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金賞 | 安倍 晴日 |
在来種と外来種![]() |
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銀賞 | 香川 曜佑 |
空を見上げれば![]() |
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銅賞 | 浦田 璃奈 |
森の生きもの 道を行くもの![]() |
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枝廣淳子審査員賞 | 山本 りりこ |
窓をあけたら![]() |
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織作峰子審査員賞 | 寺岡 沙織 |
私のまわりのゴミ![]() |
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北山孝雄審査員賞 | 宮本 さゆり |
どちらの道を歩きたい?![]() |
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木元教子審査員賞 | 岡本 恵輔 |
2つの隧道![]() |
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竹内敏信審査員賞 | 川邉 寧々 |
日本一の山富士山が・・・![]() |
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新美春之審査員賞 | 高橋 成美 |
大切な物![]() |
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株式会社タカラトミー賞 | 難波 慶 |
リサイクル![]() |
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昭和シェル石油株式会社 特別賞 | 濵田 亜珠沙 |
ドブ川と清流![]() |
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佳作 |
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ジュニア部門 金賞 「在来種と外来種」 / 安倍 晴日

場所:札幌市羊ヶ丘 / 日時:2006年8月14日

場所:札幌市羊ヶ丘 / 日時:2006年8月14日

私がよく遊びに行く札幌市の羊ヶ丘の森、そこにも人の手によって海外から運び込まれた多くの外来種が繁殖し、在来種の生存を脅かし自然の生態系を崩している。日本に定着している外来種は、脊椎動物が108種、昆虫類が246種、維管束植物は1,553種と言われている。外来種の問題は私たち人間の責任だ。私たち皆が、多様な在来種が住むバランスのとれた自然環境を守るという意識を高めるようにしたい。

在来種と外来種の問題を、それぞれの植物をパーツとして人の顔に見立てた作品です。前回コンテストでは、同様の手法で海辺のゴミ問題を取り上げた彼ですが、今回の作品では表現の質が格段に深まりました。環境問題をドキュメントタッチで表現する作品が多い中にあって、自らのクリエイティブな発想を活かしたエンターテイメント性は出色の出来映え。表現者としてのこれからに高い将来性が感じられます。テーマ性においても、生態系という今までの応募作品には見られなかった主題に挑戦。環境問題に対する幅の広い関心と高い意識が伺えるとともに、今後の本コンテストにおけるテーマ選びの幅を広げるという意味でも有意義な作品だと思います。
ジュニア部門 銀賞 「空を見上げれば」 / 香川 曜佑

場所:高松市商店街 / 日時:2006年7月29日

場所:高松市商店街 / 日時:2006年7月29日

高松市商店街をぶらぶら散歩していると、ふと気付くことがありました。それは雲一つない青い空でした。しかしその青が大きく違うことにも気付きました。一つは、電線により切り取られた青です。都市の高度成長に必死で追いつこうとし、張り巡らされた電線は、空間を立ち往生しています。もう一つは都市の成長が落ち着き、景観を意識したすっきりとした青です。これからの高松市商店街に必要な景観だと思いました。

電線を地下化するには、いろいろとクリアしなければならない問題があるようです。しかし、街のこうした景観は誰が見ても見苦しいもの。子どもたちも素直に汚いと感じているならば、やはり改善していく努力をするのが私たち大人の役割ではないでしょうか。オランダをはじめ、ヨーロッパでは地下に電線が埋め込まれているケースが多く、日本としても本腰を入れて考える必要があると思います。
ジュニア部門 銅賞 「森の生きもの 道を行くもの」 / 浦田 璃奈

場所:山梨県天目山 / 日時:2006年8月2日

場所:山梨県天目山 / 日時:2006年8月2日

道路を走るべき車が、森のおく深くに。その森のおく深くにいるべき、きつねが道路に。どちらがあやまってて、どちらが正しいのでしょうか?

「道路を走るべき車が森に」、「山にいるべきキツネが道路に」という矛盾。必ずしも○と×による視点での写真ではありませんが、子どもならではの純粋な疑問が2枚一組の写真に表現されていて、大人が見るとドキッとさせられる作品です。小学5年生にして、この鋭い観察眼には脱帽しました。また、キツネだけでなく、無機質であるはずの車までなんともいえずもの悲しい表情なのも印象的でした。
ジュニア部門 枝廣淳子審査員賞 「窓をあけたら」 / 山本 りりこ

場所:祖父母宅 / 日時:2006年8月29日

場所:松江駅付近 / 日時:2006年8月28日

信号待ちをしていた交差点。ふと隣のビルを見上げると、無数の室外機が目に入ってきました。ギョッとする光景が目に焼きつき、後日カメラを手に再び訪れました。快適な暮らしの裏側を改めて知りました。対照的な光景を探して街の中を歩き回りましたが、灯台下暗し。昔ながらの祖父母の生活(御簾と簾)は、見た目にも涼しく、環境にも優しく感じました。

クーラーの室外機がずらりと並ぶ息をのむほど無機質な風景(これらの部屋は外界から自分たちを閉め切ることで涼しくなっています)と、自然の涼を慈しむように、外界に開かれたほっとする風景と、見事な対比です。簾からは二酸化炭素は出ませんが、クーラーを動かす電力を起こしている発電所からは二酸化炭素が出ています。同じ涼しさでも、地球や未来世代への迷惑が違うのですね。「どういう社会に生きたいの?」と問いかける作品です。
ジュニア部門 織作峰子審査員賞 「私のまわりのゴミ」 / 寺岡 沙織

場所:広島県庄原市 / 日時:2006年8月

場所:広島県庄原市 / 日時:2006年8月

私は学校の近くで捨てられた車を見つけました。私達はなんでもかんでも辺りかまわず、捨てているんだと思いました。一方、私の学校ではきちんとゴミが整理されています。各教室にも種類別にゴミ箱がおいてあり、みんなきちんと仕分けをします。ゴミを分別する事で、私の町もよりきれいになっていくと思います。私は大人になった時にもこの町がきれいであるように、今できる事はしていきたいと思います。

モノトーンで色が無いせいか、とてもドラマを感じる作品です。片やきちんと整理されビニール袋に入った空き缶や使用済みの蛍光灯たち、ゴミなのに整理されていると気持ちよくさえ感じてしまう。片や不法投棄された中古車。主人を失い雨風にさらされ、錆びつき放り出され、世間から公害扱いされたなんとも哀れな姿に、同情すら感じてしまう。
ジュニア部門 北山孝雄審査員賞 「どちらの道を歩きたい?」 / 宮本 さゆり

場所:岡山県倉敷市 / 日時:2006年8月21日

場所:岡山県倉敷市 / 日時:2006年8月23日

緑に囲まれた遊歩道は、空気もおいしいし頬をなでる風は心地よい。幸せな気分の中、幼子達は歓喜の声を響かせ、走ったり、立ち止まったり、振り向いたりしながら進んで行く。祖母もゆったりした気分で見守りながら歩く。それと反対に排気ガスを吸いながら騒音の中を歩かなければいけない事もある。無意識に幼子の手をしっかり握りしめる後姿に緊張した気持ちが伝わってくる。便利さと引きかえに、何かを失っているかもしれない。

一方は、曲がって先が見えず、雨の日には水たまりができる道。歩きにくくても変化に富んでいて、歩くのが楽しい。もう一方は、車と隣り合わせの一直線で、無機質な道。日本中どこへ行っても、こうした画一的な道と出会う。曲がった、お婆ちゃんと一緒に歩いた、自然と共にあるこの道に、今社会が求めている「美しい国」の一端を見るようです。
ジュニア部門 木元教子審査員賞 「2つの隧道」 / 岡本 恵輔

場所:愛媛県 / 日時:2006年7月7日

場所:愛媛県 / 日時:2006年8月23日

どちらも大正初期の鉄道隧道で既に放棄されたものだが○の方は今もなお地元の人たちの生活道路として活躍し近代土木遺産にまで指定されているが、×の方は一時は通路として使われていたが大量の不法投棄にあいゴミに埋もれてしまい未処理のまま住宅地側の反対の入口は閉鎖され埋められてしまった。第二の人生に失敗したトンネルが非常に悲しく感じられた。

「2つの隧道」という名の二枚の作品。大正初期に建設された同じような造りの隧道で、1つは近代土木遺産として今でも有効に活用されている。しかしもう1つは、大量のゴミの不法投棄でほとんどが埋まり、まさに「負の遺産」。作者の悲しい思いが伝わります。文明の名のもと、利便性を求める人間の創造と破壊。その結果に作者の心が「これでいいのか」と叫んでいます。さあ、今度はこの象徴的な作品に、私たちが答える番です。
ジュニア部門 竹内敏信審査員賞 「日本一の山富士山が・・・」 / 川邉 寧々

場所:登山道 / 日時:2006年8月5日

場所:富士山頂 / 日時:2006年8月5日

富士山を世界遺産にしようという取り組みがある中、実際にのぼるとこんな富士山、世界遺産なんかにできないだろう、とだれもが思うだろう。登山道を歩いているだけだと、景色もきれいで頂上への期待もふくらんでいく。だが心ない人々が石で文字をつくり落書きをして富士山をよごし、頂上に期待をふくらませていた登山客の期待を裏切るのだ。私達1人1人がこの事を自覚し、富士山を守っていくべきだと思う。

富士山の山肌が、心ない落書きで汚されています。登山者は、富士山が世界一美しい山だと思っているのでしょうが、どうして山肌を荒らすの……、と作者は、落書きをした人々の行為を嘆いています。石を並べて、自分勝手な文字に表しても、自然は何も感じませんよ。その行為が、折角の大自然の美しい風景を、損ねてしまっていますよ、と訴えているのです。意識を持った素晴らしい写真です。
ジュニア部門 新美春之審査員賞 「大切な物」 / 高橋 成美

場所:秋田県横手市 / 日時:2006年8月5日

場所:秋田県横手市 / 日時:2006年5月5日

物が溢れかえる現代社会では、壊れたり古びたりするとすぐに新しい物と交換することができます。しかし、本当にそれで良いのでしょうか?得意気に愛車に乗る少年のように、棄てられたこの車を大切にしていた人がいたはずです。自分の愛車を大事にするという当然のことさえ、できていると言えるでしょうか?多すぎる物のせいで見失ってしまった「物の大切さ」を、少年に気付かされたように思いました。

日本人なら誰もが一度は、子どもの頃に「ものを大切にしなさい」と叱られた経験があるはず。そんな昔ながらに伝わる大切な古人の教えから、現代の環境問題について考えさせてくれる作品です。古くなったらすぐ捨てて、新しいものと交換する。あえてカラーではなくモノクロームという表現を選んだことで、現代社会のそうした風潮に対するNOというメッセージがより深く、見る者の心に届く効果を上げています。
ジュニア部門 株式会社タカラトミー賞 「リサイクル」 / 難波 慶

場所:東部クリーンセンター / 日時:2006年8月29日

場所:東部クリーンセンター / 日時:2006年8月29日

どちらも東部クリーンセンターでとった。○は、空き缶か紙パックを再利用したのに対し、×はこれから燃やされようとする粗大ゴミだ。どれか一つでも再利用できないものか。少しずつでも環境を良くしていきたい。

同じゴミでも、知恵と工夫で人を喜ばせるアミューズメント作品になるというメッセージに共感しました。人が日々の生活の中で出すゴミを見て、まだ何かに使えるはずなのに“モッタイナイ”と考える子どもが、21世紀の日本にもしっかりといる。その事実に、この国の子どもたちの明るい未来を確信し、勇気をもらった気がします。リサイクルを通して環境を良くしたいと願う気持ちを、これからもぜひ持ち続けてほしいと思います。
ジュニア部門 昭和シェル石油(株)特別賞 「ドブ川と清流」 / 濵田 亜珠沙

場所:広島県庄原市 / 日時:2006年9月2日

場所:広島県庄原市 / 日時:2006年8月29日

私は中国山地に住んでいます。自然が豊かな田舎で最も綺麗だと思うのが川です。夏休みには、多くの家族が川遊びに来ているのをよく目にします。夏の夜には空を蛍が飛び、川が綺麗な証拠なんだと思います。こんな美しい川があるこの中国山地ですが、よく見てみると、下水がそのまま流されている所がありました。洗剤の泡なども浮かんでおり、綺麗な川とは言えません。田舎にも早く下水道工事を進めていって欲しいです。

今世紀に入り、その大切さがますます増している水資源の汚染をテーマにした作品です。「○」の清流の写真が美しいのはもちろんですが、「×」の写真も同様に、一見すると川の流れが着物の柄のようで綺麗に見えます。しかし、実は下水がそのまま流れ、洗剤の泡が川の表面を覆っています。表面だけの綺麗さでは、その場しのぎで環境問題の根本的な解決にはつながらないことを、きわめてシンボリックに表現しているように感じました。