エネルギーの安定供給に向けて次世代エネルギーの開発にも注力しています。
クリーンコール技術で石炭販売
銘柄ごとのプラント性能を予測する
石炭評価システム
当社では、1980年から一般炭の輸入販売を開始し、1984年にはオーストラリアで石炭鉱区の探鉱・開発を開始しました。2006年度は、それまでのエンシャム鉱山、マッセルブルック鉱山に加え、ボガブライ鉱山およびタラウォンガ鉱山での生産も開始し、オーストラリア4鉱山の権益持分生産量は1,000万t規模となりました。(2006年度実績:808万t)
石炭には、石油や天然ガスに比べ燃焼時のCO2排出量など環境負荷が大きいという問題があり、当社は1988年に「石炭研究室(現:石炭・環境研究所)」を設立。石炭の高効率燃焼技術や、脱硫・脱硝技術、温室効果ガスである亜酸化窒素の発生抑制技術など、さまざまなクリーンコール技術の研究を進めてきました。同研究所からは「石炭評価システム」「高温炉内監視カメラ」なども商品化され、ユーザーから好評を得ています。
地熱エネルギーの生産とウラン開発
滝上発電所(大分県)
シガーレーク鉱区(カナダ)
1979年、当社は再生可能な自然エネルギーである地熱エネルギー利用のための全国広域調査に着手しました。1983年、大分県九重町で試掘に成功。1996年には国内で11番目の事業用地熱発電所となる「滝上発電所」の運転を開始しました。当社は蒸気部門を担当(発電部門は九州電力(株))し、現在、25千kWに相当する蒸気を生産しています。
また、将来的なエネルギー資源として、当社はわが国へのウラン供給を念頭に置き、1979年からオーストラリアでウランの探鉱を行いました。1982年にはカナダのシガーレーク鉱区の権益を取得し、鉱山開発準備作業を進め、2006年度は同鉱山の建設を進めていましたが、出水事故が発生し、現在、その復旧に取り組んでいます。当社はシガーレーク鉱山の7.875%の権益を保有しています。
天然ガスとDMEについての取り組み
近年、電力会社や各種工場では、事業活動に伴う環境負荷を低減するため、燃料を重油から、CO2排出量の少ない天然ガスへと転換する動きが活発です。そのような中、当社では液化天然ガス(LNG)のサテライト供給(貯蔵・気化基地からローリーで需要家に供給する)事業の検討を進めています。
また、当社は環境適合型の新燃料として注目されるDME※1に2002年から取り組み、その特徴を活かした国内需要開拓を推進しています。2006年度、DMEを石油化学原料としたオレフィン製造技術の開発を行い、高活性な触媒を開発しました。さらに、出光エンジニアリング(株)は、通常は気体の状態で燃焼させるDMEを、重油ボイラで液体の状態で燃焼させる技術の開発に成功しました。※2
※1 DME:ジメチルエーテル
※2 資源エネルギー庁の「DME燃料利用機器開発補助事業」の一環として研究した成果
再生可能エネルギーに向けた取り組み
当社では環境負荷の低い再生可能エネルギーの供給に向けた技術開発と事業開発を推進しています。前出の地熱事業のほか、バイオ燃料、グリーンエネルギー発電に取り組んでいます。
バイオ燃料については、経済産業省の「平成19年度バイオマス由来燃料導入実証事業」の補助事業として石油連盟が行っている「バイオETBE流通実証事業」において、当社も2007年4月27日から神奈川県、埼玉県、千葉県の合計7カ所のSSでバイオガソリンの販売を開始しました。
バイオガソリンは、トウモロコシやサトウキビなどの植物から生産されるバイオエタノールと石油系のガスを合成した「バイオETBE」という物質を配合したレギュラーガソリンです。
水素社会への取り組み
当社では、未来の水素社会の実現に向けて、燃料電池自動車や純水素型燃料電池へ水素を供給するインフラ整備に関する技術開発や実証を行っています。次世代のエコカーといわれる燃料電池車の普及には、水素を供給する水素ステーションの整備が必要です。当社は、製油所で大量に水素ガスを製造・利用するとともに、SSでは可燃性危険物を取り扱っています。これらの技術やノウハウを適用して水素社会への準備を進めています。
オンサイト型水素ステーション※1では国内初のSS併設型水素ステーションの運用実証※2を行っています。また、オフサイト型水素ステーション※3でも移動式水素ステーションによる搬送・供給の国内初の実証試験※4を当社愛知製油所で実施。これら活動を通じて水素の製造や供給に関する技術やノウハウを蓄積しています。
※1 オンサイト型水素ステーション:スタンド現地での水素を製造
※2 経済産業省委託(独)NEDO「水素社会構築基盤整備事業」の一環
※3 オフサイト型水素ステーション:製油所で製造した水素を出荷する方式
※4 経済産業省委託(財)石油産業活性化センター「将来型燃料高度利用研究開発事業」の一環
日本初、SS併設市原水素ステーションを運用中

経済産業省が推進している「水素・燃料電池実証プロジェクト(JHFC)」に協力して、2004年4月に神奈川県秦野市に世界初となる灯油改質型のオンサイト(現場製造)型によるJHFC秦野水素ステーションを開設し、約2年間にわたり実証研究を行ってきました。
2006年12月には、NEDOによる「水素社会構築共通基盤整備事業」のうち、(財)石油産業活性化センター他が受託している「水素インフラに関する安全技術研究」の一環として、秦野の設備を千葉県市原市に移設・改造して日本初のSS併設型水素ステーションとして開所しました。
「市原水素ステーション」では、給油所併設型水素ステーションの安全検証、安全対策の妥当性の検証を目的に、データの取得、提供を行っています。
燃料電池の事業化に目途
![[写真]燃料電池 改質器](images/energy_ph005.jpg)
水素と酸素の化学反応から電気と熱を生み出す燃料電池は、省エネルギーでクリーンな次世代のエネルギーシステムとして期待されています。当社では、2005年度より国の大規模実証事業に参画、アストモスエネルギー(株)とともに2006年度末時点で北海道から沖縄に至る全国75カ所の住宅に燃料電池システムを設置、LPガス、灯油の販売チャネルを活用した販売に向けて準備を進めています。
また、当社が有する化石燃料から水素をつくり出す技術は世界でも最高の水準にあり、現在、この技術を活かして燃料電池向け改質器(燃料処理システム)の開発を(株)コロナと共同で進めています。両社で開発している改質器は、低コスト、高耐久で、かつ多様な燃料種に対応できることをコンセプトにしており、将来、燃料電池メーカーへ幅広く販売することをめざしています。
