このたび弊社は、家庭用燃料電池用の水素を、灯油から製造する改質触媒を開発し、連続動作評価の結果、1万時間以上劣化がないことを世界で初めて確認しました。
これまで灯油からの水素製造は難しいとされてきましたが、本触媒は高活性かつ長寿命であり、一般的な灯油を利用する家庭用燃料電池の実用化に向けて大きく一歩を踏み出すものです。今後、最終的な目標寿命4万時間達成に向け、さらに連続評価を継続します。
なお、本開発は(財)石油産業活性化センター(PEC)の協力研究として実施しました。
1. 開発した灯油改質触媒の概要
| (1) | 触媒の名称 |
| ISR−7G(ルテニウム系触媒) | |
| (2) | 改質方式 「水蒸気改質法」 |
| ・灯油などの炭化水素を高温の水蒸気と反応させ、水素を取出す技術。 ・部分酸化法などの他方式と比べ、高濃度の水素が得られる。 |
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| (3) | 対象の燃料電池方式 「固体高分子形」 |
| ・燃料電池の電極に挟むイオン交換膜に、固体の高分子膜を用いる方式。 ・リン酸形よりも小型・軽量なので、家庭用燃料電池の本命とされている。 |
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| (4) | 本触媒の評価結果 |
| ・市販灯油(JIS一号灯油)を0.1ppm以下に脱硫したものを、連続1万時間以上にわたって100%改質でき、かつ触媒性能の劣化が認められないことを世界で初めて確認しました。 ・これまで得られたデータから本触媒はさらに長寿命であることが期待できます。 |
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| (5) | 技術的工夫点 |
| ・これまで高温では触媒の分散度が徐々に落ち、改質性能が劣化するという問題がありましたが、触媒を保持する担体の改良で高温安定性を確保しました。 ・触媒組成を最適化することで、炭素析出による経時劣化を抑制しました。 ・自社開発の高性能脱硫剤を用いて、改質工程の前段で、市販灯油の硫黄濃度を50ppmから0.1ppm以下としました。脱硫剤の寿命も1年相当までを確認しています。 |
2. (財)石油産業活性化センター(PEC)の協力研究について
| (1) | 期間 |
| 平成13年4月から14年3月までの1年間 | |
| (2) | テーマ名 |
| 平成13年度新燃料油研究開発調査 (新燃料油環境調和型利用研究開発) |
3. 出光の取組みスタンス
| (出光興産(株)および出光ガスアンドライフ(株)は、下記の環境性、経済性の点から、燃料電池の水素源として石油系燃料ならびにLPGを中心に検討しています。昨年4月には全社横断的な「燃料電池プロジェクト」を発足させています。 | |
| (1) | ライフサイクルで見た環境性比較では、石油系燃料ならびにLPGは、天然ガス・メタノールなど、他燃料に対しほぼ同程度である。 |
| (2) | 21世紀においても、石油はエネルギーの大宗を占め、石油、LPGを効率的かつクリーンに利用することが、環境に大きな効果をもたらす。 |
| (3) | 家庭・業務用分野の民生用途では灯油、LPGは既存インフラを利用できることから、社会的経済性の点で有利である。また、エネルギー密度が高く、貯蔵・流通の面でも効率的である。 |
4. 今後の予定
| (1) | 最終的な目標寿命4万時間に向け、さらに継続評価を行います。(夜間停止を含めて、システムとしては10年間の使用を想定) |
| (2) | 本触媒を用いた家庭用燃料電池向けの灯油改質器(1kW級)を今年度内に専門メーカーと試作し、システムトータルでの実用性能を確認していきます。 |
以上 |
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参考:改質器について
| 灯油やLPガスなどの石油系燃料から水素を取出すには、以下の4つのプロセスが必要とされます。 | |
| (1) | 脱硫:燃料中の硫黄を除去する。硫黄は次の(2)以降の効率を低下させる。 |
| (2) | 改質:燃料(炭化水素)を分解し、水素を取出す。 |
| (3) | CO変成:(2)の反応の副生ガスであるCOと、水から水素を取出すとともに、燃料電池本体の電極に悪影響を与えるCOの濃度を低下させる。 |
| (4) | 選択酸化:(3)の反応で除去しきれなかったCOの濃度を更に低下させる。 |
![[図]改質機(水素製造システム)](images/011031_il001.gif)
本件に関するお問合せ先
出光興産(株)総務部 広報課
(担当:湯浅、足立、桜井)
住所 東京都千代田区丸の内3-1-1
TEL 03-3213-3115
