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金賞 | 日比野 愛 |
失われる緑![]() |
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銀賞 | 林 美琴 |
同じ命![]() |
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銅賞 | 田坂 理州造 |
Co2![]() |
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枝廣淳子審査員賞 | 山﨑 眞祐 |
身近なエコ![]() |
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織作峰子審査員賞 | 上木 良恵 |
鳴く蝉と泣く蝉![]() |
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北山孝雄審査員賞 | 村松 優紀 |
町はずれの喜びと悲しみ![]() |
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木元教子審査員賞 | 石川 烈 |
減少と増加![]() |
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神吉猛審査員賞 | 綱島 安望 |
ゴルフ場と田んぼ![]() |
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新美春之審査員賞 | 笹森 映里 |
星がたくさん見える空と明るい空![]() |
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株式会社タカラトミー賞 | 山口 貴大 |
来訪者![]() |
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昭和シェル石油株式会社 特別賞 | 尾形 勇祐 |
海の危機 ![]() |
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優秀賞 |
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佳作 |
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ジュニア部門 金賞 「失われる緑」 / 日比野 愛

○の写真。普通の緑色の山です。でも×の写真を見るとなんか、きれいだなぁという気持ちになります。今、木を切りたおして住宅にしたり、なにかを木から作ったりするため、山から緑が消えています。この○の山が×の山にならないような、そんな日本にしたいです。そのために、私たち1人1人が心がけることも、大切です。

この作品の感想を一言でいうなら、まさにショックという言葉が最もふさわしいのではないでしょうか。「×」の写真を通して人間の破壊力、しかも地形を変えるほど強大な破壊力をまざまざと思い知らされ、大変驚くと同時に戦慄さえ覚えました。「○」の写真がとても緑豊かで穏やかな田園風景であることも、本作品の痛々しい印象をより増大させています。地球温暖化の進行などを考えれば、CO2を吸収してくれる山を無神経に切り崩してしまうことは、私たち人類の未来に重大な影響を与える行為です。こうした環境破壊を安易にさせない自然保護の運動が地域住民の間にもっと広がればという思いもあり、本作品を金賞に選ばせてもらいました。
ジュニア部門 銀賞 「同じ命」 / 林 美琴

サンショウウオは国の天然記念物に指定されていて大事にされています。綺麗な川にしか住むことができません。だから綺麗な川を大切にしないといけないし、更に増やしていかないといけないと思います。サンショウウオのように大切にされているものがいる一方、フナみたいに普通に見られるものは人間の都合で池の水をぬかれて殺されてしまいます。こんなことをしてもいいのでしょうか?同じ命をもつものだから、簡単に殺さないでほしいです。

可愛らしいサンショウウオの写真と、悲惨なフナの写真の対比。人の都合により、大切にされるものと大切にされないものがあるという視点の鋭さに脱帽しました。人の身勝手さを糾弾する社会派の作品という印象で、作者にはジャーナリストとしての資質が感じられます。「同じ命」と表現したタイトルも的確ですね。短くシンプルな言葉の中にとても深い真理が感じられ、見る者の心に響くとても良いタイトルだと思いました。
ジュニア部門 銅賞 「Co2」 / 田坂理州造

僕は、学校の行き帰りに、車の排気ガスが気になっています。なぜならば、排気ガスの中には、地球温暖化の原因になるCO2が含まれるからです。そのために、×の写真には、車の写真を撮りました。○の写真には、CO2をあまり排出しない電車を撮りました。みんなが少しでも環境に気をつけて、電車に乗ることを期待します。

トラック輸送に代わり、より環境負荷の少ない鉄道や船舶を活用するモーダルシフトに関連した作品です。問題提起だけでなく、「○」の写真で解決策を示すという前向きな発想が評価の対象になりました。さらに、写真としても純粋に素晴らしい作品ですね。普通ならもっと空を入れて撮影してしまうところを、対象にぐっと一歩近づいた構図はお見事。中学生とは思えないほどクオリティの高い写真だと思いました。
ジュニア部門 枝廣淳子審査員賞 「身近なエコ」 / 山﨑 眞祐

○の写真は道路に打ち水をした時のものです。一般的に打ち水をすれば気温が2度下がると言われています。それによってクーラーを2度上げることができ、地球温暖化を少しでも遅らせることができます。逆に×の方は打ち水をせず、クーラーを26度とした場合のものです。どちらとも気温なので、地球のために少し考えてほしいです。

これまでの環境フォト・コンテストの作品の多くは、「人が汚してしまった汚い場所」と「手つかずのきれいな自然」という対比が多かったのですが、この作品は、「今の状況」と「こうありたい姿」を対比させる、これまでにない作品です。「こうありたい姿」(=ビジョン)を描くことは、そこへ到達するためにもとても大事です。それを写真という形で出してくれたこの作品は、この後の作品にも大きな影響を与えてくれることでしょう。
ジュニア部門 織作峰子審査員賞 「鳴く蝉と泣く蝉」 / 上木 良恵

今、環境問題としてあげられている森林伐採の影響で、植物や生き物の生きる場所が少なくなってきていると聞いています。セミが太陽の光が届かない電柱の部分にとまり、大声で鳴いている様子を見て、とても悲しく感じました。セミだけでなく、様々な生き物のために木々や緑を残していくことが大切だと思います。

まず、なによりタイトルにしびれました。同じように“ないている”ようでも、無機質なものにとまっている「×」の写真の蝉は、やはり泣いているのでしょうね。それから、絵づくりのおもしろさも秀逸です。「○」と「×」の写真ともに角度を微妙に揃えた構図で、自然の木と人工物の電柱をより対照的に見せる効果を上げています。写真家としての私から見ても、「すごくセンスの良い子だなぁ」と本当に感心しました。
ジュニア部門 北山孝雄審査員賞 「町はずれの喜びと悲しみ」 / 村松 優紀

この2枚の写真は、私の家の近くで撮ったものです。私の家の近くには工場があるため、×の写真のような色の水が川に流れています。しかも、この色は約500m先まで行っても残っていました。また、それとは逆に大通りから外れているので、○の写真のような緑をたくさん見ることができます。○ の写真のような緑がなくならないで欲しいと思います。

日常の身近なところから、環境破壊は進行しているのだということをよく捉えている作品です。些細なことを見逃さずに、自然を保っていけば、心地よい暮らしができるのではないかと思います。身近なところから考え直していきたいものです。
ジュニア部門 木元教子審査員賞 「減少と増加」 / 石川 烈

ぼくのまちを横断するいたち川は、横浜で数少ないきれいな川だ。この夏、自由研究で水生生物を調べた時、さまざまな自然と出会った。最近では少なくなってきたハグロトンボが、いたち川にはたくさん飛んでいる。オスは写真のようにきれいな青緑色の胴体だが、メスは黒っぽい色をしている。河原の緑の中に、アレチウリが生い茂っていた。他の植物に絡まりつき枯らしてしまう恐ろしい外来種だ。ぼくの身近にも外来種が迫ってきていた。

数少ないきれいな川に、数が少なくなってきたオハグロトンボが一匹。清流の存在を証明しています。美しい環境が、トンボをやさしく迎え、人間の心を和ませる。この環境を守りたいという思いが伝わる作品です。一方、河原の緑の中に外来種の「荒地瓜」が繁茂しています。どこの国から来たのか。実は、南アメリカ産の「荒地野菊」はすでに各地に繁殖し、今や帰化雑草となりました。弱い在来種をどう守るか。大きな課題です。
ジュニア部門 神吉猛審査員賞 「ゴルフ場と田んぼ」 / 綱島 安望

一見すると、どちらも緑豊かな自然に見えるが、利用の目的やその影響を考えると大きく異なる。ゴルフ場は多くの森林を伐採し、自然を破壊している。また、芝生を作るためにたくさんの農薬を使っている。さらに、一部の人がレジャーのためだけに利用している。それに比べ、水田は、食物を生産するために欠かせないもので、無農薬の農業も盛んになってきている。そして、すべての人が農業の恩恵を受けているのである。

美しい緑。○、×どちらも気持ち良い写真になっています。その中で、緑がどれだけ多くの人の役に立っているかを考えた素晴らしい観察力です。最近のゴルフ場も、環境に優しさが求められて、農薬の使用量は大変少なくなっているようです。でも、限られた土地がどれだけ有効に使われているかも考えなければなりません。一方、稲を作るには大変な労力と農業への愛情も必要です。大切な食べ物を粗末にしない暮らしと、地球に優しい環境を大切にしたいですね。
ジュニア部門 新美春之審査員賞 「星がたくさん見える空と明るい空」 / 笹森 映里

夜の照明は安全を確保するために必要ですが、光害になるような明るすぎる照明がたくさんあると思います。明るすぎる照明は夜の空を明るく照らしてしまったり、エネルギーの無駄や生き物への悪影響にもなります。綺麗な星空の方が眩しい照明の方より人間にも良いはずです。光の漏れを防止するカサを街灯に取りつけたり、エネルギーの消費量が少ない街灯にするべきです。電線も街の景観を悪くしていると思いました。

美しい星空が印象的な「○」の写真に対して、照明と電線によりせっかくの神秘的な輝きが台無しになってしまう「×」の写真。一目見て、とても残念なことだと思いました。特に電線は、生活環境における景観の大切さを無視した日本各地で顕著に見られる問題。こうしたものは、景観のみならず災害対策としても地下に設置することが望ましく、本作品の問題提起を重く受け止め、一人ひとりが声を挙げていく必要性を強く感じました。
ジュニア部門 株式会社タカラトミー賞 「来訪者」 / 山口 貴大

天竜川は諏訪湖を源とする長さ213km、流域面積5,090km2の川。清らかな水の中に魚たちが泳いでいます。釣り人がひとり、ふたり、さんにん…。一見きれいな景色でも、よく見ればゴミが流れついています。これは一体、何だったのでしょう。見れば見るほど不思議な物体。しかし、ゴミはゴミです。利用した後は、きれいにして帰ってほしいですね。「来たときよりも、美しく。」

「○」は、自然の中で佇む釣り人の姿がなんとも美しい。空や川といった自然の景色が写真の大部分を占めるこの写真は自然の中での人間の小ささを感じさせます。一方「×」は、そんな小さな人間達によって汚されていく自然。私達の出すゴミは、知らず知らずに撮影者の言う得体のしれない『不思議なもの』や現象と化して地球上に戻っています。「来た時よりも美しく」という子供達の姿勢がまた未来へ向けて一歩ずつ環境を創り出してくれると信じています。
ジュニア部門 昭和シェル石油株式会社賞 「海の危機」 / 尾形 勇祐

僕は海が好きです。しかし最近は温暖化の影響でサンゴの白骨化が進んでいて、せっかく今まで守り継がれてきたものがすごい勢いで死んでいるという現実を写したいと思い写してみました。そして○の写真の海もいつ×の写真になるか分からない現実を、ショックに思いました。

現在、世界的な規模でその進行が心配されている環境問題の一つ、地球温暖化に対する警告をモチーフとした作品です。サンゴの繁殖の様子と滅びゆく様を対比させた「○」と「×」の写真はとてもインパクトがあり、地球温暖化というタイムリーなテーマを扱った作品の中でも、そのメッセージ性は抜きんでていました。サンゴの白骨化というショッキングなビジュアルに、審査員一同、強く心を動かされました。