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次世代電池材料

  • 省資源・資源循環

性能面などの課題から日本では普及が伸び悩む電気自動車。その性能を左右する電池の技術革新が望まれる中、次世代電池の本命とされる「全固体電池」の材料開発を手掛けています。

次世代電池材料
環境への負荷が少なく、クリーンな移動手段として普及の拡大が期待される電気自動車(EV)。その性能を左右するリチウムイオン電池の技術革新が望まれる中、次世代電池の本命とされる「全固体電池」の材料、「固体電解質」の開発を手掛けています。電池の主要材料のひとつである電解質を液体から固体にすることで、従来の電池における様々な課題を解決することが期待されています。

次世代電池材料を取り巻く国際状況

カーボンニュートラル社会の実現に向けて、世界各国はそれぞれチャレンジングな目標を打ち出しています。自動車の電動化もその一つですが、EVのさらなる普及においては、航続距離の短さ、充電時間の長さが課題といわれています。電池の性能はEVの性能に大きく影響することから、電池に技術革新が起きればこれらの課題が解決し、普及の拡大につながると期待されています。

Idemitsuが挑戦する理由と強み

1970年代の石油ショックをきっかけに、出光興産は石油に代わるエネルギーや素材の開発を模索し、石油や石油製品の付加価値を高める研究を本格的に開始しました。その数多が立ち消えたなか、追い続けてきた研究に光が差したのが、この固体電解質です。
当社の固体電解質は、石油精製の過程で副次的に生まれる「硫黄成分」を原料として活用しています。
2001年に固体電解質への活路を見出したことで、電池向けに照準を絞りました。そして2004年に、硫化物系固体電解質として、電解液と同レベルのイオン伝導度を世界で初めて実現しました。
石油精製の過程で生まれる成分の高付加価値化を起点とし、固定概念にとらわれることなく研究開発を続けてきた当社の姿勢と技術力が掛け合わさったことで、「全固体電池の実用化・量産化」実現への扉が今、開こうとしています。

今後の展開

現在稼働中の2つの小型設備での実証を足掛かりに、次のステージとなる量産実証(パイロット)装置での量産技術の確立とその先の事業化を目指します。また、材料メーカー、自動車メーカーなどとの協力も進めており、お互いのニーズを把握しながら、それぞれの知見や技術力を活かした迅速な開発を推進します。
2023年10月に発表した通り、全固体電池の実用化に向けては、トヨタ自動車と固体電解質の量産技術の開発ならびに生産性の向上などに向けた取り組みを開始しています。両社は今後、以下の通り協業を進めます。
  • 第1フェーズ:硫化物固体電解質の開発と量産化に向けた量産実証(パイロット)装置の準備
  • 第2フェーズ:量産実証装置を用いた量産化
  • 第3フェーズ:将来の本格量産の検討
    当社は、固体電解質の性能向上および量産技術開発を加速させ、世の中に広く使っていただける固体電解質と全固体電池の量産実現を目指します。
    今後の事業拡大を見据え、固体電解質のみならず、次世代電池材料の開発や、全固体電池のリサイクルに関しても技術探索を進めていきます。例えば、全固体電池の正極材として硫黄を用いる硫黄系正極材は、電池の軽量化や大容量化への寄与が期待されます。また、レアメタルフリーであることから、資源問題の解決に貢献できる可能性もあります。
    当社はこれらの取り組みを通して、カーボンニュートラル・資源循環型社会の実現に貢献してまいります。

    ※2024年11月13日時点