石炭が届くまで

日本における石炭の用途・需要について

石炭は安定供給しやすく、経済性の面でも優れたエネルギー源です。石油などほかの化石燃料よりも採掘できる年数が長く、存在している地域も分散しているため、安定的な供給が望めます。また、原油やLNGガスと比べて価格は低めで安定しており、LNGガスを使った火力発電よりも低コストで発電できます。
日本において再生可能エネルギーは、価格面での課題と発電量の不安定さをコントロールすることが難しい状態にあります。そうした中で、安定供給が可能なエネルギー資源に乏しい日本では、こうした特徴をもつ石炭を一定程度、活用していくことが必要となります。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁

出光興産の石炭事業

オーストラリアでの鉱山運営から物流、販売、アフターサービスまで一気通貫したサプライチェーンを構築し、お客様に安定的な石炭の供給を行っています。

出光興産の石炭事業

石炭が届くまで

オーストラリアでの鉱山運営

当社は、石炭資源が豊富なオーストラリアにて鉱山運営を行っています。2023年度以降は新規の石炭鉱山開発や大型投資による増産は行わず、生産活動をボガブライ鉱山に集中しています。
ボガブライ鉱山は、高品位の石炭を産出しており、鉱山として競争力が高く、日本向けの供給ソースとして機能しています。

操業中鉱山 生産量(百万t/年) 権益(%)
ボガブライ ニューサウスウェールズ 4.6 80
  • 鉱山の生産量は権益相当。(2022年)

アジア・太平洋市場からの調達

オーストラリア鉱山だけではなく、アジア・太平洋市場からも広範に調達しています。インドネシア(ジャカルタ)、中国(北京)に拠点を設け、買炭の安定調達と併せ、新規の供給ソース開拓を行っています。

輸送・貯炭

鉱山で調達・採掘された石炭は鉄道・船などで運ばれ、出荷されます。オーストラリアからの場合、約15日かけて日本に運ばれます。
日本で陸揚げされた石炭は、貯炭(ちょたん)場に運ばれます。当社グループの貯炭場(出光バルクターミナル)の貯炭面積は約8万㎡で、東京ドーム1.7個分の広さに相当し、約35万tの石炭を保管することができます。当社では、輸入基地を持つお客様には石炭を直送し、輸送基地を持たないお客様にはバルクターミナル経由での輸送を行い、安定供給を実現しています。

販売

発電所や製鉄所の他、セメント、化学、紙パルプ、石膏、非鉄、食品など、多くの分野のお客様に対し、安定的に石炭をお届けしています。
お客様への直送販売だけではなく、当社グループのバルクターミナルを活用した、最適な物流の提案を通じた販売も行っています。

自社利用

当社の製油所では発電・動力用の石炭ボイラが稼働しています。石炭を自家燃料として使用し、利用ノウハウを蓄積し、お客様へのニーズに応えております。

研究開発

民間で国内唯一の石炭専門研究機関である石炭・環境研究所で、当社の石炭事業とお客様の技術課題をバックアップしています。