事業の強み

出光興産の地熱事業

1973年の第1次オイルショックを受け、エネルギーの多様化が重要と考えた当社は、新たなエネルギー源の一つとして地熱資源に注目し、同時期から地熱資源調査を行っています。大分県において、1996年に九州電力株式会社滝上発電所への蒸気供給事業を、2017年に滝上バイナリー発電所の単独操業を開始しました。
地熱は再生可能エネルギーの一つです。当社は、温室効果ガスを排出せずにエネルギーを国内で安定的に生産できる地熱事業を通し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。

滝上発電所への発電用蒸気の供給

九州電力株式会社滝上発電所へ、発電用蒸気を安定的に供給しています。

滝上発電所遠景

滝上発電所遠景

名称 出光大分地熱株式会社 滝上事業所
所在地 大分県玖珠郡九重町
事業内容 滝上発電所(九州電力株式会社)への蒸気供給事業
【参考】
九州電力滝上発電所
所在地 大分県玖珠郡九重町大字野上2862-12
発電容量(定格出力) 27,500 kW
年間発電規模 197百万kWh

滝上発電所では、地下の持続可能な資源量に見合う適正な発電出力の選定を行っています。これにより、安定した高い設備利用率が特長である地熱発電所の中でも、特に高い水準の設備利用率を維持・継続しています。これは2年に一度の定期点検中の不稼働状況も考慮に入れたものであり、高効率な発電所といえます。

※設備利用率:その設備で発電できる発電出力の最大値に対して、実際に発電した出力の割合

滝上バイナリー発電所の運転

バイナリー発電とは、従来の地熱発電では利用できなかった低温の蒸気・熱水での発電を可能にする発電方式です。熱源となる水と低沸点媒体の2つの流体を利用するため、「バイナリー」の言葉が名称に使われています。
熱水と低沸点媒体の間で熱交換することで、発電用の高圧な媒体蒸気が生成されます。タービンを通った後の低沸点媒体は水冷凝縮器で冷却され、再び熱交換器へ流れて加熱されます。
滝上バイナリー発電所は、還元熱水と蒸気発電からの冷却水を利用した発電により滝上地熱系の熱効率を15%高めたとして、一般財団法人新エネルギー財団が主催する平成29年度新エネ大賞の最高ランクとなる「経済産業大臣賞」を受賞しました。

滝上バイナリー発電所全景

滝上バイナリー発電所全景
生産1号基地の東側(写真左側) がバイナリ一発電設備です。

名称 滝上バイナリー発電所
所在地 大分県玖珠郡九重町大字野上3330-152(生産1号基地内)
発電容量 5,050kW(定格出力)
年間発電規模 31百万kWh
事業内容 地熱発電事業(再生可能エネルギー固定価格買取制度活用)
商業運転開始 2017年3月

1. 通常の地熱発電

通常の地熱発電においては、発電には蒸気のみを使用し、熱水は地下に還元しています。

通常の地熱発電

2. バイナリー発電とは?

バイナリー発電は、地下に還元していた熱水と低沸点媒体の間で熱を交換することで熱エネルギーを取り出し、発電を可能にする仕組みです。

バイナリー発電とは?

3. バイナリー発電の仕組み

バイナリー発電の仕組み
  • 1.

    加熱器・蒸発器・予熱器と、段階的に熱水と低沸点媒体の間で熱交換を行うことで、媒体が液体から気体に気化します。

  • 2.

    気化と温度上昇により媒体の体積が膨張することを利用して、タービンを回転させ、発電を行います。

  • 3.

    タービンを回し終えた蒸気媒体は冷却し、再び液体に戻します。冷却塔からは、温かい水蒸気が外気に触れることで冷やされ、湯気となって出てきます。