アイコンをクリックすると作品をご覧いただけます。
金賞 | 平田 晃一 |
残したい水辺の光景![]() |
銀賞 | 西川 正一 |
松のつぶやき![]() |
銅賞 | 笹岡 利行 |
緑の中の孤と群![]() |
枝廣淳子審査員賞 | 笠原 昭男 |
悠久の大地・傷ついた大地![]() |
北山孝雄審査員賞 | 岩下 一男 |
放射能汚染![]() |
木元教子審査員賞 | 金森 照芳 |
木は泣いている![]() |
高砂淳二審査員賞 | 磯貝 昌比古 |
日常生活の考え方の違い![]() |
優秀賞 | 河内 聡 |
美しき花の裏![]() |
北川 孝 |
農地は守られるのか![]() |
|
北村 賢治 |
鴨、泳げないかも![]() |
|
髙良 慶治 |
受難![]() |
|
佐野 俊次 |
小さな貝が大きな恐怖![]() |
|
進藤 直樹 |
鹿が悪いのだろうか?![]() |
|
林 信介 |
「自然」の中の「不自然」![]() |
|
平野 眞佐男 |
一石二鳥![]() |
|
福田 恵子 |
TPPという自由化の波が・・・![]() |
|
南 弘一郎 |
ふたつのヒカリ、ひとつのメッセージ![]() |
一般部門 金賞 「残したい水辺の光景」 / 平田 晃一

日本の夏の水辺を彩る蛍。保護活動も盛んに行われ、その光に癒されている人も多いことだろう。しかし、今、水辺には異様な光景が広がっている。それは急速に生息範囲を広げているジャンボタニシの卵だ。安易に持ち込まれた外来種が異常繁殖し、在来種を脅かすという図式を何度見てきただろう…。日本古来より育まれてきた儚い光を守るために何ができるのか。この毒々しい光景が、警鐘を鳴らしているように思えてならない。

昨年度の環境フォト・コンテストにて銀賞に輝いた作品。そのテーマが、ジャンボタニシによる外来種問題でした。今後も本コンテストを通して、外来種問題に対する警鐘を鳴らし続けたいと考えていた審査員一同にとって、本作品はまさにその時の想いやショックを思い起こさせるのに十分なインパクトがありました。テーマは同様ながら、写真的なクオリティの高さでは今年度の応募作品の中でも群を抜いたできであったことも、今回の金賞授与にいたったポイントです。蛍光色の対比による「○」と「×」の写真は、審査員のひとりである自然写真家の高砂淳二さんも高く評価。写真コンテストの金賞にふさわしく、構図も素晴らしいと絶賛でした。
一般部門 銀賞 「松のつぶやき」 / 西川 正一

ぼくは金沢市の兼六園にいる松の樹です。戦時中に飛行機の燃料を作るという事でぼくのおなかを削られました。松ヤニをしぼりとられました。痛かつたけれどもお國のためと思い我慢しました。けれども戦後の人達はやさしく若い樹達を病気から守るため栄養剤など注入して何十年何百年と生きられるように世話してくれます。罪深い戦争はもうこりごりです。

戦時中、松ヤニが飛行機の燃料に使われたという歴史的事実は聞いたことがあるものの、その当事者である松の姿を見たのは審査員一同初めての経験となりました。環境破壊という点でも、やはり戦争は罪深いということを実感させる作品です。松のつぶやきという擬人化スタイルによるコメントも秀逸。戦争という重いテーマをあえて物言わぬ松の木に語らせることで、見る者にその罪深さがより一層伝わるのではないでしょうか。
一般部門 銅賞 「緑の中の孤と群」 / 笹岡 利行

地方は過疎高齢化が進み、田畑や森林は荒れ放題になっています。人々は便利さを求めて都会に出ていき、この地域も今ではわずか6世帯になってしまい、平均年齢は70才を超えました。しかし、茶堂を利用して道ゆく人々を手作りの饅頭や山菜でもてなす「お接待」は、20年以上続き、今年も140人以上の人でにぎわいました。同じ集落でありながらくずれていく家屋とたくさんの人の笑顔であふれる茶堂。考えさせられる風景です。

毎年、お盆になると村人が交代で「○」の写真のような建物に詰め、通りがかった人に無料でお茶や食べ物を接待する風習は、全国にありました。しかし、里山に住む人が少なくなり、こうした風習も廃れてしまった地域が数多くあるそうです。「×」の写真のような過疎地域を今後どうしていくのかは、森や山、田畑を守る人手の減少という観点からも、広い意味での環境問題。作者の社会的な視点が素晴らしい「○」と「×」だと思います。
一般部門 枝廣淳子審査員賞 「悠久の大地・傷ついた大地」 / 笠原 昭男

宮城県東松島の風景。丘から見える夕陽。松島湾が箱庭のように見える。今までもずっと、この美しい風景、大自然の素晴しさを人々は眺めて感動してきたのだと思う。翌朝、浜から日の出を待った。石巻方面からうっすらと空が赤くなりはじめた。何事もなかったような美しい海と空。しかし、足元を見ると一人の地元の老人が流れつくガレキを片づけていた。この海の底には、まだまだ数多くのガレキがたまっているのだ。海水浴もできません。

多くの被害を出した東日本大震災の傷跡は、見たところ前の状態に戻ったかのように見えても、今なお残っていることを忘れてはならないと伝えてくれる写真です。がれきは東北の海に沈んでいるだけではありません。米国東海岸には4トンもの漂流がれきが漂着すると言われています。シンプルな解はないけれど、地震や津波の多い私たちの国と自然とのつきあい方を考えさせられる作品です。
一般部門 北山孝雄審査員賞 「放射能汚染」 / 岩下 一男

福島県伊達市五十沢地区は、干柿用のアンポ柿の産地である。ところが、東日本大震災に起因する原発の爆発によって放射能に汚染され、昨秋は収穫されず、全柿が無残にも廃棄処分された。農家は悲しんだ(×)。一方、伊達崎地区は桃の産地である。昨年は収穫を断念したが、昨年来、農家の努力により除染をした結果、今年7月から収穫できた。農家は大いに喜んだ(○)。柿畑も早期に回復するよう祈るばかりである。

地面に落とされた大量のアンポ柿の情景からは福島原発事故の悲惨さを改めて痛感します。その一方で、諦めず工夫を凝らして桃を収穫した農家の努力の様子からは強さと希望を感じました。大変厳しい状況にありながらも前を向いて進んでく人々の姿を捉えたこの作品は、多くの人を勇気づけてくれると思います。
一般部門 木元教子審査員賞 「木は泣いている」 / 金森 照芳

○印の写真は、自生のカタクリの群落です。地主のご好意、市の遊歩道整備、訪問者の良きマナーで守られ、毎年、可憐な花を楽しむことができます。一方、×印の写真は、木が大きく成長する前に張られた有刺鉄線です。いつの間にか大きくなって有刺鉄線にふれるようになったのでしょう。もの言わぬ植物だからこそ、その時々に合せたケアをしてあげたいものです。

毎年、薄紫の花を可憐に咲かせるカタクリの群生。整備された遊歩道、花を愛でる人達の優しさがそこにあります。まさに○。それに比べての×。思わず「あぁ痛い!」と、私まで叫びたくなる、無残な木の姿です。でもこの木は「大丈夫です。ボクが育ったところに有刺鉄線があったのです。もっと成長したら、ボクが有志鉄線を飲み込みます」とでも言いそう。けれど木の傍を通る度に、何もできなくてゴメンネ、と言いたくなります。
一般部門 高砂淳二審査員賞 「日常生活の考え方の違い」 / 磯貝 昌比古

日常生活で、節電・ゴミの分別・リサイクルなど、言われればやるが、本当に環境の事を考えてやっているのだろうか? まずは、自分自身で考えて足元を良く見て行動していきたいです。

“できれば良いことをしたい”という気持ちと、“面倒くさいし、まあいいか”、という面、そんな二つを併せ持つのが人間です。同じアングルからピントの位置をずらすことで、その二つをうまく対比させ、見ている人の共感や罪悪感などを引き出すことに成功しています。作者は厳しい目でこの光景を見ていますが、見る人によっては、自分の中にこんな面を感じる方も多いのでは。いろいろと考えさせてくれる、独自性の高い作品です。
一般部門 優秀賞 「美しき花の裏」 / 河内 聡

暗くていつも見逃していました。きれいな花が咲いたなあと思っていたら・・・・裏側に自転車の墓場が!!
一般部門 優秀賞 「農地は守られるのか」 / 北川 孝

日本の農業は、今農業者の高齢化・後継者不足・農産物の自由化などにより、耕作放棄地が年々増える等、その情勢は大きく変貌しつつある。○写真は、劣悪な地形で生産性も低い山間部棚田の田植えを家族総出で行っている。農地への愛着と農業を守る気持が感じられエールを送りたい。×写真は、経済発展には必要不可欠な高速道路がため池のど真ん中を縦断している。このままでは農業は衰退していかざるを得ないのか。悲しくなる。
一般部門 優秀賞 「鴨、泳げないかも」 / 北村 賢治

今年、堅田内湖に異変が起きている。昭和30年代に除草剤の影響で水草が消滅して以来、水質は極端に悪化した。そんな中でも水草が一部で見られるようになっていた。ところが今年の6月頃から水草の菱が生えはじめて、2ヶ月余りで狭い水路は埋めつくされ、さらに、沖へと広がり続けている。これは富栄養化のためなのか、繁茂の速さに驚かされる。鴨が渡ってきたら、びっくりするだろう。
一般部門 優秀賞 「受難」 / 髙良 慶治

水草の上に戯ぶ鷺。ここはコロニー。鷺達の楽園だ。多くのカメラマンが訪れる撮影スポット。しかし数年前、ここを取り巻く沼へ何者かがブラックバスを放流。ルアースポットともなった。その結果切れた糸の不始末で、足や羽に糸を絡ませ身動きできず絶命した鷺を数羽見て来た。趣味のため場所も考えず安易に外来魚を放流する事は極力慎しみ釣マナーの向上を願うのは私達人間ばかりではない。鳥だって魚だって願っています。
一般部門 優秀賞 「小さな貝が大きな恐怖」 / 佐野 俊次

沖縄のサンゴは地球温暖化が原因なのか海水温の上昇で大きなダメージを受けました。また、高水温が原因なのかサンゴを喰い荒すオニヒトデが大量発生し大きな被害を受けたことは記憶に新しいところです。そして今、問題となっているのが、3cm程の小さな「シロレイシガイダマシ」という貝です。サンゴのポリプを好んで食べます。沖縄のサンゴは、これら天敵を相手に耐えられるのかが心配です。
一般部門 優秀賞 「鹿が悪いのだろうか?」 / 進藤 直樹

凍った湖上で鹿の家族を見つけた。オス鹿はケガをしているのか、ゆっくりしか歩けない。その姿を家族が心配そうに見守っている。鹿も生きることに必死だ。一方、鹿に食べられた木々が立ち並ぶ。農林被害は甚大だ。しかし、鹿が増えた原因を調べると、天敵であるオオカミの絶滅と温暖化らしく、我々が原因のようだ。鹿を害獣と呼ぶのは自分勝手な気がする。鹿の問題は専門家と共に皆で考え、行動する必要がありそうだ。
一般部門 優秀賞 「「自然」の中の「不自然」」 / 林 信介

私たちの街の中には江津湖という大きな天然の湖がある。アカツクシガモやシジュウカラガン等、貴重な野鳥や動植物たちのサンクチュアリとなっており都市の中の貴重な自然環境として多くの市民に親しまれている。×の写真は一見のどかな光景に見えて写真を撮ったのだが、よく目を凝らしてみると岩の上で甲羅干しをしているカメはなんとすべて外来種のアカミミガメだ!本来居てはならないものがこんなにも居る不自然さに唖然とした!
一般部門 優秀賞 「一石二鳥」 / 平野 眞佐男

水田のあぜ道、除草剤をまいて手間を省く農家芝桜を植えて雑草が生えてくるのを防ぐ農家あなたはどちらのお米を買いたいですか?私はもちろん芝桜の植えている農家さんのお米を買います。コメの収穫量・手間の減少だけを考える農家より、手間は掛かっても安心できるお米を作る農家さんを応援したいです。花を植えることで、雑草を減らせる一石二鳥で綺麗だし安心してご飯を食べれます。
一般部門 優秀賞 「TPPという自由化の波が・・・」 / 福田 恵子

少ない耕作地を大切に守りながら、少し前まではどんなに「小さな田んぼ」でも米づくりが行われていました。現在は、機械化の進んだ田んぼに化学肥料と農薬を入れ経済効率の良い所だけが生き残っています。しかし、田んぼの存続意義は広く、(1)生物多様性、(2)地域景観、(3)環境保全など多岐に渡り、水田は「文化と環境を守る」礎という、日本の文化に共感します。