機能性飼料とは?
機能性飼料
機能性飼料とは、家畜の生産性向上や健康維持、畜産物の収量と品質を維持する大事な役割を担う、世界の食料生産に欠かせない資材です。
機能性成分である天然抽出物や化学合成物を製剤化することで作製され、指定成分だけで構成される「飼料添加物」、指定成分に飼料原料を混合した「混合飼料」に分類され、当社グループではその両方を取り扱っています。
出光グループにおいては、カシューナッツ殻液(CNSL:Cashew Nut Shell Liquid)を有効成分とする製品「ルミナップ」や、納豆菌を有効成分とする「モルッカ」等を機能性飼料として商品化しています。


カシューナッツ殻液が牛のげっぷ由来のメタンガス排出削減に貢献
牛は4つの胃を持ち、口に最も近い1番目の胃(ルーメン)には、食べた草などを消化しエネルギー等に作り替える多数の微生物が存在しています。その一部のプロセスにおいて、温室効果ガスの1つであるメタンガスが発生し、げっぷとして大気中に排出されます。家畜として飼われている反芻動物(牛、羊、やぎなど)のげっぷに由来するメタンガスを二酸化炭素に換算すると、全世界で年間約20億トンになると推定され、これは全世界で人間の活動によって発生している温室効果ガスの約4%に相当します。このため、近年の世界的な気候変動対策の流れを受け、家畜が排出するメタンガスが問題視されています。
この問題解決に貢献するキーワードが「カシューナッツ」です。カシューナッツ殻液(CNSL)配合の飼料を牛に与えることで、ルーメンから排出されるメタン削減効果※が報告されています。また乳生産性や繁殖成績への影響、肉牛の体重増加、ルーメンの機能維持に関する研究も進められています。
カシューナッツ殻液が牛のげっぷ中のメタンガスを削減する効果を持つ飼料添加物として農林水産省から指定されました
そして、2025年5月にはカシューナッツ殻液(CNSL)が、牛のげっぷ中のメタンガスを削減する飼料添加物に指定されました。CNSLは天然物として初めての飼料添加物指定となります。
CNSLにはアナカルド酸などの天然フェノール類が豊富に含まれており、牛の第一胃内の細菌叢に作用することで、牛がげっぷとして排出するメタンガスの発生を低減する効果が国に認められ、飼料添加物の用途の一つである「飼料の栄養成分その他の有効成分の補給」に含まれる「温室効果ガス削減を目的とするもの」として指定されました。
CNSLは 扱いが難しい素材ですが、当社グループの技術力により、扱いやすく有効成分が変化しにくい加工技術を開発し、安心して家畜に給与できる製品を提供しています。

カシューナッツ殻液(CNSL)を含んだ製品例


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牛の消化管内発酵を再現した試験ではメタンガス発生を約36%抑制(牛1頭当たり約0.5トン/年(CO2換算)に相当)
人工ルーメン試験におけるカシューナッツ殻液添加濃度50ppmでの抑制効果(Watanabe et al. 2010)