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金賞 | 細川 孝之 |
"Cool" Japan is "Heat" Island.![]() |
銀賞 | 犬持 光男 |
オニバス 危うし![]() |
銅賞 | 宮本 典佳 |
哲学の木の憂鬱![]() |
枝廣淳子審査員賞 | 嶋田 大作 |
美しき侵入者![]() |
北山孝雄審査員賞 | 阪野 佑美 |
熱と温![]() |
木元教子審査員賞 | 川村 一徳 |
見つめるもの![]() |
高砂淳二審査員賞 | 栗原 陽子 |
津波と放射能汚染の田園![]() |
優秀賞 | 伊藤 隆 |
惨禍の後先![]() |
瀬川 全澄 |
星降る夜![]() |
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高山 亮太 |
本当に繋がっていたんだ・・・![]() |
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長 吉秀 |
幸せな木と不幸な木![]() |
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長屋 亮司 |
命のつながり~ヒトとオオタカとハト~![]() |
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原澤 宏 |
海のゴミ![]() |
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平田 晃一 |
守るべきものと無くすべきもの![]() |
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福山 由美子 |
語らい![]() |
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藤井 克己 |
鳥は鳥でも・・・![]() |
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門眞 綾 |
いつまでも、貝殻を拾える海を![]() |
一般部門 金賞 「"Cool" Japan is "Heat" Island.」 / 細川 孝之

先進的なビル群、色とりどりの光・・・東京の夜景はその美しさから世界的にも高い評価を受けている。水辺に立つスカイツリーと青色のLEDに彩られた川は、まさに「Cool Japan」の代名詞。一方赤く色づく猛暑の東京タワー。コンクリートに覆われた都心は、ヒートアイランド現象により「Hot」な街に変わってきている。日本の先進的な文化を世界に向けて発信する一方、その内実まで「Cool」であると言えるのだろうか。

なにより写真の美しさに、審査員一同、目を奪われました。特に「Heat Island」を表現した写真は、東京がまるで廃墟のように見えて衝撃的。さらに、その深く優れたテーマ性にも脱帽しました。「○」の写真で表現されているクールさの裏側に、「×」の写真のような現実があるとも考えられ、単純には語れない東京という都市の今の姿を見事に写し取っています。写真の技術と作品としてのコンセプト、どちらも高いレベルにあるといえるでしょう。「○」と「×」の写真は、それぞれ単独でも十分なクオリティを備えていますが、二枚一組で鑑賞したときに受けるインパクトが圧倒的。対比表現を競う本コンテストの金賞を飾るにふさわしい作品だと思います。
一般部門 銀賞 「オニバス 危うし」 / 犬持 光男

ここ亀岡の池で京都府唯一自生しているオニバスが、ほぼ毎年池面を覆います。ところが近年池の外周域で生育が少なくなってきました。原因は特定外来生物のヌートリアの食害によるもので、岸近くで小さな花を見る事ができなくなっています。近年の環境変化は外来生物、特に、特定外来生物による日本固有種の衰退があります。日本の美しい風景を守るためにも、人間の欲望を抑えないと、いつかしっぺ返しがくるのではないでしょうか。

「×」の写真のヌートリアは、毛皮用に日本へと持ち込まれたものが、需要の落ち込みにより野外に放たれて野生化したもの。自ら好んで来たわけではない彼らもやはり被害者。結局は人が引き起こしたことなのです。各地で起こっているこうした特定外来生物の問題に対し、私たちはどう責任をとるべきなのか。「○」の写真の美しい光景を見ていると、少なくともこれ以上の被害はくいとめなければという思いでいっぱいになります。
一般部門 銅賞 「哲学の木の憂鬱」 / 宮本 典佳

美瑛町の「哲学の木」は、四季折々昼夜を問わずポスターやカレンダーなどあまたの作品のモデルになってきた有名な木です。しかし昨今、傍若無人な観光客が、立入禁止を無視し木の側まで行くようになりました。怒った地主さんは木の幹にペンキで×印を書いてしまいました。ここで×なのは、この地主さんの行為ではありません。大切な生産の場である畑ということを忘れて侵入していく観光客の方なのです。

「哲学の木」を撮影すべく、畑へとずかずか入ってしまう観光客のマナーの悪さが引き起こしたこの問題。ニュースに取り上げられたことから、ご存じの方も多いかもしれません。赤い×印を見ていると何とも複雑な思いに駆られてしまう方も多いはず。北海道の大地に悠々と佇む大木は、人々のこうしたトラブルを見て何を想うのか。黙して語らない哲学の木が、これ以上のトラブルに巻き込まれないことを祈るばかりです。
一般部門 枝廣淳子審査員賞 「美しき侵入者」 / 嶋田 大作

在来種のツリガネニンジンと外来種のコスモス。いずれも秋に咲く花だが、今ではすっかりコスモスを目にする機会のほうが多い。外来植物の中には、美しい花を咲かせ、人々の目を楽しませているものもある。花壇等の人間のコントロール下では問題ないが、無闇に自然界にばらまくと、生態系に良からぬ影響を与えることが懸念されている。一見どちらも美しい在来種と外来種を対比することで、外来種問題の根深さと複雑さを表現した。

みんなが大好きな、秋の代名詞でもある可憐なコスモスが、実は外来種だと知っている人はあまりいないのではないでしょうか。それほどまでに、外来種は私たちの暮らしに入り込んでいることを実感しました。ブラックバスやヌーリアなどの「いかにも外来種」というものだけでなく、身近なコスモスの花からも、生態系や外来種の影響、私たちの暮らしとの関わりについて思いを馳せられたらと思いました。
一般部門 北山孝雄審査員賞 「熱と温」 / 阪野 佑美

今年も全国で暑夏となり、突然の豪雨にも見舞われました。この異常気象により悲鳴を上げているのは人間だけではありません。強い日差しや高温で、野菜が焼け腐ってしまいます。夏の野菜、南瓜は暑さに弱いため、私の町でも悲惨な姿になっているものを多く目にしました。野菜が肉や魚より高く売られる事があるのは、これが原因と言えるでしょう。ある日祖母が、小さいけれど南瓜を収穫したと喜んでいました。とても綺麗な南瓜でした。

スーパーでは、先端技術を使い大量生産された野菜が同じ形、同じ色をしてきれいに陳列されているのを目にします。しかし本来の野菜とは、自然の力によって育てられ、時には自然の力によって命を奪われるものです。そういった自然との関係性があるからこそ、命の大切さや食への喜びを感じ、それらをもたらす自然に感謝することができるのではないでしょうか。おばあちゃんの手作りの小さな南瓜から、自然の尊さを感じました。
一般部門 木元教子審査員賞 「見つめるもの」 / 川村 一徳

小さい子どもは好奇心が旺盛で、目にするいろいろなものに興味を示します。あるときは紫陽花を見つめて目だけではなく匂いや触れた様子など、五感を使って味わっています。しかし、別のときは部屋に閉じこもって画面を食い入るように見つめています。動きや音に迫力があり夢中になっています。自然にあるものは天候や場所に左右されていつでも気軽に見ることはできませんが、実物から生きている自然を味わって欲しいものです。

「何を見つめているの?」と、思わず声を掛けたくなります。子どもの目の先には、紫陽花。そして紫陽花も、子どもを見つめています。きっと、話し合っているのでしょう。この年齢の子どもですが、何にでも興味を持ち、自分自身で、いろいろなことを吸収していきます。同じ子どもは、今度は部屋の中で、タブレットPCの画面でしょうか、四つん這いでジーッと見つめていて「目が悪くなりますよ」と声を掛たくなります。興味津々なのですね。
一般部門 高砂淳二審査員賞 「津波と放射能汚染の田園」 / 栗原 陽子

日本は米を主食とする国です。田植え等農繁期には、家族総出で汗を流し、豊かな田園風景は次世代に引き継れます(○)。2011年の大津波と放射線を浴びた福島県小高区のこのたんぼは、2年を経た今でもヒビ割れ、ガレキが残されたまま。あまりにも無惨で人の姿はありません(×)。便利過ぎて豊か過ぎる現代社会。安全でおいしい米作りのできる、生きいきと働く人や生物の姿が見られる田園を、何としても守り続けたいものです。

青々とした苗や、それを手作業で植えていく人々からは、生命の力や生活することの素晴らしさなどが伝わってきます。一方、ひび割れてガレキの残ったままの田んぼからは、希望も力も、何も感じられません。今日本が直面している最大の問題の一つである放射線問題。「この問題は忘れては決していけないのだ。地球人として諦めてはいけないのだ。」こんな風に強く迫る作者の気持ちが、痛いほどよく伝わってきました。
一般部門 優秀賞 「惨禍の後先」 / 伊藤 隆

信州諏訪の霧ヶ峰高原。草原の森林化を防ぐために行われた火入れ(野焼き)が延焼し、県下戦後最大規模の山火事になりました。自然を甘く見た人間が犯した過ちであり、非常に残念で悲しいできごとでした。普段、美しい草花の中で凜々しく見える高原の夏鳥ノビタキも、惨禍の下ではとても痛々しく写ります。来春、鳥たちがまたこの地に戻ってきてくれるのか心配です。
一般部門 優秀賞 「星降る夜」 / 瀬川 全澄

街の喧騒から逃れるために足を運んだ島では、南の夜空を雄大に流れる天の川が私を迎えてくれた。じっと空を見つめていると、自分が宇宙と同化していくような錯覚に陥ってくる。これに対して、自宅から眺めた都市の中心方向の夜空では、一等星を見つけるのでさえ困難をともなう。その理由は、不必要に過剰な照明(光害)によって、空が照らされているからに他ならない。あなたはどちらの夜空が好きですか?
一般部門 優秀賞 「本当に繋がっていたんだ・・・」 / 高山 亮太

水平線上に見える島は、北海道は羽幌町の天売島と焼尻島。ここから素晴らしい夕景を眺めることが出来た日は、一日の終わりを幸福に思える。ただ一つ心配なことがある。ここから程ない場所にある浜辺の漂流物の多さである。よく見ると、その多くが外国語の表記がしてあり、特にハングルが刻まれた廃棄物の多さに私は驚いてしまった。確かに世界は海で繋がっている。のどかな田舎の浜辺で世界規模の環境問題を目の当たりにした。
一般部門 優秀賞 「幸せな木と不幸な木」 / 長 吉秀

熊本県小国町には、鍋が滝があり、夏には多くの人々が訪れます。○の写真は、滝壺への道を作るのに、今まで立っていた杉の木を守る試みがされています。×は展望台への道ですが、杉の根がむき出しに出て、根が切られています。これからの自然環境に耐えられるか心配です。
一般部門 優秀賞 「命のつながり~ヒトとオオタカとハト~」 / 長屋 亮司

私たちの学校では、ハトの糞害で困っていました。ネットをはったり、駆除したり、何とか、ハトがいなくなるようにしていました。ある日突然オオタカが現れ、1羽のハトを食べました。その後、しばらくは学校にハトがこなくなりました。命はつながっています。私たちが手を加えずに、豊かな自然を残すことで、バランスが保たれていることを知った写真です。
一般部門 優秀賞 「海のゴミ」 / 原澤 宏

○はハゼの捕食シーンである。自然界で生きる生き物にとってはごく普通の出来事である。それに対して×は、人工物のビニルを飲み込もうとしている。カサゴに限らず、生き物の中にはエサとゴミの区別ができず飲み込んでしまう事がある。その結果、本来のエサを食べられなくなり、やがては死に至る場合がある。海洋ゴミの問題は誤飲だけでなく、生育障害、景観の悪化、漁業資源への影響などあり、その解決に向けて課題は多い。
一般部門 優秀賞 「守るべきものと無くすべきもの」 / 平田 晃一

初めて×の光景を見た時、思わず笑ってしまいました。しかしすぐ、なんと悲しい光景かと考えさせられました。「自分さえ良ければ・・・。」、そんな声が聞こえる様な光景でした。○の光景は本州一と言われる美星町の星空です。全国に先駆けて光害防止条例を作り、町ぐるみでこの星空を守る取り組みをしています。東京オリンピックが決まり世界の目が向き始めた今、外国から笑われないような取り組みが求められていると思います。
一般部門 優秀賞 「語らい」 / 福山 由美子

動物にも見える二つの岩が海の上で出合い何か話しているようで面白く感じシャッターを切りました。一ヶ月後に出会った岩の片方はいろいろなゴミを背負っていたのでびっくり。海の掃除をして来たの?それともゴミにつかまってしまったの?二人はどんな話しをしているのでしょうか。
一般部門 優秀賞 「鳥は鳥でも・・・」 / 藤井 克己

50年前に絶滅したコウノトリも、関係者の野生復帰できる環境づくりの努力が実り、巣作りに励む姿も珍しくなくなりました。環境改善が、人々との共生を実現させた成功事例です。一方、カワウは狩猟鳥獣に指定され、嫌われ者になっています。糞による樹木の枯死や魚を多量に食べる為、漁業に携わる人達への被害も増大しています。カワウも生きる権利はあるのですが、共存共栄が出来ないものかと心が痛みます。