2022年1月4日

その他

当社社長 木藤俊一 年頭の挨拶

当社代表取締役社長木藤俊一が、本日、当社グループ従業員に向けた年頭挨拶を下記の通りお知らせいたします。

新年おめでとうございます。皆さんには、健やかに新年を迎えられたことと、お慶び申し上げます。

はじめに、環境認識についてお話しします。
一点目は、新型コロナウィルス感染症収束後の世界各国の財政・金融政策です。昨年も新型コロナに我々の生活や事業活動が大きく制約を受けましたが、一方でワクチンの普及が進むにつれ、収束への希望が少しずつ見えてきた一年でもありました。治療薬の普及によって、今年は世界経済の回復が本格化し、コロナ禍で拡大した各国の財政・金融緩和策は今後段階的に縮小される見通しです。世界経済の需要回復局面におけるインフレ圧力の継続に対し、極端な財政・金融の引き締めがなされると、景気後退や資源価格の不安定化といった影響が生じる可能性に注意が必要です。
二点目はコロナ禍の中で際立ってきた自国主義の台頭、とりわけ米中の対立です。今後、米中両国の覇権争いが長期化するならば、直接、間接的に当社の海外事業展開やサプライチェーンが影響を受ける可能性が高まり、その動向を注視せねばなりません。
三点目は、カーボンニュートラルに向けた世界の動きです。昨年のCOP26においてもカーボンニュートラルに関して、先進国と途上国の捉え方、思惑が異なることが顕在化しました。世界は必ずしも一枚岩でこの問題に取り組んでいるわけではありません。脱炭素の流れが今後先鋭化していくのか、または一部で見られるように揺り戻しの動きが出てくるのか。先行きに不透明感がありますが、環境問題を人類の生存に関わる重要な課題と多くの人々が捉えており、不可逆的なメガトレンドであることは間違いありません。

このような環境の下、昨年は原油、石炭を始め資源価格が高騰しました。日本国内では燃料油価格の上昇に伴い、政府が激変緩和措置として補助金、原油の国家備蓄放出といった政策を打ち出しています。私たちが国民生活に直結するエネルギーの供給責任を担っていることを、改めて痛感する事態となりました。当社の2021年度決算は、現時点で昨年と比べ増収増益となる見通しです。ただし、これには資源価格高騰による外部要因が寄与していること、収益の大半は化石燃料由来のビジネスによるものである現実は直視しなければなりません。重要なのは、当社は燃料油などの基盤事業で供給責任を果たし、そこで得た収益をもとに、将来に向けて着実に事業構造を転換していくことです。
2022年は中期経営計画の最終年度を迎えると同時に、次の中期経営計画を策定する重要な年です。事業環境が激変する中で、その変化に対応し、将来へ飛躍するための道筋を次期中期経営計画の中で改めて示す必要があります。その時、まず見つめるべきは当社の使命です。これまでも、そして今後も、産業や暮らしに不可欠なエネルギーと素材の安定供給を続けることが、何を置いても果たすべき当社の使命です。今後、カーボンニュートラルに向けて社会の構造転換が加速するのは間違いありませんが、社会が必要とするエネルギーをすぐさま新しいエネルギーに置き換えることはできません。既存の事業を活かしつつ、将来へのトランジションを進めるという両輪が必要であり、そのための事業戦略が製油所・事業所の「CNXセンター」化やSSネットワークの「スマートよろずや化」に代表されるものです。既存の事業を、デジタルなどを活用して徹底的に効率化し、筋肉質なものにしていきます。同時に、財務基盤を強固にし、次世代の事業の柱を打ち立てていきます。当社が取り扱う化石燃料を中心としたエネルギーは、今後段階的に、再エネ、バイオ燃料、ブラックペレット、あるいは将来的にアンモニアや水素、E-fuelなども含めた、エネルギーのベストミックスに変わっていくでしょう。これらのアイテムを、時間軸を見誤らずに社会実装していくことが、人々の暮らしに必要なエネルギーと素材を安定供給するという使命を今後も果たし続けることにつながります。その際に人が活躍し、成長できるフィールドを創ることこそが、出光のあり方です。次期中期経営計画では、現在検討を進めている様々な取り組みを、当社の事業ポートフォリオ転換の具体的な方策としてより明確に示す予定です。
この事業ポートフォリオ転換には、既存の事業を進化させつつ新たな事業領域を探索するという、非常に困難で、時に判断に迷うような取り組みを進めていく力が求められます。判断に迷う場面で、私達は何を意識する必要があるでしょうか。それは当社のぶれない軸、我々のアイデンティティーです。当社が2050年を目指して事業構造を変革していく上で、「真に働く」と、それに続くステートメントを企業理念として成文化しました。また、2030年において当社が掲げるビジョンとして「責任ある変革者」を定めました。この理念やビジョンが、今後グループ従業員一人ひとりの指針となり、事業ポートフォリオ転換という難題に立ち向かう際の「共通の拠りどころ」になってくれるものと確信しています。
そして最も重要なことは、いかに従業員が成長できるか、言い換えれば、いかに組織としての創造性を発揮できる企業風土を創れるかということです。いくら将来のビジョンを描き、理念を定めたとしても、従業員がいきいきと働くことができなければ、企業として持続可能であるとは言えません。昨年から部室長・次長が主体となり組織風土の課題解決を議論するワークショップの取組みを新たに開始しました。またOpen、Flat、Agileな風土醸成という新たな挑戦を進めるためには、既存業務の断捨離も欠かせません。思い切ってやめてみる、やめて問題があれば戻ればいいという大胆さと柔軟性をもって、改善ではなく改革レベルの断捨離に皆さんと取組み、より良い企業風土を築いていきたいと思います。
今年の干支は壬寅(みずのえ・とら)です。これは、「新しく立ち上がること」や「生まれたものが成長すること」といった縁起のよさを表しています。当社の社名には「興産」、すなわち産業を興す、新しいものに挑戦していくという意志が込められています。事業環境が大きく変化している今こそ、この原点に立ち返り、企業理念のステートメントにあるように高い理想を掲げ、当社が将来に向けて飛躍するための起点となる一年にしていきましょう。

以上

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