCO2も排出します。アンモニアは次世代のエネルギー源として有望視されていますが、製造時のCO2排出量を抑制することが持続可能な社会を構築する上で課題となっています。

本事業では、常温・常圧の温和な反応条件下でアンモニアを製造する新技術の確立とコスト競争力が高い量産化へ向けた技術開発を行い、アンモニアの製造工程におけるカーボンフリーの実現を目指します。
技術開発にあたっては、国立大学法人東京大学大学院工学系研究科の西林仁昭教授らが開発し、世界最高の活性を達成した「モリブデン触媒」(発表論文:Nature 568, 536–540 (2019))を応用します。「モリブデン触媒」が窒素ガスを活性化し、ヨウ化サマリウムが「水」と反応することで発生するプロトン(H+)および電子と反応することで、アンモニアを常温・常圧下で製造します。これは100年以上の歴史があるHB法に置き換わる可能性を持つ画期的な技術ですが、水と反応した後にヨウ化サマリウムの酸化物を大量に排出することが、社会実装への技術的な課題になっています。
本事業は国立大学法人東京大学、国立大学法人東京工業大学、国立大学法人大阪大学、国立大学法人九州大学、および、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で行い、高性能モリブデン触媒を活用した新規アンモニア製造技術の確立により商用規模でのグリーンアンモニアサプライチェーン構築に貢献することを目指します。

【事業概要】

1.
国立大学法人東京大学西林仁昭教授らが開発したモリブデン触媒を用い、水と窒素と電気から常温・常圧でアンモニアを製造する方法を確立する。
  • ■体制:出光興産株式会社(幹事)、国立大学法人東京大学、国立大学法人東京工業大学、国立大学法人大阪大学、国立大学法人九州大学
  •    再委託先・共同実施先:
  •    国立研究開発法人産業技術総合研究所、日産化学株式会社、株式会社東芝
  • ■期間:2021年度~2024年度(予定)
2.
開発された新規製造法の電解質膜面積を大きく(カートリッジ化)し、多層のカートリッジを組み合わせた実証試験でスケールアップデータを取り、実用化検証を行う。
  • ■体制:出光興産株式会社(幹事)
  • ■期間:2024年度~2028年度(予定)

【参考】NEDOグリーンイノベーション基金事業 特設サイト
  https://green-innovation.nedo.go.jp/

  NEDOニュースリリース
  2022年1月7日付 「グリーンイノベーション基金事業「燃料アンモニアのサプライチェーン構築」に着手   https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101502.html

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